小栗旬、田中圭、綾野剛、坂口健太郎、赤楚衛二……秋ドラマを盛り上げる俳優陣の共通点

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秋ドラマ出演する(左から)坂口健太郎、小栗旬、綾野剛
秋ドラマ出演する(左から)坂口健太郎、小栗旬、綾野剛  クランクイン!

 今秋ドラマで注目したいのは、「トライストーン」所属の役者陣だ。その筆頭は、10日に放送開始の日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(TBS系)に主演する小栗旬。1973年刊行の小松左京氏の名作を2023年の東京を舞台にアレンジするという同作は、Netflixで世界190ヵ国以上に配信されることや、一時渡米していた小栗にとっての久しぶりの連ドラ出演であり、『獣医ドリトル』以来11年ぶりの同枠主演という点でも注目を浴びている。

■トライストーン所属俳優がこの秋、ドラマを盛り上げる

 10月から新たに作られたカンテレ・フジテレビ系「月10ドラマ」枠『アバランチ』に主演する綾野剛も、トライストーン所属だ。綾野にとっては7年ぶりのフジテレビ系連ドラ主演となるだけでなく、本作は自身が主演を務めた映画『ヤクザと家族 The Family』の藤井道人監督がチーフ監督として参加し、再タッグを組むという点も期待したい。

 そして、絶好のタイミングでスタートするのが、19日からスタートする清野菜名主演の火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)。放送開始前に熱い視線が集まるポイントは、なんといっても坂口健太郎が出演すること。というのも、シリアスで重い内容のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』において、坂口が演じる菅波は、“俺たちの菅波”タグが作られるなど、視聴者にとっての癒やし部分、熱狂部分を引き受けてきたからだ。しかも、一時的に放送時期がかぶることにより、坂口の2つの味を一瞬同時に楽しめ、そのまま“菅波ロス”を引き取るかたちになる。

 また、かなり戦略的なキャスト起用をしているのが、14日スタートの『SUPER RICH』(フジテレビ系/木曜22時)。幸せのカタチ=“スーパーリッチ”を追い求めるキャリアウーマンを演じる江口のりこは、ドラマ好きが今最も信頼する女優の一人だろう。そして今大人気の赤楚衛二が、ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京)で共演をした劇団EXILE・町田啓太と再タッグを組むことでも話題だ。

 さらに、もはや『おっさんずラブ』によるブレイク期をとっくに越え、出演番組が途切れることなく続く売れっ子俳優・田中圭は、15日スタートの『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』(テレビ東京系/金曜20時)に主演するほか、Hulu独占配信の『死神さん』でも主演を務めている。

■トライストーンの役者たちが活躍する理由

 以上、主だった出演を並べてみるだけでも、いかにトライストーン所属の役者たちが、活躍しているかが分かる。

 そのトライストーン・エンタテイメントの設立は1993年で芸能事務所としては比較的新しいほうである。しかし、代表取締役を務めているのは、映画『太陽を盗んだ男』(1979年)の製作や、『あずみ』シリーズや『クローズZERO』シリーズ、『ルパンIII世』、『新宿スワン』シリーズ等のプロデューサーとしても知られる山本又一朗氏だ。

 先に挙げた俳優陣以外にも間宮祥太朗、木村文乃、アーティストのmiwaも所属している同社は多くの作品に出資していたり、自社制作を手掛けたりしていることから、所属俳優や女優を出演させやすい場を多数持っているため、映画での活躍を通じて役者たちの認知度を高めることができる点は強みだろう。

 また、養成所「トライストーン・アクティングラボ」を運営し、人材発掘や育成にも力を入れているが、例えば、赤楚は山本氏から誘われたことが役者の道に入ったきっかけだったことを、日経スタイル「エンタメウオッチング」インタビュー(2021年5月4日)で次のように語っている。

 「サマンサタバサのモデルオーディションを受けたことがきっかけで、社長が『ウチに来い!』って。僕は『クローズZERO』(07年、09年)世代で、小栗さんも大好きでしたし、田中さん、綾野さんもカッコいいなと思っていました。あとは社長の器の大きさみたいなところで、ついていこうと決めた覚えがあります」

■山本イズム、小栗イズムがエンタメ業界に与える影響

 そうした人材発掘・育成を積極的に手掛ける器の大きさをそのまま受け継いでいるのが、小栗旬だ。小栗の場合、父親が舞台監督、兄が元俳優で演出家という環境もあるが、山本氏と同じように役者を見抜く目も確か。

 何故なら、2003年の『仮面ライダー555』(テレビ朝日系)の怪人役で俳優デビューした綾野は、『クローズZERO II』(2009年)で共演した小栗に誘われ、トライストーンに入所したことをトーク番組で明かしているからだ。綾野は所属事務所の移籍を機に、着々と役者としてステップアップを遂げたわけだ。

 ちなみに、小栗は、初監督映画『シュアリー・サムデイ』(2010年)の完成披露イベントで「将来、日本の俳優のユニオン(労働組合)を作りたい。もっと俳優が自由に意見できて、責任を持てる環境を作りたい」と発言し、注目を浴びた。俳優労組結成に関しては難しいという状況を『クイック・ジャパン』(2014年8月号)で語っていたが、その後、『女性自身』(2020年2月4日号)では、小栗がトライストーンの事務所社長に就任すると報じられ、現社長の山本氏も同誌の電話取材に対して「確かにそんな構想や予定があるのは間違いありません」と回答したとしている。

 役者としての活動のみならず、監督をしたり、才能を発掘・育成したり、自らが当事者として役者の生きやすいエンタメ業界を作ろうという意識が着々と育っているトライストーン。今秋ドラマを支えるのは、そんな“山本イズム”や“小栗イズム”かもしれない。(文:田幸和歌子)
 
<田幸和歌子>
1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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