松本穂香の上京物語 「東京で頑張るしかない」必死にもがき続けた日々

映画
20191110松本穂香インタビュー
松本穂香  クランクイン!

 昨年、『この世界の片隅に』(TBS系)でドラマ初主演を果たした松本穂香。今年は『おいしい家族』で映画初主演を飾るや、立て続けに主演を務めた『わたしは光をにぎっている』が公開を迎える。さらには来年も『酔うと化け物になる父がつらい』(3月6日公開)、『みをつくし料理帖』(秋公開)とすでに2つの主演作が控えている。2015年のデビュー以降、順調にキャリアを積む松本が、田舎から上京し、人々と触れ合うことで成長していく『わたしは光をにぎっている』のヒロインの澪に重ね、「爪痕を残したかった」と奮闘していた自身の上京当時を振り返った。

◇女優のために大阪から東京へ「選択肢はなかった」 

 両親の他界後、2人で暮らしてきた祖母の入院に伴い、父の友人を頼って東京へと出てきた澪。演じた松本は、高校時代に事務所に所属し、卒業後、自らの意思でそれまで暮らした大阪から上京したが、「東京に来るしかなかったという点では、私も澪も同じです」と話す。松本が「ここしか選択肢がなかった。東京で頑張るしかないと思った」というのは、女優という夢があったからだ。

 上京当初には、アルバイトをしていた時期もあった。「登録して、単発のアルバイトをやっていました。でも割と早い段階で、事務所の方とも話して女優業に専念しようとなったんです。それでワークショップをたくさん受けたり、オーディションを受けたりしていきました」と夢のために、必死になった。

 「とにかく“爪痕を残そう”と思っていました。どんなに小さな役であっても、2つ3つしかセリフのない役でも、自分の中で役を広げて、テストの段階から、120%の力を出してやりました。ほかの同年代の子が100でやるなら私は120でやらなくちゃ、と。普段の私は大人しいほうですし、絶対に恥ずかしくてできないことでも、勇気を振り絞ってぶつかっていきました」。

◇「ほかにいない存在になりたい」

 そうして“爪痕を残す”うちに2017年には連続テレビ小説『ひよっこ』の青天目澄子役に抜てき。“メガネっ娘”として注目を集め、一気に認知度を上げた。

 「一歩踏み出すことをやってきたのは、大きかったのかなと思います。デビューしたての頃は特に、脚本にないことをやったりもしていました。勇気がいりましたし、怖くもありましたが、一歩出てみたことで、『おもしろいね』『いいね』と認められたりして、自信につながりました」。

 おっとりして見えるが、内に秘める意思は強い。

 「同世代の女優さんたちを見て、『キレイだな』『かわいいな』と憧れることはもちろんあります。でも私は私ですし、ほかにいない存在になりたいとずっと思ってきました。最近は、実際に『同世代にいないタイプだね』と言っていただくこともあって、それは違う存在になりたいと“思い続けてきた”のも大きいのかなと感じています」と穏やかにほほ笑む。

◇自分の強みは「普通なところ?」

 ただ具体的に“どこが違うのか”は自分では分からないといい、「普通なところですかね?」と首をかしげながら、「『そこにいるだけができる人だね』と言ってもらえます」と松本。“そこにいるだけ”というのは、できそうでいて、突飛な役柄よりもよほど難しい。それはまさに本作の澪役で証明されている。松本は驚くほど自然に、作品の中で風景や土地にすっと溶け込みながら、同時にヒロインとして観る者を引き付けている。

 澪を演じたことで、より「人は一人じゃ生きていけない」と感じたという松本。本作では澪の成長とともに、土地開発によって失われていく町の姿が映し出されていく。「場所というのはもちろん大事ですが、それ以上に“居場所”が大事だなと感じました。澪が上京してきたその場所は失われても、彼女のことを支えてくれる人はいる。どんな場所でも人とつながっていれば、やっていけるのだと思います」。

 デビュー数年で、すでに異彩を放っている松本。しかし本人はまだ「夢を叶えられている意識はない」という。「自分はまだまだ。求められたら、それ以上のものを返したいですし、上を見て頑張りたい。何か私にできるゾーンで、ほかの人にないことをやれたら、きっと楽しいんじゃないかなと思っています」。松本も上京し、“居場所”を見つけた。(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)

 映画『わたしは光をにぎっている』は11月15日より全国公開。

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