水原希子「ダメだったら役者を辞めよう」 すべてをさらけ出して挑む

映画
映画『彼女』水原希子インタビュー
映画『彼女』に出演する水原希子  クランクイン! 写真:松林満美

 モデルとして活躍するなか、2010年に映画『ノルウェイの森』で、俳優デビューを果たした水原希子。その後もコンスタントに映画やドラマに出演していたが、その活動は「可能性を引き出してもらえていた」とやや受動的な思いが強かったという。そんななか、Netflix映画『彼女』では、原作や台本を読んで「とにかくチャレンジしたかった」と前のめりに挑み「もしダメだったら役者を辞めよう」という強い覚悟で臨んだという――。

■ すべてをさらけ出さないと太刀打ちできない役

 中村珍のコミック『羣青(ぐんじょう)』を原作としたNetflix映画『彼女』は、高校の同級生時代から時間を経てつながった女性2人が、痛いほどに身も心もさらけ出した逃避行を繰り広げる姿を描いたラブストーリーだ。劇中では、感情をむき出しに罵りあうシーンや、過激に体を求めあう描写など「体当たり」という言葉も陳腐に聞こえるほど熱を帯びたシーンが満載だ。

 水原自身、これまでも数多くの映画やドラマに出演しているが、演じたレイという役に対して「10年役者をやってきましたが、ここまで自分の気持ちをさらけ出さないと太刀打ちできないと思える役に出会える機会なんてめったにないと思う」と特別な感情を持ったと明かすと、これまでの俳優人生を振り返り始める。

■ 俳優業に対して受け身だった20代

 水原が俳優業に進むきっかけとなったのは、村上春樹が1987年に発表した小説を原作とした映画『ノルウェイの森』(2010)だった。オーディションの話をもらったとき「絶対通るはずない」という思いで受けたというが「たまたま緑という役柄が、私のバックボーンと似ていたことにシンパシーを感じたトラン・アン・ユン監督が私を採用してくれたんです」と、俳優業への扉が開けた。

 その後、『ノルウェイの森』の演技によって、水原の才能に可能性を感じた人たちからオファーが続いた。「私自身、いろいろなお話をいただき、作品に出演させてもらったおかげで、自分でもまったく気づいていなかった自分を引き出してもらえたんです」。

 こうして続いた作品への出演は、自らの表現を積極的にアピールするというよりも、一流のクリエイターたちによって“引き出してもらっている”という感覚だった。どちらかというと、20代は、俳優業に対しては「受け身」だったという。

■ 「もしダメなら役者を辞めなければ」 覚悟を胸に臨んだ作品

 しかし、前述したように『彼女』という作品で巡り合ったレイという役柄は「受け身」では太刀打ちできないほど自分とは違う人生を背負っている。「高校時代から愛している女性を救うために人を殺し、その人と逃避行をするのですが、決して相思相愛ではない。旅のなかで、自分をさらけ出し、罵倒し合い、欲望をむき出しにして…そこで初めて見えてくるものがある」。

 むき出しの本性を、水原希子という人間の生きざますべてをさらけ出して表現する。「まさに自分との闘いですよね」と苦笑いを浮かべると「役者・水原希子として、もししっかりと役を全うできなかったら、役者という仕事には向いていないだろうし辞めなければいけないと思うぐらいの覚悟が必要でした」と、全身全霊を懸けて能動的に作品に挑んだことを明かす。

 そんな水原の覚悟を、メガホンをとった廣木隆一監督も受け止めた。「とても“役者ファースト”で、私が不安なときは『大丈夫だよ』という言葉ではないのですが、常に現場で寄り添ってくださいました。順撮りにこだわってくれたことも本当にありがたかったです」と感謝を述べる。

■ 損得勘定を超えて「表現したいことを悔いなくやっていきたい」

 昨年30歳を迎えたときに巡り合った本作。水原は「区切りを迎えて心境の変化はありました」と切り出すと「自分のなかで、コロナ禍前はとにかく目まぐるしく時間が流れていて、なにかを考える余裕がなかった。でも自粛で一回ストップしたとき、自分にとって大切なもの、表現したいものってなんだろう…とすごく深く考えたんです。そのとき、誰に理解されなくてもいいから、本当に自分の表現したいことにちゃんと向き合おうと思えました」。

 2020年夏に撮影された本作。水原にとって「自分の表現したいこと」がこの作品だった。だからこそ、心身ともに過酷な撮影が予想された作品でも「やりたい」と強い気持ちになれた。

 「例えば、こういう発言や表現をするとコマーシャルがなくなるとか、仕事がこなくなるとか…やっぱりそういうのってあるとは思うんですが、私自身は、一度きりの人生なので、損得勘定ではなく、自分がしっかりと表現したいという気持ちになったら、悔いなくやっていきたいです」と語った水原。

 その表現方法はファッションでも、写真でも、美術でも、どんな形かはこだわらないという。それでも「役者を辞める覚悟」で臨んだ本作を撮り終え、俳優業も「やりたいと思った役柄でしっかり表現していきたいです」とさらなる飛躍を誓っていた。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美) 

 映画『彼女』は、Netflixにて4月15日より全世界独占配信。

エンタメ最新記事一覧

特集

クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介