菅田将暉たちへ継承される巨匠・山田洋次監督の記憶 『キネマの神様』に描かれる日本映画黄金時代

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映画『キネマの神様』
映画『キネマの神様』ゴウ(菅田将暉)と出水監督(リリー・フランキー) (C)2021「キネマの神様」製作委員会

 歌手の沢田研二と俳優の菅田将暉がダブル主演を務める山田洋次監督の最新作『キネマの神様』。黒澤明や小津安二郎などの巨匠監督が活躍した日本映画界の黄金時代を肌で知る山田監督は、本作の登場人物たちの役作りに、在りし日の巨匠たちの姿を反映させたという。

 松竹映画100周年を記念し企画された本作は、作家・原田マハによる同名小説を映画化。映画監督になる夢を追いかけ、挫折を経験するが映画をこよなく愛するゴウ(現在:沢田/過去:菅田)、かつて若きゴウが思いを寄せる食堂の娘であり、ゴウの妻となった淑子(現在:宮本信子/過去:永野芽郁)、そしてゴウとはかつての撮影所仲間で、名画座・テアトル銀幕を営むテラシン(現在:小林稔侍/過去:野田洋次郎)など、各キャラクターの思いと共に、夢と愛に満ちた青春、そして時代を越えて訪れる“奇跡”に満ちた物語が描かれる。

 夢に生きた若き日のゴウと、夢を諦めた現代のゴウを、菅田と沢田の2人1役で演じることで話題を呼んだ本作。菅田が演じる若き日のゴウの物語の舞台となるのは、日本映画が黄金時代を迎えた1950~1960年代の映画撮影所。日本映画で初めて海外の映画賞を受賞した『羅生門』の黒澤明や、2012年に英国映画協会が発表した「映画監督が選ぶ史上最高の映画1位」に選ばれた『東京物語』の小津安二郎など、日本映画界の歴史に名を残す名匠が活躍した時代だ。

 本作ではその時代を実際に現場で過ごした山田監督の経験が生かされており、助監督として働くゴウや、ゴウが師匠とする出水監督(リリー・フランキー)の役作りには、在りし日の名匠たちの姿が反映されているという。山田監督は、出水監督のキャラクターをリリーと作り上げる際、「黒澤さんであればこういう風に撮る」「小津監督はこうだった」と、当時名匠たちがどのように映画を撮っていたのかを撮影時にリリーに伝えた。リリーは当時を振り返り「山田監督のお話を聞いているだけで、その時代の撮影所の匂いというのを教えていただき、無理なくその時代の気持ちにならせていただけました」と語っている。

 一方、助監督を演じた菅田は、本作に参加して日本映画界を支え続けてきた巨匠・山田監督ならではの撮影手法に感銘を受けたそう。「山田監督の現場では映画作りって元々こうだったんだろうなって思いました。ワンカットごとの集中力やテンポ感が山田組ならではで、これが映画作りのスタートだったんだろうなって。登場人物の気持ちとか、見え方みたいなものを皆で探せるのがすごくいいですよね。誰かがちゃんと継承しないと」と、山田監督との撮影の中で感じた映画作りへの熱い思いを明かした。

 現代の日本映画界を支える俳優たちに継承された、山田監督の記憶。日本映画の黄金時代に青春を駆け抜け、“映画の神様”を信じ続けたゴウのもとに訪れた“奇跡”とは。ゴウが見た夢の続きを、スクリーンで見届けたい。

 映画『キネマの神様』は8月6日より全国公開。

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