「人間・三浦春馬には尊敬の気持ちしかない」 『天外者』共演の三浦翔平&西川貴教が思い出語る

映画
映画『天外者』インタビュー 202012
(左から)西川貴教、三浦翔平  クランクイン!

 三浦春馬さんの主演映画『天外者』で共演を果たした三浦翔平と西川貴教。「座長として、人間として、春馬には尊敬の気持ちしかありません」と口をそろえて称賛する2人が、本作への意気込みと共に、春馬さんと過ごした思い出深い撮影の日々を振り返った。

 本作は、春馬さん演じる、商都・大阪の基礎を作り上げた稀代の実業家・五代友厚の波乱に満ちた人生を軸に描く幕末青春群像劇。江戸時代末期、武士の魂と商人の才を併せ持つ若き薩摩藩士・五代才助(のちの五代友厚)は、より良い日本の未来を目指して、盟友・坂本龍馬(三浦)、岩崎弥太郎(西川)、伊藤博文(森永悠希)らと共に激動の時代を駆け抜ける。

■出演オファーにワクワクが止まらなかった

 正式にオファーを受ける前に、春馬さんから事前に本作の相談を受けたという三浦。「実はこういう企画があるんだけど、『どう思う?』と切り出して、五代友厚という人物について滔々(とうとう)と語り出したんです。そして、『彼の盟友役である坂本龍馬を、僕は翔平に演じてもらいたい。一緒に映画をやりたいんだ』とまっすぐな目で訴えかけてくるんですね。もう、その気持ちがうれしくて…」としみじみ。

 「その後、正式に出演依頼が届いた時は、春馬との共演も久しぶりだったし、西川さんや森永くんもいて楽しそうだったし、本当のことを言えば、坂本龍馬は役者として1度は演じてみたいと密かに思っていたので、内心ワクワクが止まりませんでした」と笑顔を見せる。

 一方、のちに三菱財閥を築く岩崎弥太郎を演じた西川は、岸谷五朗、寺脇康文が主宰する演劇ユニット『地球ゴージャス』の舞台がきっかけだったと振り返る。

 「一昨年の舞台になりますが、岸谷さんから河童の役をいただいて(笑)、僕なりに一生懸命に演じていたら、その姿を観てくださった映画関係者の方が、なぜか『弥太郎がここにいた!』と思ってくれたらしく、お声をかけていただきました。もちろん、翔平や春馬が出演するということも知っていたし、作品自体も『これは絶対に面白くなる!』と確信していたので、僕もワクワクが止まらず、クランクインがすごく待ち遠しかったですね」と声を弾ませた。

■幕末の人気キャラクター役でプレッシャーもMAXに

 舞台は、歴史好きの中でも特に人気の高い幕末。しかも、演じるのは、これまで数々の作品で名優たちが挑んできた坂本龍馬と岩崎弥太郎。予想通り、「プレッシャーは半端なかった」と三浦と西川は振り返る。

 龍馬を演じた三浦は、「とにかく役が役だけに、いろんな資料を読んだり、映像を観たり、先輩方の演技を研究したり、龍馬ゆかりの地をめぐってヒントを探したり…やれることは全てやり尽くした」そうだが、役作りを考えれば考えるほど頭が混乱し、逆に不安はつのるばかりだったという。「本番を前に、これはヤバイ!という状態だったのですが、春馬と何度も読み合わせをしているうちに不思議と心地良くなってきて。結局、春馬に引っ張られながら自然体で演じていたら、あの豪快な龍馬が出来上がっていた…今思えば、そんな感覚でしたね。ホント、春馬に感謝です」と目を細める。

 弥太郎を演じた西川も、先輩俳優の強烈なインパクトに最初は苦しんだ。「やっぱり『龍馬伝』(NHK大河ドラマ)の香川照之さんに引っ張られる方が多いと思うし、ほかにもいろんな方が演じてらっしゃるので、とにかく初手(しょて)が難しかったですね」と述懐。ただ、今回の台本を読み込んでいくうちに、ある疑問が浮かび上がってきた。「今まで弥太郎といえば、利益のためなら手段を選ばない非情なところばかり描かれ、どちらかというと時代のヒール的な感じでしたが、ちょっと待てよと。そんなに嫌われ者一辺倒だったら、一代でこれだけの財閥は築けないだろうと。あの人にはあの人なりの『人徳』があったんじゃないかなと思って、自分なりの解釈でチャレンジさせていただきました」と独自の役づくりを明かした。

■撮影を振り返り「人間・三浦春馬には尊敬の気持ちしかない」

 三浦(翔平)と春馬さんは、同世代で共演作もあり、親交が深かったことは知られているが、西川も共演こそなかったが、以前から交流があったという。「(回は違いますが)春馬も『地球ゴージャス』の舞台に出ていましたし、その前に『Act Against AIDS』というチャリティーコンサートでも交流があり、ちょこちょこと接点はあったんですね。だから今回、がっつり共演することができて本当にうれしかったですね」と喜びをかみしめる。

 そんな2人に、最も印象に残っている春馬さんとのシーンを聞いてみると、三浦は迷いなく船のマストに座って“未来”を語り合うシーンを挙げる。「龍馬は、ご存知のように才助が五代友厚になる前に暗殺されてしまうので、若き日の才助しか知らないのですが、才助と龍馬が、日本の未来を熱く語りながら、気持ちを1つに重ねていくあのシーンは忘れられないですね。言葉に表せないほど現場に一体感があったし、撮影も一発OKだった。ああいう空気感って、座長である春馬の人間性があって生まれるもの。とにかく、この映画に関わる全ての人を気遣い、大切にする男だったので、人間・三浦春馬には尊敬の気持ちしかありません」と思いを込める。

 三浦の言葉を真剣な表情で聞いていた西川は、五代友厚と岩崎弥太郎が対決するクライマックスのシーンを挙げる。「大勢のキャストがそろった喧騒(けんそう)の中で、お互いの意志をぶつけ合っていくシーンなんですが、1対1の勝負に見えて、実は2人の間には坂本龍馬がいたんですよね。しっかりと3人のシーンになっていて、春馬とそれを感じながら芝居ができたことが、今となってはいい思い出ですね」と感無量の表情を浮かべる。

 さらに、「セリフや芝居が人一倍多い春馬の負担は大きかったと思いますが、彼はそういうことをプレッシャーに感じるタイプではなくて、逆にそれを力に変えられる人。僕も翔平も、違う現場で座長としてがんばってきた経験があるし、アプローチはそれぞれ違いはあると思いますが、現場のあの優しい空気感は、春馬らしい作品の背負い方でしか生まれないもの。本当に尊敬できる素晴らしい座長ぶりでした」と春馬さんを称えた。(取材・文:坂田正樹 写真:高野広美)

 映画『天外者』は全国公開中。

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