<ホラー映画ナビ>謎だらけ! “無限縦割り”空間で極限サバイバル『プラットフォーム』

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映画『プラットフォーム』
映画『プラットフォーム』ポスタービジュアル (C)BASQUE FILMS, MR MIYAGI FILMS, PLATAFORMA LA PELICULA AIE

 次々と日本上陸を果たす最新ホラー映画から、観て損なしの「この1本」を独断と偏見でチョイス。関連度の高い「おすすめ作品2本」とあわせてご紹介! 今回は、謎だらけの“無限縦割り”空間での極限サバイバルを描くスペイン発、進化系シチュエーション・スリラー『プラットフォーム』が登場。

 目覚めた場所は殺風景な謎の部屋。コンクリートの壁に書かれた「48」の文字は、どうやら階層を示す数字らしい。すると向かいのベッドに座る初老の男が告げる。「今は月の初めだ。問題は、何を食うかだ」――。

 部屋の中央の床と天井には四角い穴が空いており、その穴は下の階へと無限に続いている。ここは一体どこで、彼らはなぜ「無限の階層」に囚われているのか。やがて、天井の穴から石造りの巨大な食卓<プラットフォーム>が降りてくる。そこに所狭しと並ぶのは、47層までの住人たちが食い散らかした残飯。たとえ気味が悪くとも、食料はこれしかない。食卓が部屋に留まるのは一定の時間のみで、食べ物を手元にくすねると部屋の温度が急上昇、あるいは急降下して死に至る。ルールを破れば即、死亡というわけだ。最低限の生活ができる設備だけを備えた奇妙な小部屋で、戦慄のサバイバル生活が始まる。

 この縦割り地獄では、貧富や男女、年齢の差にほぼ意味はない。1ヵ月ごとに階層が入れ替わり、今日は残飯に飛びつく「下層の住人」をあざ笑っても、明日は自分がさらに下層の「飢餓地獄」に落ちるかもしれない。このサバイバルを生き抜くためには、プラットフォームに並ぶ食料をどれだけ食うか、人々の善意と連帯が絶対条件となる。

 ここで浮かび上がるのは、人間の根幹にある「生きる」本能のコワさ。最初は縦割り無限監禁部屋の奇抜なビジュアルや、豪勢なフルコースが盛りつけられた移動式食卓のギミックに目を奪われ、先が読めない(読めるワケがない)ミステリアスなシチュエーションの連続に興味を引かれるが、やがて、彼らに降りかかる「生きる」ための究極の選択に震えることになる。

 縦割り地獄の住人には、好きなアイテムをひとつだけ持ち込むことが許されている。主人公は退屈しのぎに本を持ち込むが、初老の同居人が自慢するのは通販で買った切れ味抜群の料理包丁“サムライ・プラス”。ほかにも愛犬で孤独を紛らわす者、サーフボードを壁に飾る者もいる。それぞれのアイテムがどんな窮地を救うか(または全く役に立たないか)もお楽しみ。パンチの利いた傑作ホラーの名産地スペイン発、進化系“縦割り”地獄スリラー『プラットフォーム』が突きつけるのは、あなたがどこまで「人間」でいられるか? という恐ろしい問いなのだ。

 映画『プラットフォーム』は公開中。

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<『プラットフォーム』を気に入った人におすすめしたい2本>

★シチュエーション・スリラーの先鋭的作品『CUBE』(1997)

 謎の立方体=キューブのなかに囚われた6人の男女。部屋の壁は六面とも同じ構造で、閉じ込めた理由や目的は一切不明。屈強な黒人警官に、冷静な女性精神科医、初老の天才脱獄犯、数学を学ぶ女子大生と、立場も性格もバラバラな彼らは、随所に恐るべき殺人トラップが潜む「死の立方体」に隠された「あるルール」を見破り、決死の脱出を試みる。ゲーム感覚のアイデアとユニークなビジュアルで、密室型シチュエーション・スリラーの代名詞となった傑作。

★ある意味これも、シチュエーション・スリラー!? 『泳ぐひと』(1968)

 暑い夏の日、その男(バート・ランカスター)は海パン一丁でふらりと現れた。長身の美男子で会社重役でもある彼は、ご近所の高級住宅地のプールを一軒ずつ泳ぎ継ぎながら、わが家を目指す。しかし、彼を迎える知人たちの態度に徐々に不穏な空気が漂い始め…。価値観の大きな転換期を迎えた1960年代後半、アメリカで誕生した「ニューシネマ」一派の異色篇で、ホラーではないが、サスペンスともドラマとも言えないジャンル分け不能な1本。不条理な風刺劇ではあるが「プール」をひとつの空間に見立てれば、これも立派なワン・シチュエーションもの。衝撃の結末は必見!

(文・山崎圭司)

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