レネー・ゼルウィガー、アカデミー賞スピーチの真意を語る「これはジュディへの祝福」

映画
レネー・ゼルウィガー、『ジュディ 虹の彼方に』インタビュー 【クランクイン!独占】
レネー・ゼルウィガー、『ジュディ 虹の彼方に』インタビュー  撮影:鈴木香織

 映画『ジュディ 虹の彼方に』で伝説のミュージカル女優、ジュディ・ガーランドを演じて、見事に第92回アカデミー賞主演女優賞に輝いたレネー・ゼルウィガー。エンターテイナーとして生きるプレッシャーや苦しみを味わいながらも、観客とつながる喜びを最後まで求め続けたジュディ役に、レネーは「強い共感を覚えた」と告白する。アカデミー賞でオスカー像を手に「ジュディに捧げます」と語った真意、そして難役に立ち向かった理由を語ってもらった。

 映画『オズの魔法使』の主人公ドロシー役に抜てきされ、17歳にしてスターダムに駆け上がったジュディ。本作は、彼女の晩年に行われたロンドン公演にスポットライトを当てた人間ドラマ。かつては大スターとしてハリウッドに君臨していたジュディだが、『オズの魔法使』撮影時から、MGM首脳陣はハードなスケジュールをこなし、彼女のスタイルを維持させるため、複数の薬物を投与しており、依存症や不眠症に苦しんだ。それにより精神的にも不安定になってしまい、度重なる遅刻や無断欠勤のせいで映画出演のオファーも途絶え、借金もふくらむばかり。そんな中、ロンドン公演が決まり、ジュディは起死回生をかけたステージに立つ。

■「ジュディに強い共感と思いやりを感じたわ」

 「歌えない」と駄々をこねてみたり、アルコールが手放せなかったりと、わがままでお騒がせな存在ながら、スポットライトの下では圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、観客の心を鷲づかみにしてしまうジュディ。演じる女優にとっては、いくつもハードルが立ちはだかる難役だ。オファーを受けたレネーは「恐怖よりも、好奇心が勝った」とニッコリ。「2歳の頃から世界的に活躍していたジュディが、なぜ晩年に経済的に困難な状況に置かれていたのか。なぜオファーできない人物として見られていたのか。私はジュディの晩年の苦労について知識がなかったので、まずそこを手がかりに彼女を理解していこうと思った。その過程では、彼女に強い共感と思いやりを感じたわ」と心を寄せる。

 『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)で世界的スターとなったレネー自身も、41歳になった2010年から6年間も女優を休業するなど、ハリウッドで生きる疲労感や厳しさを味わってきた。「この仕事をする上で、私もスケジュールのキツさというのは経験しているし、それを管理することの大変さも知っている」と苦労を吐露する。「ライブで歌うわけではない私ですらそうなのに、生でパフォーマンスをするジュディの苦労は計り知れないものがあったと思う。体調や声の調子など、すべての要素が重なり合わなければ、最高のパフォーマンスをすることができないのだもの。ものすごくジュディに敬意を感じた」と言い、その敬意が一番のモチベーションになったという。

■「どんどんハードルが上がる難役に『笑うしかない!』って思った(笑)」

 「ジュディはどんなに厳しい状況に陥っても、自分を持ち続けて、力強いパフォーマンスをした。そんな彼女を理解したいと思ったし、もちろんハードルがどんどん上がっていく役だったけれど、それはもう『笑うしかない!』って思った(笑)。監督からは、ジュディが晩年に歌うバージョンの『オーバー・ザ・レインボー/虹のかなたに』を要求されたり、『バイ・マイセルフ』『カム・レイン・オア・カム・シャイン』など、ジュディの歌う名曲が次々に送られてきて。『不可能だわ』と思うことばかりだったけれど、もう考える暇もない。『やるしかない!』と勇気を出したの」。

 レネーは全曲を自ら歌い上げることを決め、猛レッスンに励んだ。「歌のパフォーマンスをすることは、私にとって未知の世界。やったことのないスキルを身につけることは、スリリングでもあったわ。なにより、人前で歌うことのできる人は、生まれ持った特別な才能がある人にしかできないと思っていた。そんなことにチャレンジできるなんて、ワクワクした」とここでも好奇心が背中を押した。またジュディを演じ切ったことで、大きな力ももらったと続ける。「ジュディを演じた今では、人前でパフォーマンスをする魅力がわかった。観客との間に感じる愛情や魔法のようなものも、理解することができた。これは女優である私にとっても、すばらしいギフトだった」。

■アカデミー賞主演女優賞受賞!「これはジュディへの祝福よ」

 オスカー像を手にしたレネーは「この賞をジュディに捧げます。あなたは私のヒーローです」と愛情を込めて語った。ジュディという役でアカデミー賞主演女優賞を受賞したことには、「特別な意味がある。これはジュディへの祝福よ」とスペシャルな思いを感じたという。

 「この映画を観て心を動かされる人は、私の演技を通して、ジュディがいろいろなものを乗り越えたという伝説、そして彼女へのリスペクトと愛情を感じたんだと思う。『ジュディの晩年は悲劇的だった』と言われたりもしているけれど、私たちはそれを覆したいと思っていた。ジュディは一人の人間としていかに多様性を大切にして、思いやりと勇気を持っていた人であったのか。そしてクリエイティブな仕事をする人たちに、いかにインスピレーションを与える人物であったのか。そういったことを伝えたいと思っていたから、アカデミー賞をもらうことができて、みんながジュディへの祝福に参加してくれたような気がしたわ。それはとても特別なことで、本当にうれしかった」と目尻を下げる。本作の舞台となる1969年当時のジュディと同じ47歳で当たり役を獲得したレネー。奇跡の巡り合わせによって、心震わす映画が誕生した。(取材・文:成田おり枝 撮影:鈴木香織)

 映画『ジュディ 虹の彼方に』は3月6日より公開。

エンタメ最新記事一覧

特集

クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介