『ソウルフル・ワールド』制作陣、“5歳児にも届く”奇抜な設定にも自信

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映画『ソウルフル・ワールド』
映画『ソウルフル・ワールド』メインビジュアル (C)2020 Disney/Pixar. (C)2020 Disney and its related entities

 映画『モンスターズ・インク』(2001)、『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)、『インサイド・ヘッド』(2015)など大ヒット作を次々と手がけ、現在はピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーも務める名匠ピート・ドクター監督。ディズニー&ピクサー最新作『ソウルフル・ワールド』で彼が選んだテーマは、人間が生まれる前の<ソウル(魂)の世界>。「大人から子どもまで全世代が楽しめる作品」と自信をのぞかせるドクター監督が、プロデューサーのダナ・マーレイと共に本作に込めた思いを語った。

 本作は、ディズニー&ピクサーが贈るイマジネーションあふれる最新長編アニメーション。<ソウルの世界>を舞台に、「やりたいことが見つからない」「夢もない」と人間に生まれることを何百年も拒むソウルの女の子・22番(ティナ・フェイ/川栄李奈)と、プロのジャズピアニストになる夢を一途に追い続ける音楽教師ジョー・ガードナー(ジェイミー・フォックス/浜野謙太)が出会い、“人生の素晴らしさ”を探す奇跡の大冒険を繰り広げる。

■ ドクター監督の心の葛藤から生まれた物語

 憧れのジャズクラブで演奏するチャンスを手にした主人公のジョーが、喜びすぎてマンホールに落下! 行き着く先が、人間が生まれる前に性格や才能、個性を決める場所<ソウルの世界>という急展開。こんな奇抜な発想、いったいどこから生まれてくるのか。脚本も手掛けたドクター監督は、「ピクサー作品全てに言えることですが、奇抜な物語やキャラクターは、われわれ作り手たちの人生が反映されて生まれてくるものがほとんど。今回の<ソウルの世界>は、僕の自伝的要素が基になっているんだ」と明かす。

 「前作の『インサイド・ヘッド』が終わった後、僕はふと人生を振り返ってみたんだ。30年以上、アニメの製作に携わってきたが、『時間を有効に使ってきたのだろうか』『もしかしたら、自分のためにも、地球のためにも、もっとほかにやるべきことがあるんじゃないか』と。そういう思いが起点となって、この企画が生まれたんだ」。キャリアをそれなりに積み重ねてくると、「本当にこれでよかったのか?」と自問自答したくなる瞬間が誰でもある。本作は、そんな悩める人々へエールを送る物語でもあるのだ。

■ 「現実」と「ソウル」の鮮やかなコントラスト

 それにしても本作は、精巧かつリアルなアニメーションで作られた<現実世界>と、かわいいキャラクターが登場するファンタジックな<ソウルの世界>のコントラストが実に鮮やか。ジャズが彩る<現実世界>についてプロデューサーのダナは、「ピアノ演奏は世界的なジャズ・ミュージシャン、ジョン・バティステさんにお願いしたんですが、演奏の素晴らしさはもとより、彼の指がとっても長くて美しかったんです。『これは絶対に映像に生かすべき!』と思い、カメラを何台も置いて、レコーディングしている時の彼の指をいろんな角度から撮らせてもらったの。それをアニメーションに採り入れたんですが、あの美しい演奏シーンはすごく気に入っているわ」と声を弾ませる。

 一方、イマジネーションあふれる<ソウルの世界>についてドクター監督は、「まず、<ソウルの世界>に住むキャラクターはどういうイメージか、リサーチすることからスタートした」と振り返る。「ピクサー内はもとより、各分野のいろんな方と話し合ったんだ。『空気のようなもの』だとか、『蒸気のようなもの』、あるいは『物理的なものではなく呼気のようなものだ』という方もいて。さんざん悩んだ結果、子どもたちも共感できて、感情移入しやすいあのキャラクターになったんだ」。

 <ソウルの世界>を切り盛りするカウンセラーは、さらに難航を極めた。「カウンセラーは、人間でもないし、ソウルでもない。しいて言えば、全てを包み込むユニバースのような存在。だから、それを形として見えるようにするにはどうしたらいいか、ソウル以上に悩んだね。ストーリー・ボード・アーティストやデザイナーたちと試行錯誤し、ようやく誕生したのがあのキャラクター。少々奇妙だけれど、満足はしているよ」。ピクサーアニメらしい精巧な現実世界、ゲームキャラクターのようなかわいいソウルたち、そして抽象画のようなカウンセラー…いろんな解釈、いろんなアイデアの交錯によって、本作の不思議な世界観が生み出されたのだ。

■ 大人から子どもまで「全世代」で楽しめる作品

 ドクター監督が言うように、たしかにソウルたちは、子ども受けするかわいいキャラクターにはなっているが、人生の意義を問い掛けるといういささか難しいテーマは、果たして子どもに受け入れられるのか。素朴な疑問をダナにぶつけてみると、「この映画のターゲットは家族全体なの」と主張する。「ただ、あなたが言うように『全員に届くかしら?』という心配はたしかにあったので、制作途中に内部で特別試写会を行ったんですね。これは、『インサイド・ヘッド』の時にもやったのですが、ピクサーのスタッフのお子さん4歳〜20歳まで、100〜120人集めて観てもらったの。ところどころ絵コンテなどが入った未完成のものではあったけど、1人1人感想を聞いていくと、これが予想以上の結果だったの」と述懐する。

 「例えば、一番幼いグループの5歳児でも、『目の前で何が起きたのか』がある程度は分かって観ているんですよね。よく言われることですが、大人の私たちって、子どもをちょっと見くびっているところがあるでしょ? でも、私たちが思っているよりはるかに彼らは映画のことを理解しているの」とニッコリ。「たしかに、中年のジョーがぶつかる年齢的な危機感みたいなものは、たぶんお子さんには理解できないとは思うけれど(笑)それ以外の部分では、ビジュアルのかわいらしさも手伝って、ちゃんと届いているんです」と自信をのぞかせた。

 大人から子どもまで、全世代で楽しめる<ソウルの世界>。一風変わったファンタジー・アドベンチャーを楽しみながら、日ごろ見落としがちな「日常の小さな幸せ」を家族でかみしめながら観るのも悪くない。(取材・文:坂田正樹)

 映画『ソウルフル・ワールド』はディズニープラスにて12月25日17時より独占配信。

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