元欅坂46の肩書は消えない――今泉佑唯、胸を張って「女優」と言えるように

エンタメ
20190831今泉佑唯インタビュー
今泉佑唯  クランクイン!

 アイドルを辞めた選択肢に後悔はない――。インタビュー中、今泉佑唯はそう言い切った。2015年8月にアイドルグループ・欅坂46へ1期生として加入した彼女は、3年強の在籍期間をもって昨年11月にメンバーとしての活動を終了。今年1月からは事務所の所属が変わり“女優”としての人生を歩み始めた。「元欅坂46の肩書は付いてくるはずだし、それに対してネガティブな感情はありません」と本音を吐露した彼女は「一日でも早く胸を張って“女優”と言われるようになりたい」と自分自身の将来を見据えた。

■第一歩となった舞台では「いつ降ろされるんだろう」と追い込まれていた

 卒業後、アイドルから女優へと舵(かじ)を切った今泉。その背景には、グループ時代に一人で出演した連続ドラマ『恋のツキ』(テレビ東京)での経験があった。

 「作品では同級生に恋い焦がれる女子高生役を演じて、当時は一人でのドラマ出演が初めてでした。撮影を重ねるにつれて、お芝居の楽しさにも気が付いたし、自分の中で『もっと演技の世界へ飛び込みたい』という気持ちが日に日に増していったのも卒業後の進路を考え始めた理由だったんです。

 現場では台本に書かれていなくとも『泣いて下さい』と指示されたり、毎日のように変化があって。シーンごとに現場の皆さんが空気を作っている感覚も心地よく、この気持ちをもっと味わってみたいという思いもありました」。

 グループ卒業後、女優としての本格的な第一歩は、3月から4月にかけて大阪と東京で上演された、つかこうへい原作の舞台『熱海殺人事件 LAST GENERATION 46』だった。慣れない環境下では「自分がいつ降ろされるんだろう」というプレッシャーに苛(さいな)まれていたと明かす。

 「稽古中は楽しさもありましたが、本番が近づくにつれて、芸能界へ入ってから初めてといえるほどプレッシャーが増していったんです。精神的にも追い詰められて、トイレの窓からとっさに逃げ出そうとしたり。自分に何ができて、何ができないかも分からなくなってしまい、一人になると毎日のように涙が込み上げていました。

 でも、大阪公演の初日で周りの皆さんから『稽古では不安そうだったのに、本番で力を発揮できていた』と初めて褒められたんですよ。うれしかったですね。確実な手応えを得られたかといえば必ずしも満足できなかったかもしれないけど、声の出し方や一つひとつの所作など、終演後は反省点を『次に生かしたい』と前向きに考えられるようになりました」。

 その後、6月には三浦大輔監督によるフェイクドキュメンタリー『人間の証』(フジテレビ)へ出演。元アイドルでありながら「もしも、濡れ場のオファーが来たら」というセンシティブなテーマを演じ切り話題を集めた。

 「大筋の流れはフェイクでしたけど、活動について語った場面は自分の本音も含まれていたかもしれません。三浦監督の世界観に引き込まれすぎて、虚構のテーマ自体に対しても『ひょっとして私、濡れ場をやるのかな…』と、自宅へ帰ってから悶々(もんもん)とするほどのめり込んでいました(笑)。

 放送後は、SNSを通して視聴者の方からもたくさんの反響をいただき、真に迫ったからこそ『フェイクと知らずに見ていて引き込まれました』とか『一緒に泣いちゃいました』という声も聞こえてきたのでうれしかったです」。

■“元欅坂46”の肩書に頼らず“女優・今泉佑唯”と呼ばれたい

 10月からは連続ドラマ『ミリオンジョー』(テレビ東京系)への出演が決定。女優としてのステップを順調に刻んでいるかのように見えるが、一方で、時に追い込まれるほどの環境下では“アイドルを辞めた”という選択肢に後悔はなかったのだろうか。

 「初めて出演した舞台『熱海殺人事件〜』が一つの分岐点でしたけど、後悔はまったくなかったですね。確かにつらさもあったけど、当時はきっと『アイドルを辞めて飛び込んだからこそ、誰も頼ってはいけない』と行き過ぎるくらいに自分を追い込んでいたんです。

 共演者の皆さんには壁を作り、一時期は誰とも会話しない日々が続いてしまって。でも、稽古中に『無事に千秋楽を迎えたら、達成感があるから』と主演の味方(良介)さんや演出家の岡村俊一さんに励まされていて、それがあったからこそ目標に向かって走り切れた気がします」。

 単身で新たな世界へ飛び込み、覚悟を決めた今泉。ただ一方で、どうしてもつきまとうのは“元アイドル”という肩書だ。それに対する不安はないのか、本音をたずねた。

 「やっぱり“元欅坂46”の肩書はこれからも付いてくるはずだし、それに対するネガティブな感情はありません。ただ、いずれは一人の女性として、女優として胸を張って言えるようにならないと、という責任感にも似た気持ちはあります。

 過去の肩書に頼るというのは、裏を返せば『自分が未熟である』という証でもあると思うんです。一つひとつの仕事を大切にしながら、早くという表現は正しくないのかもしれないですけど、一日でも早く『女優・今泉佑唯』として呼ばれるようになりたいです」。

■夢は「25歳で浮気相手役(笑)」

 一歩ずつ、地位を確立するべく経験を重ねている今泉。女優の世界に身を投じてから約8ヵ月が過ぎ、自分なりの課題や取り組み方も見えてきたという。

 「どの撮影へ参加しても、共演している方々はやはり演技の経験が長いので、何が起きても臨機応変に対応されているんですよ。私はまだ分からないことだらけで、皆さんに頼ってばかりで本当に申し訳なくて。現場では、たくさんの方々から勉強させていただいている毎日なので、早く柔軟に対応できるようにならなければと思っています。

 グループを卒業して、一人で仕事をするようになってからは年齢も経験も一番下なのでとにかく『誰よりも早く現場へ入る』というのも心がけるようになりましたね。私がほかの皆さんを待たせてはいけないし、自分なりには周りをより広く見渡せるようになったのかもしれません」。

 女優として、この先どう飛躍を遂げるのかも期待される今。最後に、自分なりの理想像を聞いた。

 「一つの役柄に縛られず、いろいろな人物になりきれる女優さんを目指したいです。以前からしきりに『サイコパスを演じてみたい』とか『ブリっ子な役をやってみたい』と言っていたんですけど、今撮影している『ミリオンジョー』で早くも夢がかなってしまったんですよね。

 だから、次の目標を考えなければいけないけど、まったく違う方向に振り切るなら、男性役を演じてみたいです。あとは、25歳くらいで浮気相手役をやるのも夢で(笑)。三角関係でドロドロしている男女の恋模様みたいな物語も好きなので、チャンスが来たときには役柄に見合った自分でいられるよう、日々の努力を重ねていきたいと思います」。

 取材中、目を輝かせながら笑顔で応じてくれた今泉。弱冠20歳で人生における“第2の選択肢”を決断するのは、輝ける瞬間がわずかなイメージもある“元アイドル”ならではの進路なのかもしれない。しかし、彼女の視線の先は明るく照らされている。いつか近い将来、広く“女優・今泉佑唯”として支持される日は必ずや訪れるはずだ。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:松林満美)

※今泉佑唯が、欅坂46卒業後の生活の変化などについて語るインタビュー後編は近日公開。

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