眞栄田郷敦、夢への挫折が役者になる転機に――「30歳から本格スタート」と見据える目標とは

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WOWOWオリジナルドラマ『キン肉マン THE LOST LEGEND』で主演を務める眞栄田郷敦
WOWOWオリジナルドラマ『キン肉マン THE LOST LEGEND』で主演を務める眞栄田郷敦  クランクイン! 写真:高野広美

 2019年に映画『小さな恋のうた』で俳優デビュー。その後、まだ2年のキャリアとは思えないほど、多くのドラマ・映画に出演し、演じる役ごとに新しい顔を見せてきた眞栄田郷敦。元々はサックス奏者を目指していた彼だが、WOWOWオリジナルドラマ『キン肉マン THE LOST LEGEND』(WOWOWプライム)では、その腕前も披露している。現在21歳の彼が、役者になる原点を振り返り、演じるなかで芽生えてきた思いや、「30歳からがスタート」と目指す目標を語った。

■「偉大な父に影響を受けた育った」 演じたウォーズマンとの共通点

 本作は、シリーズ累計発行部数7700万部突破のゆでたまごによる人気漫画『キン肉マン』の実写映画化にまつわる“謎”を追う俳優たちの奮闘を描くドキュメンタリードラマ。

 園子温が監督を務める『キン肉マン』の劇中実写映画『MUSCLEMAN』で、プロデューサー兼ロビンマスク役の綾野剛から、眞栄田は“機械超人と人間のハーフ”のウォーズマンに配役される。同じく綾野によってミート君に配役された玉城ティナとともに、これまで幾度となくトラブルに見舞われてきた『キン肉マン』実写化の“謎”に、関係者への取材を通して迫っていく…。

――WOWOWオリジナルドラマ『キン肉マン THE LOST LEGEND』は、キン肉マンをモチーフにしたドキュメンタリードラマということですが、最初にどんな印象を持ちましたか。

眞栄田:ドキュメンタリーと聞いていましたが、内容はドラマの部分もあり、「俺はどうすればいいんだ?」と(笑)。コンセプトやお話は面白かったんですが、これをどうやってリアルにやれば良いのかという不安もありました。ただ、現場に入ると、その場を生きているうちにドラマの設定も自分の中でリアルに感じられてきて、自然にその場を生きている感覚になりました。

――ドキュメンタリードラマでは、普段のドラマと撮影方法も違っていたと思います。驚いたことはありますか。

眞栄田:驚いたのは綾野さんと出会うシーン。2時間くらい、車の移動中もずっとカメラをまわしっぱなしという撮影が序盤からあって。普通のドラマでこれだけ長回しすることはあまりないので、ビックリしました。大枠の流れが書かれた構成はあるんですが、その通りにしゃべったことはないですね(笑)。と言うより構成通りにいかないんですよ。逆に、その場を生きる感覚を大事にするために、構成をそんなに意識しないようにしていた自分もいます。

――演じられたウォーズマンとご自身の共通点はありますか。

眞栄田:「共通点は父が超人」ということですかね。私自身、偉大な父(故・千葉真一さん)を見て影響されて育ってきました。それと、母親が好きだということや、ちょっと控え目で恥ずかしがり屋なところなども。境遇も性格も、数え出したらキリがないくらい似ているところは多いです。ウォーズマンの特徴でもある「コーホー」という呼吸や、「ウォーズマンスマイル」は、原作を結構参考にして演じました。

――すごく自然でした! それと驚いたのは、テーマソングを眞栄田さんご自身がサックスで吹いていることです。かなり練習されたのですか。

眞栄田:いや、サックスもその場で出たものを大事にしたかったので、練習はしすぎずに望みました。毎回、背後などのテンションに合わせて吹いているので、いろんなキン肉マンのテーマが聴けると思います。それと、周りにうつりこんでいる人やたまたま通りかかった人なども全部リアルなので、その雰囲気や世界観が良いなあと思います。

■夢への挫折が役者になるきっかけに 「今は芝居をするのがすごく楽しい」

――ところで、デビューから2年になりますが、そもそも役者を志したきっかけは何でしたか。

眞栄田:最初は役者をやろうなんて全く思っていなくて、たまたま映画『OVER DRIVE』(2018年公開)の初号試写に行かせてもらったんです。その作品の制作を手掛けていたのが「ROBOT」というプロダクションで、僕もごあいさつさせていただいたときに『小さな恋のうた』という映画のお話があって、そこでの出会いをきっかけに役をいただいて。ちょうど当時は自分が元々抱いていたサックス奏者になるという目標に挫折していた時期だったので、良いチャンスだからという思いでやらせていただきました。

