衛藤美彩、乃木坂46の肩書きは「私にとって本当に誇らしいこと」

映画
20200201衛藤美彩インタビュー
衛藤美彩  クランクイン!

 インタビュー中、凛(りん)とした表情で「アイドルとしての経験を糧に、未知の現場も楽しんで挑戦することができました」と明かしたのは、元乃木坂46の衛藤美彩。映画初出演にして初主演となる映画『静かな雨』で、女優としての一歩を踏んだ彼女だが、昨年3月のグループ卒業後、みずからの試金石となりうる作品の背景で何を思ったのか。その胸の内を聞いた。

■2人に胸を締め付けられた

 2016年の本屋大賞1位を獲得した『羊と鋼の森』で知られる作家・宮下奈都の同名小説を基にした本作は、とにかく観ている者の心を揺さぶる。交通事故を境にして1日ごとに記憶を失うようになってしまった、一人でたい焼き屋を切り盛りしている女性・こよみ(衛藤)と、彼女に恋心を寄せる生物考古学研究助手の青年・行助(仲野太賀)との同棲生活を中心に描いていくが、演じる上では「自分自身もすごく切なかった」と話す。

 「作品の前半までは、こよみさんが事故に遭った瞬間がハッキリ描かれているわけでないので、彼女自身に対してかわいそうという気持ちは少なかったかもしれません。ただ、行助さんの『僕の家に引っ越してくる?』の一言をきっかけに2人の距離が縮み始めてからは、記憶を失うという困難を抱えながらも、一緒に生きていくと決めた2人のやり取りに、だんだんと心が締め付けられるようになりました」。

 共に暮らし始めてからの2人のシーンは「とにかくつらい場面の連続でした」という衛藤。こよみの一挙一動から、切なさをかみ締めていたという。

 「自分自身が記憶をなくすと分かっていて、行助さんの嫌いな食べ物を台所にメモとして残していたり、目が覚めるたびに前日の出来事を忘れてしまったりするので、毎朝、『ここ、行さんの家?』とこよみさんが尋ねるのは、やるせなさもありましたね。

 本来、愛情を深め合えば思い出が重なっていくのが自然なはずなのに、それができないのはすごくつらいことじゃないですか。ただ、現実で大切な相手が、もしこよみさんのようになってしまったら、私はきっと行助さんと同じように『一緒に生きていく』と強く心に誓うと思います」。

■アイドル時代の経験を生かして

 女優としての第一歩を経て、セカンドキャリアを歩み始めた衛藤。2019年3月でアイドルとしての活動に終止符を打った彼女は、本作でダブル主演としてパートナーを務めた仲野から「対応力がすごい」と称賛されたという。

 「インタビューで『互いにすごいと思うところ』を聞かれたときに、太賀くんが言ってくれて、ありがたいですよね。具体的に何を指していたかは分からないんですけど、たぶんその土台にあるのはアイドルとしての経験だったのかなと思っています。

 乃木坂46のメンバーだった当時は1日の中で女優やモデル、タレントやアイドルといろいろなお仕事の機会をいただいていたんです。メンバーそれぞれも現場ごとに顔つきが切り替わって。例えば、舞台モードのキリッとした表情かと思ったら、乃木坂の衣装を着たとたんに『あ、乃木坂のいくちゃん(現役メンバーの1期生・生田絵梨花)だ』となったり(笑)。カメレオンのように瞬間ごとの自分を切り替えていた経験が、演技をする上でも生かされたのかもしれません」。

■責任を背負いながら、存在感を発揮していけたら

 自身が卒業するまでは、乃木坂46が「自分の帰ることができる場所」として心の中にあったと話す衛藤。一方で「グループの看板を背負う」という覚悟を持って、一人での仕事に打ち込んでいたというが、卒業した今は「あえて距離感を意識しながら活動を見守っています」と語る。

 「乃木坂46が自分にとってどれほど大きな存在だったかを知るためにも、2019年は距離感を大切にしてグループを遠くから見守ろうと決めたんです。在籍中は四六時中メンバーと一緒にいたからこそ、自立した自分にならなければ、卒業した意味がないという気持ちもありました。

 乃木坂46のメンバーの一人だったという肩書きは私にとって本当に誇らしいことで、その思いはこれからも変わりません。自分への評価は、ほかの誰かに預けるべきものだと思いますが、一人になった今、責任も背負いながら自分自身の存在感を発揮していけたらいいなと思っています」。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:松林満美)

 映画『静かな雨』は、2月7日より全国公開。

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