欅坂46キャプテン・菅井友香、グループの変化は「マイナスなことばかりじゃない」

エンタメ
20200119欅坂46・菅井友香インタビュー
欅坂46・菅井友香  クランクイン!

 学生運動の混乱を描いた、没後10年となる劇作家・つかこうへいの名作として知られる舞台『飛龍伝2020』。本作で、全共闘の学生たち40万人を率いる主人公・神林美智子を演じるのが欅坂46でキャプテンを務める菅井友香だ。グループをまとめる立場と共通する役柄に「周囲のみんなを守りたい気持ちは共感できます」と語った彼女に、舞台初主演作へ懸ける思いや、グループに対する胸中を打ち明けてもらった。

■ラブシーンは「独特の緊張感」

 菅井演じる美智子は、四国・高松から上京して進学したのち、全共闘作戦参謀の桂木純一郎(味方良介)に恋焦がれて、いつしか全共闘の委員長にまつり上げられるという数奇な運命をたどった女性。さまざまな人々を導く役割はどこか、グループのキャプテンである彼女と重なるが、演じる上では「自分にないものを美智子から吸収したい」と貪欲さを見せる。

 「私たちは26人で、美智子は40万人を従える役柄なのでスケールは比べものにならないですよね。でも、グループで何かが起きたときや、メンバーが辛そうなときに『もっと何かしてあげられないか』と思う気持ちはたぶん一緒で、実際、演出家の岡村(俊一)先生も欅坂46を例えに出してくださるときがあり、稽古中に共感する瞬間もあるんです。一方で、美智子の自分の主張を相手にぶつける強さとか、他人に惑わされない芯の強さは見習いたいと思っています」。

 富田靖子や広末涼子、桐谷美玲といった名だたる女優が歴代で美智子を演じてきた本作は、男性との激しいラブシーンも見どころだ。これまでになかった役どころに不安はないのか。菅井は「独特の緊張感も味わっています」と話す。

 「稽古中は常に気を張る場面の連続なんです。でも、美智子を演じるようになってから、少しずつ彼女が絶えず誰かの愛を求めて、誰かを守り、人を愛そうとする気持ちが人一倍強い人だというのが伝わってきたので、本番ではそれを表現できるように余裕を持って挑みたいです」。

■課題の“滑舌”には「ボイストレーニングを始めました」

 つか作品といえば、圧倒的な熱量でたたみかけるセリフの応酬の数々が特徴。しかし、グループの番組『欅って、書けない?』(テレビ東京)やラジオパーソナリティーを務める『レコメン!』(文化放送)などでは、苦手な“滑舌”に対してメンバーや共演者にたびたびイジられることも。そんな菅井は本番に向けて「滑舌を矯正するためのボイストレーニングを始めました」と明かす。

 「1つ1つの言葉に対しての威厳がまだ、足りていないのを実感しているんです。稽古の映像を見返したら、自分の想像とだいぶ違っていてヘコんでしまったり…。正直、滑舌も心配の種ではあるんですけど、この舞台に向けたボイストレーニングを通してイチから見直し始めました。はじめに『なんで(特に苦手な)“カ行”が言えないのか?』から教えてもらい、男性にも負けないような発声の仕方も学ぶようになって、自分が日頃からいかに“省エネ”で話していたのかも分かってきたので新鮮な気持ちです」。

■二期生との活動は「グループにとっても大きな分岐点」

 伝統ある舞台での初主演が決まった昨年。菅井にとって「安心できる場所」と話す欅坂46にも、さまざまな変化が訪れていた。その1つにあったのが、二期生たちの躍進。彼女たちの活躍を見守る中では「先輩としての自覚が芽生えました」と語る。

 「メンバーの入れ替わりもありつつ、一昨年末から二期生のみんなと活動するようになったのはグループにとっても大きな分岐点でした。一期生の自分たちすら苦戦していた振り付けをすぐに求められたりして、初めから『すぐに追いつかなければ』と相当なプレッシャーを抱えていたと思うので、彼女たちにとっては激動の1年だったはずなんですよね。

 それでも必死に食らいついてきてくれた二期生のみんなは心強かったし、自分にとっても頼れる後輩ばかりなので、不安そうな表情を浮かべていたらそっと声をかけたりして、日常的にも支えてあげなければという思いが日に日に増していきました」。

 さらに、ファンにとっても吉報となったのが、2019年7月の『欅共和国2019』で約1年2ヵ月ぶりに一期生・原田葵が復帰したことだった。彼女に対して菅井は「自分と似たような感覚を持っているのでホッとする存在」だと思いを明かす。

 「グループへ戻るかどうかは、本人もだいぶ悩んだと思うんです。でも、思い切って復帰してくれたのはありがたかったですね。葵ちゃんは賢くて、いるだけで楽屋の空気が明るくなって和むし、どこかグループを客観視できているので『そんな見方もあったのか』と気付かせてくれるような存在なんです。共和国での復帰はファンの皆さんも喜んでくれたし、私たちにとっても大きな出来事だったと思います」。

