LGBTQの多様なあり方を映画から学ぶ! キアヌ・リーヴス出世作など12選

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キアヌ・リーヴス出世作からオスカー3冠映画まで! LGBTQ映画12選  写真提供:AFLO

 本日5月17日は「LGBT嫌悪に反対する国際デー」。毎年各国でイベントやメッセージが発信され、日本では2014年から「多様な性にYESの日」として記念日にも認定されている。LGBT、近年では「クィア」(性的マイノリティー全体を包括する言葉)、もしくは「クエスチョニング」(性自認、性的指向が定まっていない人の意)を表わすQを加えて「LGBTQ」とも呼ばれるが、以前よりさまざまな映画が公開され、観客に多様な性のあり方を問いかけてきた。今回はそんな中から、選りすぐりの作品を紹介していこう。

(1)『チョコレートドーナツ』(2012)
 まずは1本目は、1970年代のアメリカでの実話を基に、育児放棄されたダウン症の少年と家族のように暮らすゲイカップルの日々を描いた『チョコレートドーナツ』だ。世界各国の映画祭で10以上の観客賞を受賞した感動作だけあって、主人公ルディ役のアラン・カミングの名演と歌声に大泣きし、LGBTQへの無知、無理解にも気付かせてくれる。LGBTの入口としてふさわしい1本といえよう。号泣用ティッシュをお忘れなく。

(2)『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)

 キアヌ・リーヴスの名を一躍知らしめたガス・ヴァン・サント監督初期の代表作『マイ・プライベート・アイダホ』は、同性愛、近親相姦、ドラッグ、売春など、さまざまな社会問題が登場する。路上に立ち、男性に体を売って暮らしている青年マイクは、自分を捨てた母親を捜すため、男娼のスコットと共に故郷のアイダホへと向かうが…。重たい内容の中、若々しいキアヌと、若くしてこの世を去るリヴァー・フェニックスの美しさが印象的な作品だ。

(3)『ブロークバック・マウンテン』(2005)

 2005年のヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞したほか、アカデミー賞で監督賞に輝いたアン・リー監督による『ブロークバック・マウンテン』。本作は、ワイオミング州のブロークバック・マウンテンで20年以上にもわたって男同士の愛を貫いた2人の関係を描く人間ドラマで、主演のヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールが、20歳から40歳までの年齢を繊細に表現する。この2人の演技だけでも見る価値あり。

(4)『ムーンライト』(2016)
 第89回アカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞したヒューマンドラマ『ムーンライト』。マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンの成長を、3人の俳優が3つの年代で演じ分けていく。黒人の貧困社会の中での性的マイノリティと、差別と生きにくさが詰まっているが、社会派ほど重たくならず、あくまで視点は愛の物語。繊細で詩的、余韻もたっぷりだ。製作総指揮にブラッド・ピットが名を連ねている。

(5)『君の名前で僕を呼んで』(2018)

 名匠ジェームズ・アイボリーが脚本を執筆し、ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーが惹(ひ)かれ合う2人を演じた『君の名前で僕を呼んで』。北イタリアの避暑地を舞台に、17歳の少年と24歳の青年とのひと夏の情熱的な恋を、初恋のキラキラ感を満ちあふれさせながら描く。初恋ならではの楽しさや嫉妬、はかなさなどを見ていると、恋をする相手は異性でなくてもいいのだと改めて痛感させられる。みずみずしいラブストーリーだ。

(6)『エム・バタフライ』(1993)
 トニー賞受賞の戯曲を鬼才デヴィッド・クローネンバーグが映画化した『エム・バタフライ』は、文化大革命前夜の北京を舞台に、フランスの外交官と京劇の舞台女優との愛を描いていくラブストーリー、…と説明したいところだが、実はノワールサスペンスというもう1つの側面からも楽しめる作品。グロテスクな表現が得意なクローネンバークが描く、愛の形とは? あっと驚く結末はぜひ自身の目で確かめてみてほしい。

(7)『ある少年の告白』(2018)

 俳優のジョエル・エドガートンの監督第2作『ある少年の告白』は、若手実力派俳優として売出し中のルーカス・ヘッジスが、同性愛を治す矯正施設に入れられた少年ジャレッドを熱演。「同性愛は治療すべきもの」とする矯正施設での驚くべき実態と、少年の家族の葛藤がつづられる。ラッセル・クロウとニコール・キッドマン演じる両親が、ジャレッドからカミングアウトを受ける瞬間の演技は観客をうならせる。

(8)『ラースと、その彼女』(2007)

 ライアン・ゴズリング主演の『ラースと、その彼女』は、人が苦手な青年ラースが、彼女を紹介すると兄夫婦の元にやってきたが、連れてきたのは等身大のリアルドールだった…。と、一風変わった物語かと思いきや、人とは違うそのままのラースを周囲が受け入れ、そんな周囲をラースも受け入れていく、ハートフルな物語。ラースは厳密には「LGBTQ」ではないが、多様な性愛の形、という意味でこの映画も推しておきたい。

(9)『キャロル』(2015)

 オスカー女優ケイト・ブランシェットと『ドラゴンタトゥーの女』(2011)のルーニー・マーラーが共演したラブストーリー『キャロル』は、1950年代のニューヨークが舞台。女性当時の恋愛が法律で禁止されていた時代に、愛し合ってしまった2人の運命は――。自分らしさとは? 心のままに生きるとは? など、見終わった後にさまざまなことを考えさせられるだろう。

(10)『ミルク』(2008)
 伝記映画『ミルク』は、1970年代のアメリカが舞台。同国において、ゲイであることを公表した上で初めて公職に就いた政治家ハーヴェイ・ミルクの半生を描く。常に弱き者の味方で、人種や性別、年齢による全ての差別撤廃のために戦ったミルクの信念と行動力に、思わず胸が熱くなる。アカデミー賞主演男優賞を受賞したショーン・ペンの熱演は必見。

(11)『ボーイズ・ドント・クライ』(1999)
 アメリカで最も保守的な地域といわれるネブラスカ州フォール・シティで起こった実話を基にした『ボーイズ・ドント・クライ』は、かなりヘビーな1作。自分の性に違和感を抱く性同一性障害の女性ブランドンが、ラナという女性と恋に落ち、恐ろしい事件が引き起こされてしまう…。ブランドン役で圧巻の演技を披露したヒラリー・スワンクがアカデミー賞主演女優賞を受賞。事実が題材だけに、辛さや刺さる部分も多い。

(12)『his』(2020)

 最後に紹介するのが、今年公開された『his』。ドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)でブレイクした宮沢氷魚が主演を務め、藤原季節と共に演じる男性カップルが、周囲の人々の理解を求めてほん走する姿を描く人間ドラマだ。LGBTQの人々が直面する社会の偏見や差別、法的な問題など、生きづらを描きつつ、希望や優しさも織り込んでいく。宮沢の自然体な演技と、前年に話題作『愛がなんだ』を撮った今泉力哉監督の演出が光る1本だ。

 これまでLGBTについて考えたことがない人、これから知りたい人は、ぜひこれらの作品を見てほしい。映画だからこそ、さまざまな視点や意見、思いの丈などが、素直に自分の中に入ってくるはずだ。(文:安保有希子 )

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