原田知世、50代で初めて出会えた趣味に勇気「自分にまだ伸び代があるんだ」

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『スナック キズツキ』原田知世インタビュー 20210914実施
原田知世  クランクイン! 写真:高野広美

 あふれる透明感とかれんな笑顔が魅力的で、年齢を重ねるごとに輝きを増している原田知世。益田ミリの人気漫画を実写化したドラマ『スナック キズツキ』では、傷ついた人がたどり着くちょっと変わったお店“スナックキズツキ”のママを伸びやかに演じている。「いい出会いがたくさんあって、こんなに長く続けてこられた。すごく幸せだなと思います」と女優人生を振り返る彼女だが、「今、ゴルフにハマっていて。50代に入って初めて、趣味と言える趣味に出会えた」と明かす。コロナ禍で改めて“思いやり”について考えたという原田が、53歳の胸の内を語った。

■スナックのママ役でテレビ東京初出演&初主演!「とても幸せ」

 本作の舞台となるのは、アルコールを置いていないスナック、“スナックキズツキ”。知らぬうちに溜まったモヤモヤや傷を抱えた客たちが、スナックのママ・トウコ(原田)と過ごす中で癒やされていく姿を描く。

 今回、テレビ東京初出演にして初主演を務める原田。テレビ東京のドラマについて「時代に左右されず、攻めるところはきちんと攻める。夜にゆったりと観られる、大人のドラマが次々と作られているなと思っていました」というだけに、今回のオファーに喜びもひとしお。さらに「こんなすてきな原作を映像化するという機会にお声がけいただいたことも、とても幸せに思いました」と原作にも魅了されたという。

 原作を読んで、原田は「私も“スナックキズツキ”に行ってみたいと思いました。登場人物の抱える傷は“分かるなあ”というものもあって、ヒリヒリと切なくなったり。自分でも気付かないうちに傷ついていることもあるし、もしかして自分も誰かを傷つけているかもしれないと、ハッとさせられる部分もありました」と共感するとともに、「そこにクスクスと笑える絶妙なユーモアがあって、読んだ後に心地よい感覚がありました。とても温かさを感じる作品です」と笑いの大切さを改めてかみ締めたそう。

 ささいな傷もすくいあげているのが、本作の特徴だ。原田も思い当たることがあったといい、1話で成海璃子演じる中田が、彼氏と居酒屋で食事をする場面を思い出しながら「中田が“おなかが空いていない”という彼氏に遠慮して、おつまみみたいなメニューしか頼めないシーンがあります。私も家族以外の人と食事に行ったときには、“もっと食べたい”と思ってもあまり言い出せなかった」と照れ笑い。「若い頃は、頼み事をされたときに断ることができなかったり、変に人に気を遣ってしまっていたところがあったように思います。でも年齢を重ねるごとに、相手に素直な気持ちを伝えることはすてきなことなんじゃないかと感じるようになって。考えすぎるのはよくないなと思うようになりました。今は、“これ食べませんか?”と言えます(笑)」と自身の変化を明かす。

■劇中ではギターも披露「家でも歌ったり、踊ったりしています」

 1話ごとに傷ついたお客さんがスナックを訪れ、トウコに境遇を吐露していく。お客さんを演じるメンバーには成海璃子、平岩紙、塚地武雅、小関裕太らカラフルな俳優陣が顔をそろえた。原田は「1話ごとにいろいろなお客さんがやって来るので、皆さんをお迎えするのが私の役目。ほぼ同じ場所にいる撮影というのも、考えてみたら珍しいですね。すてきな方が次々とやって来てくださって、そこで2人芝居をするようなドラマ。お客さんにいい時間を過ごしてもらいたい」とすっかりトウコの気分になりつつ、共演者との化学反応に期待を寄せる。

 トウコを目の前にすると、お客さんたちはなぜか心の中のモヤモヤを言葉にできる。とても不思議な魅力を持った女性だ。原田は「トウコは、常に人に対して心を開いている女性。そういった空気が心地よくて、お客さんはふっと肩の力が抜けていくんじゃないかな」と思いを巡らせるが、トウコの癒やし術にはもう一つ秘策があり、思いもよらぬ方法で彼らのストレスを発散させていくのだ。

 原田は「第1話では、成海璃子さん演じる中田の歌に合わせてギターを弾いたり合いの手を入れるのですが、すごく面白くて、楽しかったです。切なくなったり、愛おしい気持ちになったり、すてきなシーンになるような気がしています」とセッションシーンを振り返り思わず笑顔に。「歌ったり、声に出すことって、とても気持ちが良いこと」と彼女自身、歌うことで開放感を味わうことがあるそうで、「カラオケの採点アプリがありますよね。あれを使って、家で歌うこともあります。順位とか点数を見て“やった!”と思ったり(笑)。家でダンスもします。踊ったり歌ったりして、過ごしています。一人でも自宅でそうやって楽しめるタイプなんです」と目尻を下げる。

■「自分にとって大事なことや、大事な人がより明確に見えてきた」
 
 14歳で芸能界入りした原田は、来年でデビュー40周年を迎える。「自分ではない人の人生を歩んで、いろいろな体験ができる。大人になるごとに“面白い仕事だな”と楽しめる心の余裕が生まれてきた」と女優業に感じる醍醐味(だいごみ)は増すばかり。音楽業も両立させており、「それぞれが影響をし合うこともありますし、両方やることで自分の中でも慣れたりせず、鮮度を失わずに続けることができたと思います。お芝居をやりたい気持ち、音楽をやりたい気持ち、自然と両方をかなえることができたのは、たくさんのいい出会いがあったからこそ」と感謝の気持ちをあふれさせる。

 続けて「とにかく、目の前のお仕事をできる限り一生懸命やる。それしかないと思っています」と真っすぐなモットーを明かし、「映画やドラマを観た方が、何年か後に新しい作品で声をかけてくださることもある。アルバムを作って新しいリスナーの方が増えたとしたら、“じゃあ次はこんなものを作ってみよう”と力をもらうこともあります。一つずつ精いっぱいにやることで、次が見えてくるものなのかなと思っています」とひたむきに歩んできたことが、今につながっている。

 「クランクイン前は、今でも眠れないほど緊張するんです」という原田にとって、50代に入ってうれしい出会いがあったという。「50代に入って、ゴルフを始めて。自分には縁のないものと思っていたんですが、友だちから“旅先でもできるし、やればいいのに”と勧められて始めてみたら、ハマってしまって。コツコツやっていますが、スコアがだんだん伸びてきた。歳をとってできなくなることが増えていく中で、伸びていくものがあることにびっくりしています。自分にまだ伸び代があるんだと思うと、勇気が湧いてきます」と微笑みながら、「ゴルフは自分との戦い。メンタルも鍛えられるので、どこか芸能のお仕事と似ているところもあるのかも。いい趣味に出会えて、“60代はもっとうまくなっていたらいいな”と楽しみです」とうれしそう。心身ともに健康で、充実の時を迎えている様子だ。

 今回癒やしとなるドラマを世に送り出すが、原田は「コロナ禍で、自分にとって大事なことや、大事な人がより明確に見えてきた」としみじみ。「日々を大切にして、みんながお互いを思いやる気持ちが必要なのかなと感じています。『スナック キズツキ』は共感したり、笑ったり、救われるような気持ちがしたりする作品になっていると思います。笑うことや人のつながりのよさを感じていただけたらうれしいです」と心を込めていた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 ドラマ24『スナック キズツキ』は、テレビ東京系にて10月8日より毎週金曜24時12分放送。

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