監督デビューのん、創作の原動力は「失敗する勇気」

映画
20191010のんインタビュー
監督デビューを果たした、のん  クランクイン!

 “創作あーちすと”で女優・のんが初監督を務めた映画『おちをつけなんせ』および、その制作過程をドキュメンタリーでつづる『のんたれ(I AM NON)』が、現在YouTube Originalsにて配信されている。女優だけでなく、音楽活動や展覧会、さらには映画監督に挑戦するなど、自身を表現することにどん欲なのん。彼女の創作のモチベーションになっているのが「失敗する勇気」だというのだ。

■「たたかれるかもしれない、恥ずかしい」という思いもある
 
 のんがメガホンを取ったオリジナル映画『おちをつけなんせ』は、岩手県遠野に滞在し、さまざまな人や自然との出会いのなかで、インスピレーションを受け脚本を執筆したオリジナルストーリーだ。のん自身が監督、脚本、主演、演出、衣装、編集、音楽などすべてに関わった。
 
 のんは「どの部署にも、何年も表現を積み重ねてやってきた方がいるので、そういう人に追いつけるわけがないし、稚拙な部分もたくさんありました。たたかれるかもしれないし、世に出すのが恥ずかしいという思いもあるんです」とやや弱気なコメント。そこには現代社会の特性も大きく影響しているようだ。「今の時代、私も含めて若い世代は、何か失敗すると、SNSなどでさらされてしまう。失敗してたたかれるぐらいなら、何もしない方がいいという風潮になっていると思うんです。もちろん私も同じで、マイナスなことを考えてしまうことは多いです」。 
 
 しかし一方で「失敗することで『こんな発想もあるんだ』と新しいアイデアが沸いてくることもありますし、『次はこうしたい』と意欲も出てくる」と、失敗を恐れず進むことの大切さも理解しているという。「失敗したくないからやらない」という選択肢と「失敗することで得られることもある」という考えのせめぎ合い。
 
 そんな葛藤の中、のんは女優という仕事を経験したことで“事なかれ主義”を断ち切った。「何もできない私が、女優として演技に挑戦したことで、前に進める手応えをつかむことができたんです。失敗することもたくさんありましたが、そこで逃げてしまうのではなく『次こそは』と奮起する気持ち良さみたいなものを知りました。そこからは“のん”として好奇心旺盛に、いろいろなことにチャレンジすることが楽しくなっていったんです」。

■ハードルを下げて、一歩踏み出す

 「失敗することで前に進める」という発想には、もう一つ「ハードルを下げてやろう」という思いが含まれている。「どんなことでもハードルが高いと『私には無理だ』とやる前から諦めてしまう。でもハードルを下げれば、一歩踏み出すことができます。その一歩がとても重要だと思うんです」。
 
 こうした思いが『おちをつけなんせ』のテーマにもなっている。「タイトルにもなっていますが、この作品には、話に“おち”がなくてもいいんだよという思いが内在しています。結論や“おち”がない話をすると『なんの話だよ!』と突っ込まれることがありますよね。そうすると萎縮して話せなくなってしまうんです。でも、結論がなくたって、一歩進んだっていいじゃないか! というメッセージを込めました」。

 1本映画監督を務めたことで「次はもっと面白い作品を作るぞ」と次への意欲に満ち溢れているのん。そんな彼女のモノづくりへのこだわりは“面白い”と思えるかどうか。そこがブレない限り、ジャンルは問わない。のんの“面白い”は今後、どんな形で表現されるのだろうか…楽しみは尽きない。(取材・文・写真:磯部正和)

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