櫻坂46、改名から1年 齋藤冬優花、幸阪茉里乃、武元唯衣に聞く「変化」と「2年目の課題」

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20211014櫻坂46インタビュー
(左から)櫻坂46・齋藤冬優花、武元唯衣、幸阪茉里乃  クランクイン! 写真:小川遼

 10月13日に3rdシングル「流れ弾」をリリースした櫻坂46。二期生・田村保乃が初の表題曲センターを務める今作のリリース日は、2020年10月14日にグループが欅坂46から櫻坂46に改名してちょうど1年にあたる。改名から現在まで、さまざまな変化を経験してきた彼女たち。この1年間にあった心境の変化と、2年目への課題を、一期生の齋藤冬優花、二期生の幸阪茉里乃と武元唯衣に聞いた。

■改名から現在へ 改名当時の思いと1年の変化

 櫻坂46の核にはライブパフォーマンスがある。その見せ方として、新たなフォーメーションシステムが導入されたのも改名を象徴していた。

 2020年12月9日のデビューシングル「Nobody’s fault」リリース以降は、3列のフォーメーションのうち、前2列を8名のメンバー“櫻エイト”が担当。ほかのメンバーは“BACKS”として、収録曲ごとに異なる顔ぶれで3列目を託されるようになった。

 今回、改名から現在までの思いを聞いた齋藤、幸阪、武元は、最新の3rdシングル「流れ弾」までBACKSを担ってきたメンバー。6月には、改名後初の有観客公演「BACKS LIVE!!」も経験してきた。

――欅坂46から改名した当時、それぞれどのように感じていたのでしょうか?

齋藤:改名当時は先が見えなかったし、納得する形になるのかと不安も大きかったです。でも、この1年間を通して受け入れられました。決断が正解だったかどうかは自分たち次第でしたし、気持ちの整理もつきました。メンバーの雰囲気を見ても、確実にプラスになっていると思える場面もたくさんあります。

フォーメーションシステムの変更で、センターを経験するメンバーが増えて。楽曲ごとに雰囲気が変わり、ライブでもいろいろな表情が見られるようになったのは、いい変化だったと思います。

――6月の「BACKS LIVE!!」でも、3列目の皆さんが、それぞれセンターを経験していましたね。武元さんは、改名をどう受け止めていましたか?


武元:素直に寂しかったです。私はアイドルというより、欅坂46が好きでこの世界に入ったんです。オーディションを受けたのも、その一心でした。元々、子どもの頃から続けていたダンスで「人に何かを伝えたい」と頭の片隅で思う中で出会ったのが欅坂46の世界観でした。初めて願いをかなえられた場所が失われてしまう寂しさもありました。

でも、時間とともに気持ちが変わってきて。少しずつ、欅坂46の存在を客観的に見られるようになってきたんです。櫻坂46への改名で、二期生もシングル制作を経験するようになったのは大きなきっかけでした。レコーディングをして、振り付けを体に入れて、MVも撮影し、CDが誰かの手元に届くまでの流れをそれまで経験していなかったので、みんなで一緒に作ったものを届けられている今の状況を、幸せだと思えるようになってきました。

――幸阪さんは、当初「新二期生」として2020年2月に加入。改名まではおよそ8ヵ月と短期間だった印象です。

幸阪:短かったのはその通りで、本当に「改名するのかな」と感じていたし、これからどうなるんだろうと不安も大きかったです。でも、改名がなければ、ファンの皆さんに自分を知っていただく機会はなかったかもしれない。制作という過程を通して、先輩方とも距離を縮められたので、良かったなと思います。

――この1年間を通したグループの変化のように、それぞれ個人的に変わった部分もありそうですね。

齋藤:パフォーマンス中の意識が変わりました。欅坂46時代は、なるべく“個”を出さないようにしていて。動きも表情も自分なりにアレンジせず、シンプルに「曲を伝えよう」と意識していたんです。でも、櫻坂46への改名後は、周りから「もっと自分の色を出していい」と言われる機会が増えてきて。自分の見せ方を研究するようになりました。

以前は、ライブ映像を振り返るときに「グループ全体といかになじめているか」を意識していたんです。でも今は、自分の表情や踊り方に注目しながら、見直すようになりました。

――武元さんは、個人的に何が変わったと思いますか?

