上白石萌歌、エンタメの先行きに巡らせた思い「生で観ることの大事さを伝えたい」 

エンタメ
【オフィシャル】舞台『ゲルニカ』
舞台『ゲルニカ』に主演する上白石萌歌  撮影:源賀津己

 映画、ドラマ、音楽と幅広いジャンルでみずみずしい輝きを放つ女優の上白石萌歌。今年20歳を迎えた上白石は、この秋、長年出演を夢見てきた憧れの演出家のもとで主演舞台『ゲルニカ』に臨む。さまざまなことを考えたというコロナによる自粛期間を経て、新境地に挑む彼女に現在の心境を聞いた。

★念願の栗山民也とのタッグに充実感

 ゲルニカの元領主の娘がスペイン内戦により目覚め、さまざまな人々とのつながりの中、一人の女性として成長し、そして命の果てるその瞬間まで精いっぱい生き抜く姿を描く本作。演出を務める栗山民也が、スペイン内戦時のゲルニカ無差別爆撃を描いた画家パブロ・ピカソの『ゲルニカ』と出会って以来20年以上温めてきた構想をもとに、劇作家・長田育恵がゲルニカに生きる人々の人間ドラマにフォーカスして物語を紡いだ。

 上白石は、本作への出演オファーを「栗山さんとご一緒することが、長年の夢だったので、演出していただけることが何よりうれしかったですし、本当にあったゲルニカ爆撃という事実を伝えていかなきゃいけないな、責任を持ちたいなと感じました」と振り返る。稽古がスタートし、「毎日お稽古でいろいろなことをアドバイスしてくださるんですけど、その全部を家に持って帰りたいという日々が続いています」と目を輝かせる。

★バラエティに富んだ共演陣と化学反応を起こしたい

 自身が演じるサラは、「恵まれた環境に幼い頃から身を置き、少し世間知らずなところがある」女性。「年齢も同じくらいで、これからいろんなことを知っていく入口に立っているようなところには似たようなものを感じるので、その感覚はみずみずしく保っていたいです。いかに命を燃やして立っていられるかということを大事に、生き生きとお芝居したいです」と意気込む。

 共演者には、中山優馬、勝地涼、早霧せいな、キムラ緑子とさまざまなバックボーンを持った舞台巧者が顔をそろえる。「皆さん、年齢もバラバラですし、今まで経験されてきた作品も全然違う。それが一枚の板の上で、化学反応を起こすみたいにお芝居できることがすごく楽しい」そうで、「当時のスペインの生活を描いた映画や本など毎日膨大な量の情報を交換しています。皆さんによくしていただいていて、すごくいいカンパニーになるなって感じています」と明かす。

 キムラとは作中で母娘として激しく対峙(たいじ)する場面も多いが、「怖いシーンが終わった後とか、人が全然違うくらいに優しくしてくださって、よくアメとかくださいます(笑)。本当にお母さんみたいに優しくしていただいているので、そうした信頼関係があってこそのお芝居なんだなと感じています」。


★中学時代に衝撃を受けたピカソの『ゲルニカ』

 大学では芸術などを専攻しているという上白石だが、ピカソの『ゲルニカ』とは縁も。「地元の中学校にゲルニカのレプリカがあったんです。威圧感や悲痛さを感じる、声が聞こえてきそうなくらい衝撃的な絵でした。ピカソの絵って『泣く女』とか色をたくさん使うイメージがありますが、『ゲルニカ』はモノクロで描かれていて、白と黒だけであれだけ強いインパクトを残すのはすごい。今回の作品はピカソの絵のお話ではないですが、悩んだときにはあの絵を眺めたりしています」。

★何もない中でも吸収することが多かった自粛期間

 コロナ禍は、上白石の活動をも直撃した。本来なら2月28日の20歳の誕生日に初日を迎える予定だった舞台は中止に、主演映画『子供はわかってあげない』の公開も来年に延期された。自粛期間中は「普段できなかった手の込んだ料理を作ったり、クロスステッチとかしてました! 犬のクロスステッチを始めたんですけど、耳が一本出来ていなくて…。あんなに時間があったのになんで完成しなかったんだろう」と笑う。

 そんな中で「何もしないということもすごく大事なことだなと思いました。やっぱりお芝居はしたいし、先行きが見えないエンタメのことを悶々(もんもん)と考えたりもしましたが、何もない中でも吸収することはたくさんあったなと感じています」と前向きだ。

★生で観ることの大事さを伝えたい

 今回の作品は地方公演もあり、11月まで張り詰めた日々が続く。「舞台って生ものなので、観に来てくださる方もリスクを抱えて来ていらっしゃると思いますが、生で何かを観ることの大事さをこれからも伝えていきたいです。本当に健康があってこそのお芝居やお仕事だなと、これほどまでに思ったことはないので、人一倍健康でいられるように努めようと思います」と決意を新たに。
 
 「皆さんの久々の観劇体験がいいものであるように頑張りたいって思いますし、『ゲルニカ』という作品が、今の状況にすごく似ている部分があるとも感じているので、他人事じゃないんだなっていうことを感じていただきたいです。なにより安全に気を付けて劇場に足を運んでいただけるとうれしいです」。(取材・文:編集部 写真:源賀津己)

 PARCO劇場オープニング・シリーズ『ゲルニカ』は、東京・渋谷のPARCO劇場にて9月4日~27日、京都劇場にて10月9日~11日、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場にて10月17日~18日、愛知・豊橋の穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて10月23日~25日、福岡・北九州芸術劇場 大ホールにて10月31日~11月1日上演。

エンタメ最新記事一覧

特集

クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介