――役者をはじめてこの2年の間に変わったところはありますか。

眞栄田:最初は撮影も自分が思うようにできなくて悔しい部分がたくさんありました。でも、この『キン肉マン』で経験したことが、その後撮影した作品でもすごく生かされていると感じます。例えば、本作ではカメラがまわっている中で、芝居はしているものの、「俺、生きてるな」と感じることがたくさんありましたが、こういう感覚はそれまでなかった気がしていて…。台本で全部きっちり決まっている作品においても、こうした「生きている」感覚を味わうことができたらすてきだなと。そのために自分が何をすれば良いのかを考え、芝居をするようになりました。だから、今は芝居をするのがすごく楽しいし、もっと自分を試したい気持ちがあります。

――今後、目指している俳優像はどんなものですか。

眞栄田:作品を観て下さる方に楽しんでもらうことはもちろん重要ですが、それに加えて、現場のスタッフの方を楽しませられる芝居ができるようになりたいと思うようになりました。スタッフの方は台本もわかっていて展開も知っているけど、面白い芝居をすると「そう来たか。じゃ、こう撮ろう」とか発想が広がる気がするんです。そういう良い流れを現場で作れるような芝居ができる役者になりたいというのが、今の目標です。

――今まで共演した中で、そういう俳優さんはいましたか。

眞栄田:それはもちろん今回共演している綾野剛さん。芝居を一緒にしている僕が「そうきたか!」と思うところがたくさんあるんですよ。それと、ドラマ『プロミス・シンデレラ』で共演した二階堂ふみさんもそういうタイプで、現場のスタッフの予想を良い意味で毎回裏切るので、現場で次々にアイディアが生まれていきます。それは結果的に、視聴者も楽しませられることになると思うので、まずは一番身近な現場を楽しませる役者になりたいですね。

■「20代は修行」「30歳からが本格スタート」自身が見据える目標

――役者業以外にもやってみたいことはありますか。

眞栄田:将来的には、幅広いエンタテインメントができればなと思います。ミュージカル的な要素、歌やダンスにも挑戦していきたいです。30歳くらいが自分にとってはスタートだと思っているので、30歳から本格的にやりたいことに制限がかからないように、20代はスキルを身に着けていきたいです。今はその準備というか下積み、経験値を積む修行の期間ですかね。

――「修行」という言葉、すごく似合います! ところで、キン肉マンの世界にはさまざまなヒーローが出てきますが、ご自身の幼少時のヒーローは誰、あるいは何でしたか。

眞栄田:うーん…幼少時というとどうだろう? 母親かもしれないですね。僕は12年間アメリカで育ててもらったんですが、父が日本で仕事をしていたので、母親は英語がしゃべれないなか、よく一人で子ども二人を育てようと思ったなと。当時は思っていませんでしたが、今から思うとすごいことだな、母親は偉大だなと思うので、幼少期のヒーローは母親です。

――それを聞いたら、お母さんはうれししいでしょうね…。今は俳優になり、数々の映画やドラマに出演され、眞栄田さんご自身が憧れられる立場にあると思います。どんな人にとってのどんなヒーローになりたいですか。

眞栄田:そうか…僕が憧れられるスタンスに…あまり考えたことがないから、難しいなぁ(笑)。でも、『きかんしゃトーマス』に登場する「ゴードン」っていうキャラがいるじゃないですか。今、小さな子たちはもちろん、きっと大人も「ゴードン」と聞くと、トーマスのほうを思い浮かべる人が多いと思うんです。でも、いずれ「ゴードンといえばトーマスじゃなくて、眞栄田郷敦」になりたい。『トーマスのゴードンを抜くぞ!』という目標が、僕なりのヒーロー像ですね。(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)

 WOWOWオリジナルドラマ『キン肉マン THE LOST LEGEND』はWOWOWプライムにて10月8日より毎週金曜23時30分放送。WOWOWオンデマンドにて放送同時配信、アーカイブ配信あり。WOWOW公式YouTubeチャンネルにて、第1話無料先行配信中。

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