松村沙友理、“結婚”へのイメージに変化 「形にこだわる必要はないのかな」

映画
映画『ずっと独身でいるつもり?』松村沙友理インタビュー 20211019
松村沙友理  クランクイン! 写真:高野広美

 2011年に乃木坂46として活動をはじめ、“さゆりんご”の愛称でアイドルとして人気を集めた松村沙友理。7月に同グループを卒業して新たなスタートを切った彼女が、田中みな実主演の映画『ずっと独身でいるつもり?』で、パパ活女子として生計をたてつつも若さを失うことに怯える美穂役で女優として新境地を見せている。幸せや結婚とは何なのか――女性たちのリアルな姿をコミカルにポップに毒々しく、そして優しい視点によって映し出す本作。「芝居をやりたいという気持ちが芽生えた」と明かす松村に、本作で苦労したことや、 自身が考える“結婚”や“幸せ”について、共に女優としてまい進する白石麻衣や西野七瀬ら乃木坂46同期メンバーとの今の関係性を聞いた。

●普段とは違う役へのアプローチで得た気付き

――アイドル“さゆりんご”からは想像もつかない体当たりの演技が素晴らしかったです。役作りは大変だったのでは?

松村:私は最初、美穂の表面しか見られていなかったのですが、ふくだももこ監督から「パパ活を目立たせるのではなく、美穂の人生を生きてほしい」と言われて。本読みの時に全く答えを見つけられず焦っていたら、田中みな実“先生”が美穂のセリフをいろんなパターンで演じて相談にのってくれて、腑に落ちたんです。みな実さんは、私にとってスーパーヒーローでしたね。

――美穂を演じる上で具体的に取り組まれたことはありますか?

松村:まずは台本に書かれていない美穂の生活を考えました。20歳から六本木で遊ぶようになり、普通のOLとしても働けたのに、パパ活女子という選択をした美穂の背景を妄想しましたね。私はこれまで役作りで誰かを参考にすることはしていなかったのですが、今回は実際にパパ活をされている方たちの SNS を見たりして、役についてすごく考えて。なので、初めて台本を読んだ時と撮影に入った時は美穂が180度違う人物に見えていました。

――普段とは違う役へのアプローチで気付きはありましたか?

松村:気付きはすごくありました。今まではアイドルという立場もあり、監督やスタッフさんにどこまで聞いていいのか分からなかったのですが、今回は自分が必死すぎて遠慮している場合じゃなくて。ふくだ監督も私の必死さをくみ取ってすごく真摯(しんし)に向き合ってくれ、たくさんお話をしてくれました。美穂という役を作り上げるためにスタッフのみなさんと一つになることができて、チームで役を作った感覚を味わえたのは大きかったです。

●全てを投げ出してみたらそれが正解だった

――普段とは違う低い声や、美穂が六本木を下着姿で走り泣くシーンも印象的でしたが、苦労されましたか?

松村:声の出し方はすごく苦戦して。撮影時は乃木坂46として活動中だったので、アイドルの時はかわいく、映画の日はそうじゃないという切り替えが大変でした。六本木のシーンは10回以上撮影したのですが、どう演じればいいのか、途中で分からなくなって。正直、自分の中では明確にこれだということはつかめないまま、全てを投げ出してみたらそれが正解だったという感じです。

――本作を経験し、女優として何かしら手応えを得たのでは? 変化したことはありますか?

松村:「演技できるぞ」という気持ちは全然持てなくて、まだ修行中という感じですが、お芝居をやりたいという気持ちは芽生えました。お芝居の難しさを楽しいと感じたし、悔しい思いをたくさんしたからこそ、もっとやりたいとも思えましたね。もし10年後にまたこの作品を撮るとなったら、市川実和子さんのような雰囲気を出せる女優になっていたいです。

私は人生の目標はずっと意欲的でいることで。自分で目標を持っていないと駄目になっていきそうな気がするんです。なので今、10年後にこういう女優になりたいと思えている自分はすごく魅力的だと感じるし、いい人生を歩んで来ているという実感があります。

●「結婚=幸せ」というイメージからの変化

――本作は結婚もキーワードですが、結婚にどういうイメージを抱かれていますか?

