奪われた赤ん坊…乳児売買組織の闇へと足を踏み入れる アカデミー賞ペルー代表作『名もなき歌』予告

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映画『名もなき歌』
映画『名もなき歌』ポスタービジュアル (C)Luxbox‐Cancion Sin Nombre

 第92回アカデミー賞ペルー代表に選ばれた実話に基づく映画『名もなき歌』が、7月31日より公開されることが決定。生まれたばかりの赤ん坊を乳児売買組織に奪われた先住民の母親の姿を収めた衝撃的な予告編と、ポスタービジュアルが解禁された。

 ペルー出身の女性監督、メリーナ・レオンの長編デビュー作となった本作は、かつて新聞記者だったメリーナの父が追った、実際に起きた事件に基づいて作られた衝撃のドラマ。

 1988年、政情不安に揺れる南米ペルー。貧しい生活を送る20歳の先住民の女性ヘオルヒナは、妊婦に無償医療を提供する財団の存在を知り、首都リマの小さなクリニックを受診する。数日後、陣痛が始まり、再度クリニックを訪れたへオルヒナは無事女児を出産。しかし、その手に一度も我が子を抱くこともなく院外へ閉め出され、赤ん坊は何者かに奪い去られてしまう。

 ヘオルヒナは夫と共に警察や裁判所に訴え出るが、有権者番号を持たない夫婦は取り合ってもらえない。新聞社に押しかけ、泣きながら窮状を訴える彼女から事情を聞いた記者ペドロは事件を追い、権力の背後に見え隠れする国際的な乳児売買組織の闇へと足を踏み入れるが―。

 赤ん坊を奪われた母親の悲哀と絶望、そして孤独な新聞記者の内に秘めた苦悩と使命感を描いた本作は、貧困と格差、人身売買、民族差別とジェンダー差別、全体主義とテロリズムといった社会問題をも浮き彫りにし、それらが今の時代においても何ら変わっていないことを静かに提示してみせた。2019年カンヌ映画祭監督週間で注目を集め、以来世界各国の映画祭において作品賞ほか32部門で受賞。2020年度の第92回アカデミー賞国際長編映画部門のペルー代表に選出された。

 予告編は、大きなお腹のヘオルヒナが、威勢良くじゃがいもを売る場面から始まる。妊婦に無償医療を提供する財団の存在を知った彼女は、その施設を訪問。診察を受け「問題ない。出産時に来て。お金は問題ないから」と告げられる。やがてそこで無事に出産し「女の子だよ」と言われるが、娘を奪われ追い出され、病院スタッフと「どこにいるの!」と押し問答を繰り広げる。

 絶望の果て、ヘオルヒナは新聞社を訪問し「娘が盗まれた」と直訴。彼女の訴えを聞いた記者ペドロは事件の真相を追い、乳児売買組織の闇へと足を踏み入れていく。最後はペドロがヘオルヒナに「娘を探そう。約束する」と力強く語りかける場面で終了。レオン監督による抑制を利かせた演出スタイルや、モノクロ×スタンダードの画面に際立つヴィジュアル・センスが印象的な、胸に迫る予告となっている。

 映画『名もなき歌』は7月31日より全国順次公開。

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