杉野遥亮、デビュー5年目の決意 初心に戻り「ゼロからスタートしたい」

映画
映画『水上のフライト』杉野遥亮インタビュー 202008撮影
杉野遥亮  クランクイン!

 映画『水上のフライト』で中条あやみ演じる失意のヒロインを陰で支えるエンジニアを好演する俳優の杉野遥亮。2015年、第12回FINEBOYS専属モデルオーディション・グランプリを機に芸能界入りして今年で5年目、俳優としてもヒットドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)、『ハケンの品格』(日本テレビ系/第2シリーズ)で存在感を示し、『羊とオオカミの恋と殺人』では映画初主演を果たすなど着実にキャリアを積み重ねている。次世代を担う俳優として順風満帆な杉野に、本作に込めた思いとともに、コロナ禍で見えてきた“心”の現在地を聞いた。

■“ありのまま”を受け入れることの大切さを教わった

 本作は、実在するパラカヌー選手の半生をヒントに、映画『超高速!参勤交代』などの脚本家・土橋章宏が作り上げたオリジナルストーリー。事故で歩けなくなった走り高跳びの有望選手・藤堂遥(中条)がパラカヌーと出会い、さまざまな人々に支えられながら、新たな夢に向かって羽ばたく姿を活写する。メガホンを取るのは、『キセキ ーあの日のソビトー』の兼重淳監督。杉野のほかに、遥を受け入れるカヌー教室のコーチ・宮本浩役を小澤征悦、遥の母・郁子役を大塚寧々が務める。

 ブリッジスクール(適応指導教室)の子どもたちが集うカヌー教室が舞台の本作。杉野が演じるエンジニアの加賀颯太は同スクールのOBで、遥の折れそうな心に寄り添いながら、彼女の車椅子やカヌーの制作に勤しむ寡黙な青年役だ。「両親のいない複雑な家庭で育ったというバックボーンを兼重監督と事前に話し合い、つらい思いをしているからこそ遥に言えることがある、ということをしっかり頭に入れて撮影に臨みました。現場に入ったら、あとは物語の中で沸き起こる気持ちに沿って演じるという感じでしたね」と述懐。

 中条演じる遥とは、友達以上、恋人未満。ちょっぴりいいムードになりながらも、なかなか距離が縮まらない。これに対して杉野は、「お姫様抱っこをするシーンがカットされたので、僕自身も“あれ? なんで?”と思いましたが(笑)、今はそこにこだわらないというか、遥と颯太がカヌー選手とエンジニアとして二人三脚でパラリンピックを目指す唯一無二の“パートナー”であることの方が大切かなと。最終的に恋人同士になるかもしれないけれど、重要なのは宮本さん、お母さんを含め、遥を支える3人が本質の部分で繋がっていることだと思うんです。それが苦難を乗り越える遥の最大の強みですから」と分析してみせた。

 また今回、撮影を通してパラリンピック競技について触れる機会が多かったと思うが、「僕は、特別な意識を持って見ることはなかった」という杉野。「パラスポーツだからとか、パラリンピックだからとか、そういうすみ分けは全く関係なく、同じ人間として、そこで戦っている選手たちが喜んだり、悔しがったり、輝いたりする姿に僕たちは感動するのであって、そこに遜色などはないと思いました。遥は自分の理想から外れて苦しみましたが、自分を受け入れることによって前を向くことができた。“ありのまま”の自分を受け入れることの大切さを改めて教えられた気がします」としみじみ語った。

■デビュー5年目の決意、初心に戻り「ゼロからスタートしたい」

 まだまだ予断を許さないコロナ禍が続くが、自粛期間中、自分を見つめる時間ができたという杉野。遥と同様、自分が苦しんでいる時に声をかけてくれている存在に改めて感謝したい気持ちに駆られたという。

 「直近だと『ハケンの品格』です。とことん役と向き合いたかったので、現場での過ごし方を今までと変えてみたり、自分自身にエネルギーを注いでみようと思ったり…すごく迷いながら撮影が進んでいたこともあって、後悔ばかりしていたんですが、クランクアップした後に、大泉(洋)さん、脚本家の中園(ミホ)さんをはじめいろんな人たちが声をかけてくださって。半信半疑だった自分のやり方を肯定していただいたので、本当に救われました。次に進むためのエネルギーになりました」と思いをかみしめる。

 芸能界に入って今年で5年目。今なお試行錯誤の日々が続いているようだが、そんな杉野に新たにチャレンジしたいことを聞いてみると、意外な言葉が返ってきた。

 「チャレンジというよりも、もう一度、初心に戻ってゼロからスタートしたいと思っています。一つ一つの作品に対して“感謝”の気持ちを持って取り組むとか、作品のためにもっともっと役を追求するとか、もっともっと丁寧に演じるとか、そういった基本的なことを改めて見つめ直す時期に来ているのかなと。自分自身の満足のためではなく、その作品に関わる人みんなで新しいものを作っていく楽しさを心から味わいたいと思います」。

 人気・実力ともに上り調子なだけに、大風呂敷を広げてもおかしくないところだが、「ゼロからスタートしたい」という真摯(しんし)な姿勢を示した杉野。それだけ自分を客観視し、足元がしっかり見えている証拠ではないだろうか。本作の抑えた演技を堪能しつつ、杉野の今後の活躍に大いに期待したい。(取材・文:坂田正樹 写真:高野広美)

 映画『水上のフライト』は11月13日全国公開。

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