キアヌ・リーヴス「僕の限界がこの映画の限界になる。だから頑張らないとね」―― 来日インタビュー

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キアヌ・リーヴス&チャド・スタエルスキ監督、『ジョン・ウィック:パラベラム』インタビュー
キアヌ・リーヴス&チャド・スタエルスキ監督、『ジョン・ウィック:パラベラム』インタビュー (R), TM & (C) 2019 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

 シリーズ3作目となる最新作『ジョン・ウィック:パラベラム』を引っ提げ、3作連続で来日を果たした俳優のキアヌ・リーヴスと、シリーズ全作品の監督を務めるチャド・スタエルスキ監督。最新作では、シリーズの重要な要素となっている犬によるアクションも登場し、アクションは激しさを増していく。55歳となったキアヌにとって、より激しくなるアクションにどうやって対応しているのか。秘密を明かしてくれた。

――前作であれほど激しかったアクションが、最新作はさらに激しさを増していますね。かなりトレーニングされたのですか?

キアヌ:最新作の構想はとてもワイルドで野心的なものだった。だから撮影の4ヵ月前からトレーニングを始めたんだ。今回は馬に乗ってのアクションもあるから、乗馬のトレーニングにも力を入れたよ。この映画では普通に乗るんじゃなく、体をずらして鞍に足を引っかけた状態でアクションしなければならなかったからね。でも楽しいトレーニングだったよ。


――監督から見て、キアヌのアクションはどうですか?

監督:このシリーズのアクションは本当にキアヌが頼りなんだ。キアヌは銃器の扱い、射撃の練習、マーシャルアーツなど多岐に及ぶ過酷なトレーニングに励んでくれた。そして、劇中のアクションの殺陣はダンスのようなもので、さまざまな動きをすべて記憶しなければいけない。その上で、それらの動きをカメラがすべて追わなければならないんだ。撮り逃すわけにはいかないから、リハーサルは入念に行ったよ。そしてアクションの編集やビジュアルがいい映画はたくさんあるが、そこにキャラクターが描けているものは少ない。物凄いアクションがある上で、愛すべきキャラクターが必要なんだ。それらすべての要素を担ってくれているのがキアヌなんだよ。


――ハル・ベリーが演じるソフィアのドッグアクションが印象的です。このシリーズは犬が大事な要素になっています。犬を登場させることのこだわりは?

キアヌ:確かに、犬はこの映画において中心的な存在になってきている。チャドは“ガン・フー”(銃のアクション)、“カー・フー”(カーアクション)に続いて、犬のアクションを“ドッグ・フー”って呼んでいるしね(笑)。

監督:この作品に“動物のアクション”という要素が加えられることで、人間性がよりクローズアップされると思ったんだ。銃は持ち主に対して愛情はないけど、犬ならば主人との関係には愛がある、といった具合にね。そこで今回は動物たちにアクションでも一役買ってもらうことにしたんだけれど、これに関しては未知数でもあった。このシリーズのエモーショナルなアクションにハマるかどうかは、やってみなければわからなかったからね。でもその出来栄えは映画を見ての通りだ。僕のお気に入りのアクションシーンになったよ。


――あの犬たちはどのように訓練したのでしょうか? ハル・ベリーとのコンビネーションの凄さに驚きました。

キアヌ:ハルと一緒に演技する犬たちは印象的だった。ハルは本当に何ヵ月も犬とのトレーニングに臨んだんだ。そして撮影中、ハルから繰り返し言われたのは、「犬たちと目を合わせるな」ってこと。彼らは主人に対してとても忠実で、常に彼女を守ろうとするんだ。だから何気なく近づいたりしてはいけないんだよ。とても能力の高い犬たちだった。そして撮影の最後にはドッグトレーナーが『犬もハルがトレーナーだと思っている』と言っていたんだ。そんな関係を築き上げたハルは、本当に尊敬に値する。

監督:そして、この映画にとっての犬はイノセントの象徴なんだ。ジョン・ウィックにとって亡き妻への無垢な愛のシンボルでもあり、妻と過ごした期間と、殺し屋に舞い戻った期間のつなぎ目のシンボルでもある。観客はこの映画における犬の存在を、僕らが思っている以上に大きく受け止めてくれた。だからある意味で犬の映画になっているともいえるだろうね。


――キアヌさんの初来日から28年、ブレイクを果たした『スピード』からも25年が経過しました。あの頃の自分を振り返ってみて、どんな俳優だったと思いますか?

キアヌ:そうだね、あの頃との違いはやはり経験値だと思う。僕自身がアクション映画の経験を積んだことによって、格闘やアクションがどのように作られていくのかを知ることができた。(初のアクション映画に挑んだ)『ハートブルー』や『スピード』の頃はまだ若かったし、知らないことだらけだった。経験を積んだ今、スタッフとよりよいコラボレーションができていると思っているし、作品に対して少しは貢献できるようになったんじゃないかと思う。


――毎回厳しいトレーニングを積むことは大変ではないですか?

キアヌ:トレーニングが大変なのは歳のせいだと思うこともある。でもよく考えたら、この『ジョン・ウィック:パラベラム』のアクションは55歳より若くても大変なはずだと気付いたんだよ(笑)。たしかにトレーニングは厳しい。でもこのシリーズは、僕の能力の限界が撮影の限界点になってしまうんだ。僕が実際にできること、それがこの映画のアクションの限界になる。でも僕はこのキャラクターと『ジョン・ウィック』の世界を愛しているから、頑張って鍛えていかなければいけないんだよ(笑)。


 デビューからこれまで、自分のやりたいと思った作品は、映画の大小にかかわらず常に全力で取り組んできたキアヌ。そんなブレない姿勢が、50代という年齢で挑戦した新たなアクション、『ジョン・ウィック』シリーズを成功へ導いた最大の要因だろう。ところで、親日家として知られるキアヌだが、目撃情報によると、なんと今回は自身の誕生日である9月2日に極秘来日し、四国の島々を巡る旅を満喫したそう。そこで今回の来日で一番おいしかったものを聞いてみると、時間をかけていろいろと悩んだ挙句、「多すぎて選べないよ…」と申し訳なさそうに回答。決して適当なリップサービスで乗り切ったりしない真面目さに、世界中から愛される“飾らないスーパースター”の姿を見た。(取材・文:稲生稔)

 映画『ジョン・ウィック:パラベラム』は10月4日より全国公開。

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