浜辺美波と多数の共通点を持つ「福本莉子」の真の強み

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2020年7月撮影 福本莉子
福本莉子  クランクイン!

【人物コラム/田幸和歌子】昨年は『アリバイ崩し承ります』(テレビ朝日系)出演と、『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)での横浜流星とのダブル主演、『タリオ 復讐代行の2人』(NHK総合)で岡田将生とのダブル主演を務め、現在は主演・菅野美穂の娘役で『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系/毎週水曜22時)に出演するなど、放送局も各局にまたがりつつ、立て続けに連ドラに出演しまくっている浜辺美波。間違いなく現在の若手エース女優の一人だが、そんな彼女といくつもの共通点を持っている注目すべき女優がいる。

 同じく「東宝シンデレラ」で、共に「20歳」、しかも共に「身長156cm」。しかも、浜辺が第7回東宝シンデレラオーディションニュージェネレーション賞を受賞したのに対し、第8回東宝シンデレラオーディショングランプリを受賞しているのが、福本莉子だ。

 なんて奇跡的でワクワク感やキラキラ感のある2人なんだろう。といっても、主演が続く浜辺と比べると、まだそこまで認知度は高くないかもしれない。彼女の「演技」を強く意識したのは、阿部潤の原作コミックをドラマ化した、小澤征悦主演の『パパがも一度恋をした』(2020年2月期/東海テレビ・フジテレビ)だ。

 愛する妻を失ったことで3年間引きこもりニートになっていた父・吾郎(小澤)と、それを心配するあまり「おっさん」(塚地武雅)の姿になって蘇った母・多恵子(本上まなみ)。吾郎は原作とは雰囲気が少々違っていたが、大きな熊のような風貌がかえって悲しみとおかしさを誘っていたし、何より話題になったのは、塚地の多恵子がどんどんかわいく見えてくること。しかし、どう見ても濃厚すぎるキャラの両親にはさまれた娘・トモを演じていた福本が、実はこの作品のバランスをとっているようにも見えた。

 亡くなった母にかわり、家のことを頑張り、ダメ父を励まそうと頑張るトモ。しかし、突然現れた「おっさん」姿の母に戸惑い、やがて自分の場所が奪われるような不安も見せつつ、少しずつ受け入れていく。おっさん同士の暑苦しい抱擁やイチャイチャぶりに対して、一歩引いた場所から愛情を見せる「大人」で健気なトモがかわいくてならなかった。

■「眼福」ならぬ「耳福」 楽器が鳴るような美声が魅力

 そんな余韻冷めやらぬうちに、今度はアニメ化も大好評だった大童澄瞳原作の同名コミックのドラマ化『映像研には手を出すな!』(2020年4月期/MBS・TBS)に、生徒会の切り込み隊長・阿島九として登場。しかも、彼女の出演に気づいたのは「声」だった。「鈴の鳴るような」とは月並みな表現だが、福本の声には、何をしていてもハッとして思わず顔を上げてしまう、よく響く楽器の澄んだ音色のような心地よさがあるのだ。

 それをさらに確信したのは、彼女にとって連ドラ初主演作となった『歴史迷宮からの脱出~リアル脱出ゲーム×テレビ東京~』(2020年10月期)である。

 これは放送中に視聴者がニュースアプリ「SmartNews」で回答を入力し、回答順位を競い合うという斬新な視聴者参加型ドラマ。企画そのものは面白いが、ビル・フジタを演じている要潤は『タイムスクープハンター』のようで変人極まりないし、内容はなかなか珍妙で、ドラマとしてはスマホで参加しない限り、よくわからない部分も正直あった。

 しかし、福本が演じている「ギャルでおバカな女子高生」谷田純が、とにかくいい。「スマホがないと生きていけないおバカキャラ」で、面倒なことはスルーするタイプで、終始おバカな発言をしたり、騒いだりしている。普通だったら、うるさく、鬱陶(うっとう)しく思えかねないキャラなのに、福本が演じると、ちっともうるさくないし、イヤミがないし、何ならかなりおバカかわいい。それは色白×大きな目の愛らしいルックスも当然あるのだろうけれど、何より全く騒音になりえない、小鳥のさえずりのようにずっと聴いていられる「美声」が大きく影響していると感じた。

 この不思議な声の魅力が気になってSNSで感想などを見ていると、「福本莉子の声を楽しめる30分」などというつぶやきも見られたくらい、やはり「声」に惹(ひ)かれてしまう人は多そうだ。若くかわいい女優はたくさんいる。しかし、この若さにして、「眼福」ならぬ「耳福」の魅力を持つことは、俳優にとって非常に大きな武器なのではないだろうか。

 そんな彼女がまたしても「耳福」の時間を与えてくれているのが、和山やま氏の人気漫画を原作とし、関西ジャニーズJr.のユニット「なにわ男子」の大西流星主演×『アンナチュラル』『MIU404』などの塚原あゆ子氏が監督を務め、4日に最終話が放送された『夢中さ、きみに。』(MBSほか/毎週木曜24時59分)だ。

 原作では、中高一貫校に通うミステリアスな高2男子・林美良を中心とした物語4編と、中学時代にモテ過ぎたことで起こった事件のトラウマから「絶対モテない」演出をしてひっそり過ごす二階堂明の物語4編とでそれぞれ交わらない短編集だ。しかし、原作では独立したパートでつづられる交じり合わない人々の日常を、ドラマでは「お嬢様女子校に通う読書好きのオタク」松屋めぐみを演じる福本をつなぎ役にして、交差点でそれぞれの人々が交錯する構成としている。

 原作では知りえない男子の日常のやりとりの話を、お嬢様女子校の松屋が聞き、白い肌をうっすら紅潮させ、大きな瞳をちょっぴり潤ませて、興奮した様子で言うのだ。「尊い!」

 原作よりもわかりやすい腐女子的描かれ方をしているにもかかわらず、それがいやらしくならず、ちゃんと和山やまワールドののほほんとしたローテンションの抜け具合や上品さも漂わせている松屋さん。物語の立体化の軸となりつつ、自身のキャラの魅力も増量する福本はやっぱりすごい。

 福本は3月からAmazon Prime Videoで配信のドラマ『賭ケグルイ双』に出演。今年夏公開の『しあわせのマスカット』でも初主演を果たすなど、今年はさらに注目を集めるはずだ。

 改めて「東宝シンデレラ・20歳・156cm」が今、最強なんじゃないか。そして、浜辺美波に次ぐ正統派筆頭の若手女優こそ、福本莉子なんじゃないかと思うのだ。(文:田幸和歌子)

<田幸和歌子>
1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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