松村:私はもともと結婚に対して憧れが強いタイプで、「結婚=幸せ」というイメージだったんです。また同世代の友達が結婚することが多くなってきて、少しだけ結婚に対する焦りも出てきた頃でした。でもこの作品で明確に憧れだったものが、今の社会ではそう思わなくてもいいものだという認識に変わりましたね。結婚はいろんな形の中の選択肢の一つで、別にしてもしなくてもいいのかなって。自分が好きな人と一緒にいれたら、形にこだわる必要はなくてもいいのかなと思いました。

――なるほど。ちなみにどんな方と一緒にいたいですか?

松村:自分を対等に見てくれて、尊敬し合える人がいいですね。私の仕事に対しても『すごいね』って言ってくれる人がいいし、私も相手に『すごいね』って言いたい。お互い支え合える人にいつか出会いたいです。

●幸せは「思い込み力」

――この作品は女性の幸せは何なのかについても考えさせられますが、松村さんが考える幸せとは?

松村:幸せの基準は人それぞれ違うし、その違いも分からないし、実際に自分の幸せが何なのか分からなくて。だけど、一緒にインタビューを受けたみな実さんの話を聞いて、「幸せは思い込み力」だと思いました。例えば、結婚が幸せと思うなら、そう思い込めたら幸せなのかなって。結婚した後も「私はこの結婚の幸せがずっと続く」と思い込む感じです。

――メンタルが大事ということですね。松村さんは今幸せですか?

松村:私はまだ思い込めてないですね。乃木坂46を卒業して3ヵ月経ちますが、何をやりたいかと聞かれた時に明確に答えられなくて。やりたいことはいっぱいありますが、正直自分に向いていることやしたいことが分かっていないんです。なので、それを模索して、これだというものを見つけられた時に、私はそれを幸せだと思い込みたいですね。

●乃木坂46同期は刺激し合える仲間

――乃木坂46を卒業してから一番変化したことは?

松村:前髪を伸ばしていることです(笑)。乃木坂46の時は前髪を伸ばしたくても、一回り年下の子たちにあわせて幼くみえるよう前髪を作っていました。今は前髪を伸ばしてちょっと大人っぽい自分を楽しめています(笑)。

――白石麻衣さんや西野七瀬さんをはじめ、卒業後に女優として活躍しているメンバーと演じる役について話すことはありますか?

松村:役について話はしませんが、現場の雰囲気の話はよくしますね。あと、みんなの出演作はすごく見ています。この前も七瀬のドラマを見て、いつの間に演技ができるようになったんやろうって感じました。同じ年月を歩んできたのに、みんな知らんうちにできてるやん! と毎回思います。

――卒業してもつながっていられるのはいいですね。乃木坂46の1期生のみなさんは、松村さんにとってどんな存在ですか?

松村:出会えたことが奇跡だし、「あいつらはすごいな」と思います。この前、(桜井)玲香のミュージカルを見ましたが、舞台に立つ姿がすごくかっこよくて歌もうまくて。みんなが頑張っていたら自分も怠けてはダメだと思えるし、良い刺激になります。会った時に「見てるよ」と言われたらすごくうれしいですし。良い意味で刺激し合える、本当に良い仲間だなと思いますね。

――今回の作品もみなさんに観てほしいのでは?

松村:そうですね。この作品は思い入れが強すぎて、早くみんなに観てもらいたいです。それぞれどう感じたのか、一人一人とカフェでお茶しながら語り合いたいです!(取材・文:高山美穂 写真:高野広美)

 映画『ずっと独身でいるつもり?』は、11月19日より全国公開。

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