武元:「櫻坂46の武元唯衣です」と自信を持って言えるようになりました。欅坂46としての自分に誇りを持っていたし、改名後もしばらくは「櫻坂46でも同じ気持ちになれるか」と不安があったんです。でも、時間が経つにつれて今ある形の中で、自分はどんなパフォーマンスがしたいのか、何をしなければいけないのかと考えられるようになりました。

欅坂46時代は、先輩たちの作る世界観へついていこうと必死だったんです。櫻坂46へ改名してからは、だんだん自分にも意識を向けられるようになってきて。パフォーマンスをいかに自分のものにするか、そのために何をするか、と考えながら行動できるようになりました。

――幸阪さんは改名により、自分の中で何が変わったと思いますか?

幸阪:メンバーとして頑張ろうという気持ちが、強くなったと思います。加入してすぐにコロナ禍となり、お披露目の場もなかったので、正直、ファンの皆さんに私たちが「認められているのかな」と不安もあったんです。

でも、6月の「BACKS LIVE!!」で初めての有観客公演を経験して、メンバーとしての自覚も強くなりました。客席で見守るファンの皆さんの温かさも感じられました。一人一人が頑張らないとグループは成り立たないと思えるようになりましたし、ライブを通して自分を奮い立たせることができました。

■メンバーを突き動かしたTAKAHIROの言葉

――皆さんの共通点はパフォーマンスの3列目を支えるBACKS。6月の「BACKS LIVE!!」を、もう少し深く振り返っていただきたいと思います。それぞれ異なる楽曲でセンターも務めたライブで得たものはありましたか?

齋藤:リハーサル中、欅坂46時代からグループを見守ってくださっている振付師のTAKAHIRO先生から「周りに合わせてない?」と聞かれたのを覚えています。「もっと自分を出していいんだよ」「もっとできるでしょ」と言っていただけて。そのつもりがなくても、自分を出せずにいたんだと気が付きました。

リハーサルに協力してくれたダンサーさんも「やり過ぎていたら言うから」「引き算でいいんだよ」と背中を押してくれたんです。皆さんの言葉を受けてライブに臨んでからは、だいぶ気が楽になって。自分が何をやりたいか、突き詰めていってもいいんだと思えるようになりました。

武元:冬優花さんの言葉は、すごく分かります。私も、みんなに合わせなければと思っていたし、3列目の反対側でシンメトリー(左右で対になるポジション)の子と、動きをそろえることを重視していたので。でも、センターを経験してみて「何をやっても正解」だと気が付いたんです。

リハーサル中、TAKAHIRO先生が「もうカッコつけなくていいよ」とおっしゃってくださり、その通りだと思いました。他人の目を気にせず「弱いなら弱いままでいい」と思いセンターで踊ってみたら、やりたいようにやる感覚をつかめて。そこからは、3列目としても、自分を出せるようになりました。

幸阪:私は「BACKS LIVE!!」を終えてから、メンバーを頼れるようになりました。それまでの人生を振り返ると、人に頼った記憶がほとんどなかったんです。困ったことがあっても、親にも相談してこなかったほどで。でも、ライブに向けて分からない部分をメンバーへ聞いたり、不安を伝えたりしていくうちに、少しずつ気持ちも変わってきました。

本番で披露した「BAN」も、ダンスを覚えるために動画を見ているだけでは「踊れないかも」と不安があって。原曲で同じポジションを務めていた一期生の小池(美波)さんに頼み、振り付けを教えてもらいました。1人で生きていけると思っていたけど、抱え込んではいけないと気が付きましたし、ライブ以降は、メンバーとの距離も縮まりました。

■活動は2年目へ それぞれが思う今後の課題

――7月に行われた日向坂46と共催した公演「W‐KEYAKI FES.2021」や開催中の全国アリーナツアー「1st TOUR 2021」を経て、グループの活動は2年目に向かいます。この先、どう取り組んでいきたいですか?

