伊藤沙莉、自分でかけた容姿の“呪い” 「少しずつ解けているのかな」

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映画『生理ちゃん』伊藤沙莉インタビュー
映画『生理ちゃん』伊藤沙莉インタビューカット  クランクイン!

 映画、ドラマへの出演が絶えない女優・伊藤沙莉。その内容も、主演から助演、インパクトを与えるコメディーリリーフ的なものまで、どんな立ち位置の役でもしっかり個性を発揮しつつ、物語を壊すことがない。そんな彼女が最新作『生理ちゃん』では、夢を諦めSNSで毒を吐き続けるフリーター・山本りほを演じている。「自分に呪いをかけ、そこに縛られて自信が持てないりほちゃんに強く共感してしまう」という伊藤に、自身にかけてしまっていた呪いについて聞いた。

 第23回手塚治虫文化賞「短編賞」を受賞した小山健の大ヒットコミックを実写映画化した本作。突如現れるピンクの物体・生理ちゃんは、女性の都合も考えず、突然やってきては、さまざまな面で苦痛をもたらすものの、しっかりと女性に寄り添ってくれるある意味で心強い存在だ。

 生理ちゃんは、自分を卑下し、人をねたみ、毒を吐きまくるりほに対しても「自分に呪いをかけるのはやめたら?」と叱咤(しった)激励する。「あの言葉にはメチャクチャ共感しました。私も女性として、今まで確実に自分に呪いをかけていた部分があるので、りほを演じていて救われたんです」と伊藤は切り出す。

 具体的にどんな呪いをかけてしまっていたかを聞くと「う~ん、こんなこと言うと怒られそうですが、基本的には顔ですかね」と苦笑い。続けて「今回ご一緒した二階堂ふみちゃんも同い年なのですが、私と同世代で活躍している女優さんは、すごく多いんです。そんななか、自然と私のなかで、メインを張って真ん中に立つ人は、きれいじゃないといけないんじゃないのかなと思っていたところがあったんです」と胸の内を明かす。

 それは「子役時代から感じていたこと」だと伊藤は言う。「容姿だけで、視界に入れてもらえなかったこともあって、それが嫌だった私は、どうにかして注目してもらいたいと思って、悪目立ちしてしまう癖がついてしまったんです。普通にしゃべればいいのに、ついふざけてしまって、それが重荷になっていることもありました」。

 しかし、一方で最近は「身近にいそうだよね」と声をかけられることが「得だな」と思えるようになったという。「今回のりほちゃんもそうですが、私がいただける役は、観ている方に『いそうだよね』と親近感を持っていただくことも大きな役割だと思うんです。その意味で、しっかり役に寄り添うことができれば、自分にも自信が持てます。まだまだですが、役を通して、少しずつ呪いが解けているのかなと感じることがあります。自分でかけた呪いは自分で解くしかないですからね」。

 近年の活躍は目覚ましいが、伊藤は「まだまだ手応えはないんです」とつぶやく。確かに俳優の仕事には分かりやすい結果が出るわけではない。「何が正解か分からないのはもちろんなのですが、何が手応えなのかも分からない」と苦笑い。でもそのことをネガティブには捉えていない。「お芝居に対しては満足してしまったら終わりだと思うんです。いまだに出来上がった作品の初号試写を観ると絶望感で、できることなら誰とも会わないで帰りたい(笑)。でもお芝居は突き詰めていくものだと思うし、自分に甘くいる必要もないですから」とストイックだ。

 呪いを解いていくことで、身体も心も身軽になっているという伊藤。しかし重荷だと思っていたことも、視点を変えれば意外と大事な荷物だったのかも…と思うときが来るかもしれないという予感もあるという。自らがいろいろなことを感じ、経験することすべてが芝居につながる。「一生満足しないかも」という言葉が出てくるのは、伊藤が芝居という人生をまじめに真剣に生きているからなのだろう。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)

 映画『生理ちゃん』は11月8日より全国順次公開。

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