■選抜制への移行「変化はマイナスなことばかりじゃない」

 一方で、広く衝撃を与えたのが、発売を控える9thシングルからの選抜制への移行だった。これまで“全員選抜”として活動を続けてきたグループにとっては、あるべき形が大きく変わるほどの出来事だったが、菅井は「変化は決してマイナスなことばかりじゃない」と打ち明ける。

 「正直にいえば、複雑でした。昨年の夏頃から次のシングルについては考えていて、私たちは変わらないメンバーでやってきた意識もあったけど、デビューから3周年を数えた中では、環境に慣れたことからどこか気持ちの“隙間”にも似た余裕が生まれてしまっていたのかなとも思ったんですよね。

 だからきっと、選抜制への移行は私たちがより強くなるために、必死に考えてくれた結果とも感じていて。グループの形がまた1つ変わることで、一人ひとりの活動へ対する思いが高まってきているのを感じているし、1日でも早く新体制としての新曲を皆さんにお披露目できる日が来るのを心待ちにしています」。

 変化に出くわしながら、なおも進み続ける欅坂46。単身で舞台の稽古へ打ち込む日々の中では、グループへ戻るたびに「メンバーやスタッフさんの愛情や温かさを感じています」と菅井は話す。

 「自分にとって戻れる場所があるのはありがたいことだし、舞台の稽古が始まってからはよりいっそうグループが好きになってきた気もします。どこへ行こうとも、自分は『欅坂46の菅井友香』であるのは変わらないので、看板を背負っているという気持ちも高まってきました」。

 さまざまなジャンルの仕事に挑戦しながらも、グループの本分は「ライブ」であると語る菅井。彼女にとって、欅坂46である喜びを最も実感できるのは「最後の曲を披露する瞬間」だという。

 「毎回のようにライブには独特な緊張感があって、後半になるまでは進行などもあるので、自分の素直な気持ちと向き合うのが難しくて。だからこそ、最後の曲になると曲に全神経を集中させられるような感覚もあるし、メンバーの顔を見る余裕も生まれてきて、キラキラした笑顔を見るとやっぱり『ああ、大好きだな』と思えるんです。

 ときには悩んだりしているみんなを知っているからこそ、楽しそうな表情を見ると安心できるし、ファンの皆さんが見守ってくれている光景にも胸がいっぱいになり、感極まってしまうことも多いです」。

■「めったに怒らない」メンタルを保つ秘けつ

 どこか俯瞰(ふかん)してグループを見守る菅井は、メンバーやファンからも頼れるキャプテンとして信頼が置かれている。2019年11月に放送された『欅って、書けない?』の企画「一期生クイズ」では、菅井の長所に関して二期生の松田里奈が「めったに怒らない」とコメント。同じく二期生の武元唯衣からも「気持ちが安定している」と評価されていた。大所帯のグループのキャプテンとしては、気苦労やプレッシャーも多いだろう。そんな中、メンタルを保つ秘けつはあるのかを尋ねた。

 「自分なりに『嫌だな』と思う場面があっても、わざわざ言っても仕方ないと思ってしまうんです。感情的になることも少なくて、誰かに何かを言っても相手が嫌な思いをするくらいなら自分が我慢すればいいと思っているかもしれませんね。

 ただ、溜め込んでいるかといえばそうでもなくて。ひょっとしたら鈍感なのかもしれないけど、何かあれば父や母、姉が話を聞いてくれるので助けられています。自分がダメな考え方をしているとハッキリと『ダメなことはダメ』と諭してくれるし、飼い猫のトムにも癒やされているから、ひょっとしたらそんな環境があるから救われているのかもしれません」。

 一方で、同じく「一期生クイズ」で同期の佐藤詩織から「体が強い」と評価されていた菅井。メンタルに続いて、タフな体をどう維持しているのか。

 「動物の本能と似ていて、おいしいご飯を食べれば幸せになれるんですよ。舞台では稽古前に男性の共演者の方々と一緒に筋トレをしていて、きついなと感じるときはあるんですけど、大好きなお肉を食べればリフレッシュできちゃうんです。

 また、普段からジムへ通っているのも、1つの秘けつかもしれません。実は昔から、映画『ターミネーター』シリーズのサラ・コナーに憧れていて。最新作の『ターミネーター:ニュー・フェイト』を観てからはグレースにもほれてしまったんですけど、女性ながらも筋肉がキュッと引き締まった体になりたいという思いがあって、最近も意識しながら絞っています」。

 個人的な願いを口にしたかたわら、舞台初主演作が上演され、グループもファンの待ち望む9thシングルのリリースを控える今年。最後に、どのような1年を過ごしたいかを尋ねた。

 「まずは、主演をいただいた今回の舞台を成功させるのが一番です。本番では稽古では味わえない経験を積めるだろうし、千秋楽を迎えたら自分がどんな気持ちになっているかは分からないけど、楽しみで仕方ないです。一方で、グループの行く末は私たちにとっても未知数なんですけど、メンバーみんなが笑っていてほしいし、次回のシングルをきっかけに新しい表情を見せていければと思います」。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:曽我美芽)

 舞台『飛龍伝 2020』は東京・新国立劇場 中劇場にて1月30日~2月12日(1月29日はプレビュー公演)、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて2月22日~24日上演。

エンタメ最新記事一覧

特集

クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介