齋藤:改名以降、櫻エイトとBACKSメンバーの経験値に差が出る不安もありました。振り付けは、シングル制作に関わりダンスや表情の意味を一から理解するのと、誰かの代わりに踊るのでは得るものが変わってきます。一期生としてそれを知っているから、表現や技術の差が生まれてしまう悔しさも感じていました。

でも、「BACKS LIVE!!」を経験してからは、櫻エイトのメンバーを追い越すような気持ちでいなければと思うようになりました。「櫻エイトとBACKSは違うね」と言われないためには、日々の練習や研究が必要で。ほかのメンバーの良さも吸収しつつ、パフォーマンスで自分らしさを出していきたいです。

武元:3つのチームに分かれて、曲ごとに参加するメンバーが少人数になったことで、チームごとのつながりは強くなったけど、全体のまとまりが足りないと感じる部分もあります。

全員がそろう機会は、ライブやレギュラー番組(『そこ曲がったら、櫻坂?』)しかない状況なので、全国アリーナツアー「1st TOUR 2021」のように、全員で1つのものを作るため団結している空気感が、続けばいいなと思います。

幸阪:冬優花さんが言っていたように、櫻エイトとBACKSの差は私も感じています。ライブ以外で活躍する場面も多いから、早く追い付かなければと思っていて。BACKSだからと考えるのではなく、もっと前に出て、自分の意見も出せるように活動していきたいです。

■「流れ弾」MVに隠されたストーリー「いつか気が付いてくれたら」

――ここからは最新シングル「流れ弾」のお話を。それぞれBACKSとして、異なる楽曲に参加しています。曲の世界観を伝えるMVの撮影現場での思い出や注目ポイントを教えていただきたいです。まず、二期生・田村さんセンターの表題曲「流れ弾」に参加の武元さんから。

武元:MVの背景にあるのは、作品を手掛けてくださった池田一真監督の思いでした。欅坂46時代の楽曲「危なっかしい計画」のように、メンバーがやんちゃな笑顔で、はっちゃけて踊る雰囲気を撮りたいと考えてくださって。感情をどう表に出せるかは、勝負どころだと思っていました。

これまでのダンスとは異なる体の使い方をしていて、過去一番と言っていいほど、体力の消費も激しかったです。独特な動きも多いから、みんなの動きをそろえるのも大変で。2番にある(田村)保乃に操られたメンバーたちが次々飛び乗って覆いかぶさるシーンでは、いかに操られているかのように動くかを考えながら、何度も飛びました。実は、全編通してきちんとしたストーリーがあります。ファンの皆さんが「いつか気が付いてくれたら」と、楽しみにしています。

――齋藤さんは、二期生・森田ひかるさんセンターの「Dead end」に参加していますね。

齋藤:曲自体は、センターのひかるちゃんが“個”で、私たちはそれぞれ“集団”の中の1人という世界観になっています。中心で踊るひかるちゃんの周囲で、私たちが立ったまま顔をうつむけながら両腕を機械的に動かすシーンなどがあり、無機質な動きや表情を意識しながらパフォーマンスしました。

MVでは、約200人のエキストラの方々にも参加していただいて。途中、私たちが踊る後ろですりガラス越しに動く影も演じていただき、皆さん「感情を出さないように」と指示を受けながら、たくさん練習してくださいました。休憩中、すりガラス越しにエキストラの方がキツネの影絵を作ってくださったり、和気あいあいとしていて。いい雰囲気で撮影に臨めました。

――幸阪さんは、一期生・渡邉理佐さんセンターの「無言の宇宙」への参加です。

幸阪:これまで参加した1stシングルの「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」や2ndシングルの「思ったよりも寂しくない」は笑顔全開で踊る曲でしたけど、今回は優しい笑顔で踊る曲だったから、表情づくりが難しかったです。

シーンによっては、みんなで手の高さをそろえるために細かく調整したり。1番のサビ終わり、見返り美人のようにみんなで振り向くシーンでは、先生の見本を頼りに意見を交わしながら、全員で振り付けを研究しました。撮影中、みんなで「かわいいね」と話し合っていた、浴衣風の衣装も注目してほしいです。

