「実は子どもが大好き」広瀬すず、“母性”が溢れる理由

映画
20210516広瀬すず『いのちの停車場』インタビュー
広瀬すず  クランクイン! 写真:ヨシダヤスシ

 2013年の女優デビュー以来、作品ごとに役柄の幅を広げている広瀬すず。映画『いのちの停車場』では、看護師として患者と真摯(しんし)に向き合う中、母性溢れる一面も垣間見せた。「私のイメージにはないと思うんですけど…」と照れながら話す広瀬の新たな表現に迫る。

■吉永小百合に「役を借りて思い切り甘えてみよう」

 広瀬が演じた星野麻世は、吉永小百合ふんする在宅医師・白石咲和子をサポートする訪問看護師。最初咲和子の考え方に戸惑うこともあったが、徐々に信頼し大切なパートナーとなる役だ。共演シーンも多く、2人の雰囲気が作品に大きな影響を与えることは間違いない。

 とは言うものの、相手は日本を代表する俳優。広瀬自身も「普通に考えたら、そんなになれなれしく距離は詰められないですよね」と苦笑いを浮かべるが、「でも変な遠慮があったら、2人の関係性に説得力がなくなってしまうので、本当に申し訳ないと思いつつも、麻世という役を借りて思いっきり甘えてみようと頑張りました」と撮影を振り返る。

 そんな広瀬のチャレンジに、吉永自身も瞬時に反応してくれたという。「作品を作る環境をものすごく丁寧に考えられていて、撮影以外のところでも2人の関係性を作るための時間をたくさんかけてくださるんです」。こうした吉永の懐の深さで、より広瀬は楽しくお芝居ができたようだ。

 さらに吉永を中心に現場が一体化していく存在感に魅了されたという広瀬。「現場にいるすべての方が、吉永さんの作品に参加できる喜びに満ち溢れていて、そういう光景を見ていると、圧倒的すぎて感動してしまいました。でもだからと言って、威圧感があるわけではなく。私が言うのも失礼ですが、とてもかわいらしい方で、誰からも愛されている。そんなすごい方の現場に毎日お邪魔してすみませんって思っていました(笑)」。

■母性溢れる演技に「実は子どもが大好きなんです」

 吉永という大きな存在へ向き合うチャレンジのほか、もう1つ本作の広瀬に感じたのが母性だ。麻世は他界してしまった姉の子を育てているという設定。子どもと一緒のシーンも多い。以前ヒロインを務めたNHK連続テレビ小説『なつぞら』でも母親役を演じているが、本作で子どもと接する広瀬の表情は非常に新鮮だった。

 広瀬は「たぶん私に“子ども好き”というイメージはないと思うんですけど、実は子どもは大好きで、小さいころは保育園の先生になりたいと思っていたぐらいなんです」と打ち明ける。メガホンを取った成島出監督からも「子どもとのシーンで、お芝居に関して演出的に言われた記憶がないんです。割と自分が思うがままに向き合えた気がします」とナチュラルに演じられた。

 広瀬自身はそこまで“母性”について自覚はなかったと言うが「作品を見たマネージャーさんに『今まで見たことがないすずだった』と言われたんです」と思い当たる節もあるようだ。

 以前、ある雑誌のインタビューで「将来はお母さんになりたい」と語っていた広瀬。「漠然とした夢ですが、子どもが欲しいから家庭を持ちたいという思いはありますね」と語った。

■「泣きの広瀬」に隠された嘘のない芝居へのこだわり

 近年の広瀬が演じるキャラクターは劇中で涙を流すことが多い。本作でも、ある出来事で広瀬演じる麻世が号泣するシーンがあるが、グッと胸を締め付けられるほど、その涙に感情移入してしまう。

 広瀬は「本当に多いですよね」と笑うと「でも無理なときは全然泣けないんですよ」と告白する。涙に至るまでの気持ちをしっかりと理解できなければ、その涙は嘘になってしまう。そうすると、芝居をすることに罪悪感が生まれてしまい、気持ちを保つことができないというのだ。

 泣く芝居だけでなく、広瀬にとって最も邪魔になるのが、慣れや経験からくる中途半端な技術だという。「うまくもないのに小手先で感情を作ってしまうことが、一番必要のないことだと思っています。だからこそ、すべての感情の流れをしっかり気持ちに落とし込まないとお芝居ができないんです。すごく生意気に思われるかもしれませんが、難しいときは監督に相談させてもらいます。ありがたいことに理解してくださる監督が多いので、すごく救われています」。

■作品ごとに髪型を変えて「役を抜く」

 劇中ではロングヘアの広瀬がスクリーンに映し出されているが、取材時はショートヘアで、ゆるふわパーマとガラリとイメージが違う。「私も短く切ったあと、この映画を見たら『やっぱり伸ばしたい!』って思ったんです」と屈託ない笑顔を見せた広瀬。

 ヘアスタイルを頻繁に変える印象があるが「作品が終わるごとに髪型は変えるようにしています。気分を変えたいというか、髪型を変えることで、前の役が抜ける感じなんです」と理由を説明する。

 嘘のない芝居を求め、しっかりキャラクターの感情に深く向き合うからこそ、役を抜くことに、こうした“儀式”が必要なのかもしれない――そんなことを感じさせられるほど、広瀬の芝居には魅了される。(取材・文:磯部正和 写真:ヨシダヤスシ)

 映画『いのちの停車場』は5月21日より全国公開。

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