土屋太鳳が抱く“結婚”へのイメージ「そこまで希望は抱いてないです(笑)」

映画
映画『哀愁しんでれら』土屋太鳳インタビュー 202101
土屋太鳳  クランクイン!  写真:高野広美

 映画『哀愁しんでれら』で、主人公の小春を演じている土屋太鳳。天真爛漫(らんまん)な役柄のイメージが強い土屋だが、本作では幸福な結婚を手にしたはずが、徐々に運命の歯車が狂い始め、追い詰められていく女性を見事に体現している。これまで数多くのヒロインを演じてきた土屋だが、そんな彼女が本作を通して考えた“幸せ”とは? また、2月3日に26歳になったばかりの彼女が、20代半ばに差し掛かり、演じることへ心境の変化があったことも明かした。

 土屋が演じた小春は、平凡な生活を送っていたが偶然、開業医の大悟と出会い、彼のプロポーズを受け入れ結婚。幸せな生活を始めるも、やがて世を震撼(しんかん)させる恐ろしい事件を引き起こすことになる。

■3度断ったオファーを引き受けた理由 田中圭の存在

 土屋は当初、3度にわたって本作のオファーを断り、4度目でようやく引き受けた。「私は10代の頃、割と複雑な役をやらせてもらっていて、そういう意味でこういう極端な物語に抵抗があったわけではなかった」と語るが、それでも3度も断りを入れるほど、“覚悟”が必要な役柄だった。

 「監督とプロデューサーとお話をさせていただいて、もう一度、台本を読み直したら、小春が『誰か、私の役に魂を吹きこんで』と泣いているような気がしたんです」とこの役を引き受けることを決めた経緯を明かす。

 もうひとつ、土屋が“4度目の正直”でこの役を引き受けた理由として挙げるのは、大悟を演じる田中圭の存在である。映画での共演は『図書館戦争』シリーズ以来。「私の中で、大悟さんという役に圭さんがぴったりハマったんです。圭さんが演じるなら、小春として生きられるかもしれないと思いました」とゆるぎない信頼を口にする。

 「最初に共演させていただいたのは私が19歳の時で、圭さんはお兄さんみたいな感じでした。(NHKの連続テレビ小説)『おひさま』を見て感動して以来、『いつかご一緒したい』と思っていたので夢のような時間でした。『またいつか一緒に』と目標にしていたので、こうして共演できるところまで来られたのがうれしかったです。圭さんは、相手が無理して感情を作ろうとしなくても、自然に感情を引き出すお芝居をしてくださるんです。普段はすごく人間らしいというか、カッコつけ過ぎない方ですね」。

■「“普通”でいることって、幸せになるってことと同じくらい難しい」

 土屋は、小春というヒロインを「普通の女の子」と語る。この“普通”という概念こそ、この役の難しさでもある。児童相談所で働き、家族の面倒を見つつ「幸せになりたい」と願う真面目な26歳。そんな普通の女性が、やっと手に入れた幸せに追い詰められ、堕ちていく。

 「 “普通”でいることって、幸せになるってことと同じくらい難しいと思います。例えば、学校で自分の感情をワーッと出したら、普通じゃいられないわけで、みんなどこかで感情を押し殺して自分を保っている。そういう部分は、20代になっていろんな役をやらせてもらって実感していたので、その繊細さ――普通だからこそ我慢している感情を生かそうと思って作っていきました」。

■「何でも話し合える家庭にできたらいいな」

 “幸せとは何か?”というのも本作のテーマのひとつ。土屋にも小春のように、白馬の王子様が迎えに来てくれるような「幸せになりたい」という願望はあるかと問うと「幸せにしてほしいですね、やっぱり」と笑いつつ「でも…」と続ける。

 「自分が何もしなくていいなら『幸せにしてください!』と思うけど…誰かに幸せにしてもらおうってだけじゃダメってわかっています(苦笑)。幸せもすごく難しいですよね。ごはんと一緒で、高級ならおいしいってわけじゃなく、誰とどんな会話をしながら食べるかで幸せ度って変わるじゃないですか。“欲”ですよね。危ないのは欲だなってこの作品を通じて感じました。結婚に関しては、母からずっと『結婚生活はいいことばかりじゃないよ』と言われてきたので、そこまで希望は抱いてないです(笑)。ただ、何でも話し合える家庭にできたらいいなと思ってます」。

■演じることへの心境の変化「周りを頼っていいと思えるように」

 10代から20代前半にかけて、少女漫画原作のヒロインを演じる機会も多かったが、20代半ばに差し掛かり、確実に役柄の幅も広がってきた。「以前よりも『絶対にこの感情を出すぞ』という覚悟が強くなった気がします。甘えずに感情を表現しようとするようになったというか、前よりも少し心を強く持てているのかなと」。
 
 そうした変化をもたらした要因は何なのか?

 「周りを頼っていいと思えるようになりました。以前は自分の役を深めることができるのは、自分しかいないんだって考えていました。例えば『兄に愛されすぎて困ってます』は、はたから見たらキュンキュンするようなシーンが多いけど、実は兄とは血がつながっていなくて…というシリアスな設定があって、そのギャップを作るために自分はひたすら暗いことを考えたりして役を作っていました。でも今は、現場で不安があったら、それを周りに伝えてもいいし、自分は思い切りやって、周りに任せられる部分は任せていいんだなと。改めて、みんなで一緒に作っていくことの大切さを感じています」。

 あの土屋太鳳がこんなヒロインを――? そんな驚きをこの先さらに届けてほしい。(取材・文:黒豆直樹 写真:高野広美)

スタイリスト/藤本大輔(tas)
ヘアメイク/尾曲いずみ

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