■武元の“滋賀トーク” 幸阪「私はちゃんと聞いてます(笑)」

――今回の表題曲「流れ弾」には「言いたいこと 言わせてくれ!」というフレーズがあります。それにちなんで最後に、お互いに日頃は言えなかった印象なども聞かせてください。まず、齋藤さんから。

齋藤:唯衣ちゃんとは共通のひそかな夢があって。シンメトリーのポジションやユニット曲で、一緒に思いっ切りパフォーマンスしたいと言ってるんです。まだ一度も同じチームになったことがなくて。「BACKS LIVE!!」でもその存在に助けられていたし、一緒に練習しながら「同じ参加曲がなかったのか」と切なくなりましたし。パフォーマンス面でも気持ちの面でも尊敬しているし、絶対にかなえたいです。

茉里乃ちゃんは、もっと自分を出してほしいかな。本当、面白いんですよ(笑)。私は知らなかったんですけど、「BACKS LIVE!!」のステージで二期生の(増本)綺良ちゃんと、クラウチングスタートをやっていたと聞いて…。

幸阪:やってました(笑)。1日目の1曲目「Nobody’s fault」に私と綺良ちゃんは参加していなくて。2曲目「Plastic regret」のイントロでスキップしながら登場する前に、2人してクラウチングスタートの姿勢で待機していました。

齋藤:(笑)。でも、茉里乃ちゃんはまだ遠慮してくれてる気がするので。ファンの皆さんはクールな印象をお持ちかもしれないですけど、掘り下げる余地がたくさんあるでしょうし、もっと自由に自分を出していってほしいなと思います。

――武元さんは、齋藤さんと幸阪さんをどう見ていますか?

武元:冬優花さんは優しすぎる人です。そう表現するしかないほど、メンバーに優しいんですよ。もっと自分のことを考えてもいいのに、それよりも他人を思いやれる人はなかなかいないなって。素直に「ありがとう」という気持ちとか、他人のいい部分を伝えてくれるし、そんな人に出会った経験がなかったので、尊敬しています。

茉里乃ちゃんには「癒やしてくれてありがとう」のひと言です。見ているだけでも心が安らぐし、穏やかになれるんです。最近、距離が縮まってきて、私にも歩み寄ってくれるようになりました。グループでは、私より年下のメンバーが同期の(※山崎)天と茉里乃ちゃんしかいなくて。たまにちょっかいをかけてくれるのもうれしいし、お姉さんたちばかりの環境の中でもっと仲良くなれたらと思います。(※崎の正式表記は「たつさき」)

――そんな癒やし役の幸阪さんは、お二人に何を思いますか?

幸阪:冬優花さんとは、2ndシングルのカップリング「思ったよりも寂しくない」で同じチームになったときの思い出があって。曲中でペアのダンスがあり、レッスン中に顔を向き合わせたとき、ほかのペアは恥ずかしさから苦笑いし合っていたけど、冬優花さんは笑顔で見つめてくれたのが印象的でした。それがすごくうれしくて。私も冬優花さんを前にすると笑顔になれるし、いてくれてありがたい存在です。

唯衣ちゃんは滋賀県の出身で、私は三重県だから、お互い故郷が近いので親近感をおぼえています。グループのレギュラー番組『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京/毎週日曜24時35分)では、唯衣ちゃんが熱心に故郷の話をしていると、寝たフリをしたメンバーたちが聞いてないというお約束の流れがあって。実は、寝たフリをしながらも、私はちゃんと聞いてます(笑)。

武元:え〜、本当に!

齋藤:まさかの(笑)。

幸阪:(笑)。一緒に滋賀県のロケも行きたいし。唯衣ちゃんとなら絶対に楽しいと思うので、実現させたいです。

――武元さんは、幸阪さんの気持ちを聞いたのは初めて?

武元:初めてです。頑張ってしゃべってるのに、誰も聞いてないと思っていたのでビックリ。あの流れのために、滋賀県についてけっこう必死に調べてるんですよ。実は…。茉里乃ちゃんが聞いてると思ったら、これからも頑張って話せます(笑)。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:小川遼)

 櫻坂46の3rdシングル「流れ弾」は発売中。

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