「映画館を地域の居場所に!」 子どもたちと映画作品との“出会い”が今後の課題

映画
「うえだ子どもシネマクラブ」の取り組みライブ配信トークイベント
「うえだ子どもシネマクラブ」の取り組みライブ配信トークイベントより(上段左から)直井恵さん、原悟さん、北條誠人さん(下段)青木基晃さん

 長野県上田市にあるミニシアター「上田映劇」を拠点に運営されている「うえだ子どもシネマクラブ」の取り組みを紹介するトークイベントが6日に行われ、ミニシアタークラブYouTube公式アカウントよりライブ配信された。

 「うえだ子どもシネマクラブ」は、長野県の「上田映劇」「侍学園スクオーラ・今人」「アイダオ」のNPO3団体による連携事業。学校に通うことが困難な子どもたちを対象に、彼らの学校以外の居場所、自立支援のひとつとして、映画館を“コミュニティシネマ”として活用。上田映劇の休館日を利用し、登録した人向けに月に2回映画上映を実施している。

 トークイベントには、うえだ子どもシネマクラブの直井恵氏と原悟氏、ユーロスペースの北條誠人氏、ミニシアタークラブの青木基晃氏が参加。

 直井氏は「対象としているのが不登校で家にいる子どもたちなので、情報を届ける、ということに苦労しています。ですが、そこは学校の先生がチラシを生徒さんに届けてくれたり応援もあるので、いち映画館の頑張りだけでは滞っていたと思います。また、スクールソーシャルワーカー(学校と生徒を取り持つ)の先生との連携などにも助けられています」と現在の状況を説明。

 運営してみての反響については「多くいらっしゃってくれるのは、中学生が多いです。なぜか、特に中学2年生と小学5年生の子が多いです(笑)。やってみると場を必要とするのは子どもだけではない、ということが分かりました。普段、映画館に足を運ぶ余裕のない親子も大変多いです。親が仕事をしていてお子さんを映画館に連れて行くことがなかなかできないなど、生活の中に、いかに映画館、映画という居場所があるんですよ、という情報を伝えていくかが課題です。ですが、来場された親子から『同じ映画を観て親子で会話が増えました!』という感想も多くいただきます」と語った。

 北條氏は「お話を聞いて、昔と比べると映画館、ミニシアターを取り巻く環境がものすごく変化していると感じました。それは、映画館だけでどうこうするのではなく、映画館を取り巻く地域の人たち、団体、学校とさまざまなところと一緒にやっていることに力を感じました。全国のミニシアター運営の方にお話を聞くと、各地のミニシアターには目に見えないその地域地域独特のコミッティーの存在を感じます。それはミニシアターには本当に大切な財産になっていると思います」とコメント。

 シネマクラブの今後の課題について、原氏は「子どもたちと、映画作品との出会いを模索しています。やはり子どもたちが観たいという作品を届けたいですし、そのためには、最近は月1 回の上映から月2回に機会を増やしたりしていろいろと試している最中です」。

 直井氏も「いらっしゃるお子さんのほとんどはなぜか女子なんです。ですので、男子も来やすいように、スタンプ押しやイベント運営のために簡単な役割を与えて参加しやすい工夫もこれからしていく予定です。お子さん、親も含めて普段悶々と抱えているものを映画館というひっそりとした場所で映画を見ながら感情のアウトプットをしていただければと思っています。映画の力を日々体感しています。また、将来的には助成金なしでも持続していくための方策も考えて行かないといけないですね」と付け加える。

 さらにシネマクラブでの子どもに対する「出席扱い」について、直井氏は「実は、残念ながら上田市では認められてなくて、御代田町で採用されています。『教育機会確保法』というものが既に、文部科学省から出ておりまして、それがなかなか浸透していなくて。それが大きな課題です」と現状を明かし、「これまでの慣習よりも、子どもに寄り添った仕組みを採用していただけるよう広げていきたいです」と言葉に力を込めた。

 最後に北條氏は「ミニシアターは、文化資源としてきちんと生き残れる資質をキチンと持っているんだ、ということを再認識できました」と語った。

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