清原果耶、“セリフのないシーン”で光る演技「感じていることを障害なく、クリアに」

映画
20200830清原果耶インタビュー
清原果耶  クランクイン!

 2015年にNHK連続テレビ小説『あさが来た』で女中・ふゆを演じて女優デビューし、今年でキャリア6年目に突入した清原果耶。昨年は『なつぞら』にヒロインの妹・千遥役で2度目となる朝ドラを経験し、来年には『おかえりモネ』の永浦百音役で主演を務める。順調なステップアップを続ける彼女の映画初主演となる『宇宙でいちばんあかるい屋根』が公開。『新聞記者』『デイアンドナイト』の藤井道人監督と組み、家族との関係や片思いに揺れる主人公の中学生つばめをみずみずしく演じている。18歳にして、すでに「若手演技派」と称されることも多い清原だが、なぜ彼女の芝居は観る者を引きつけるのか。その向き合い方を聞いた。

■映画初主演にプレッシャーも、ただ役を全うするだけ

 清原演じる14歳の中学生・つばめと、桃井かおり演じる謎の老婆・星ばあとのひと夏の交流を描いた『宇宙でいちばんあかるい屋根』。彼女にとって記念すべき映画初主演作だ。

 「主演はもちろんうれしかったですが、『私で大丈夫かな』という不安やプレッシャーのほうが大きかったです。座長として何ができるのか、考え込んでしまうこともあったのですが、作品やつばめのことをしっかり考えて、現場で素直に演じることに力を注ぎました」という清原。現場では「藤井監督やスタッフさん、キャストの皆さんが支えてくれました」と感謝を口にする。中でもつばめに大きな影響を与える不思議な老婆・星ばあを演じた大ベテラン、桃井かおりの存在は大きい。

 「撮影が始まって10日くらいして、桃井さんが(在住する)ロスから日本に来られました。そこで『初めまして』とお会いして、つばめと星ばあの出会いのシーンを撮影したんです。とても圧倒されて、いわゆるオーラみたいなものを感じました。本当にエネルギッシュな方で、これまでにもすごくパワフルな先輩方はいらっしゃいましたが、桃井さんのパワーは、また新しいものでした」。

 パワーの一方で、清原は桃井から別のことも感じ取っていた。

 「とても“繊細”だなと感じました。桃井さんが星ばあとして発する言葉は、方言みたいにちょっとアクセントが違っていたり、クセがあったりするんです。加えて、アクセントだけではなくて、急に大声で演じられたり。そうした細かいアクションがすごくありました。ビックリしましたけど、すごく面白かったです。真逆に聞こえるかもしれませんが、“繊細な爆発”みたいなものをすごく感じたんです。それについていこうと必死でしたね」。


■“セリフのないシーン”で光る演技「感じていることを障害なく、クリアに」

 “繊細”とは、清原の演技からも感じ取れるキーワードだ。特に、清原はセリフのないシーンで観る者の感情を揺さぶる。本作の終盤に登場する、星ばあとの“クラゲダンス”しかり、昨年の朝ドラ『なつぞら』も、その前年の主演ドラマ『透明なゆりかご』(NHK)も、セリフのないシーンを、ほんの細かい表情や体の動きで見せていた。セリフがなくとも感情が深く伝わってくる。そうした場面に、清原はどう向き合っているのだろうか。

 「それぞれの役者の方と対峙(たいじ)したときに感じることや、演じる役柄がそのとき感じていることを、障害なく、クリアに捉えることができればと思って臨んでいます。ここでこうしようとか、そういうことを考えて演じることはできないので…。とにかくそのときの気持ちをクリアに感じ取ること、そしてそれが伝わればというか、にじみ出れば、とも違うかな。とにかく何か、そこから出るものがあればいいと思っています」。

 ちなみに藤井監督は、清原を「撮影までにセリフや動き、衣装など全てを把握しておきたいタイプ」とコメントしていたのだが、事前に把握した上で、現場ではいったんゼロに戻して、クリアに感じ取るということだろうか。聞いてみると、アプローチは「役による」との答えが。

 「前準備が全くないほうがいい役もあります。ただ、今回のつばめは、ちゃんと脚本を読んで考えて、ある程度の基盤を作っておいたほうが、つばめという役を生きられると思ったんです。役によっては、とにかく現場に行って、というものもあります。たとえば去年のドラマ『俺の話は長い』(日本テレビ系)は家族5人の会話劇だったので、とにかくセリフを覚えていって、あとは監督に言われたことを『はい! 頑張ります!』という現場でした。それも楽しかったです」。

 前準備といえば、実年齢とは大きく離れた役を演じた『なつぞら』では必要だったのでは。

 「そうですね。料亭のシーンなどもあったので、専門的な所作を身に付けなければいけませんでした。だし巻き卵を巻く練習も必死にしましたし(笑)、日本舞踊も習いました。役へのアプローチとして、気持ちの前に、その人の基盤を体になじませることは必要だと感じます」。

■注目度上昇も本人は「まだまだ知らない世界ばかり」

 来年の朝ドラ『おかえりモネ』も期待される清原。年々注目度が上がっているが、本人は「まだまだです」と笑う。

 「いろんな作品に出演させていただいて、『観ました』と感想をいただくことが徐々に増えてきました。とてもうれしく感じていますが、自分としてはまだまだ知らない世界ばかりです。これから経験を重ねて、深く豊かな人間になっていきたいと思っています。まだまだ勉強したいことがたくさんあって、お芝居に関しても、もっともっと! という感覚です。もう少し、あと2、3年生きただけでもまた世界が違って見えてくるでしょうし、役柄もどんどん広がっていくはず。本当に勉強のしがいのあるお仕事だと感じています」と聡明な眼差しで語る。

 その人物の気持ちに、しっかりと共鳴させてくれる女優・清原果耶。2、3年先の未来でも測ることができない器がどう変化していくのか、楽しみでしかない。(取材・文:望月ふみ 写真:ヨシダヤスシ)

 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』は9月4日より全国公開。

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