高良健吾、キツかった20代を乗り越え「俳優という仕事を手放したくない」

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高良健吾、『アンダー・ユア・ベッド』インタビュー
高良健吾、『アンダー・ユア・ベッド』インタビュー  クランクイン!

 出演作が途切れず、邦画界で大きな存在感を発揮している高良健吾。大石圭の同名小説を映画化した『アンダー・ユア・ベッド』では、最愛の女性の家に侵入し、ベッドの下から彼女を見つめ続ける男という難役にチャレンジ。狂気の男の純愛を体現している。ストイックに役者業に打ち込み、30代を迎えた高良だが「人生の半分を俳優として過ごしたんだと思うと、少し自分を認められるようになって」と心境の変化もあったという。「30代になってすごく楽しいし、改めて俳優という仕事を簡単に手放したくないなと思っています」という彼の“覚悟”に迫る。

 本作の主人公となるのは、11年前にたった一度だけ自分の名前を呼んでくれた女性、千尋(西川可奈子)を忘れられずにいる三井(高良)。“もう一度名前を呼ばれたい”一心で、現在の彼女の自宅を探し出し、歪(ゆが)んだ思いを強くしていく三井の行動の行方を描く。R18+指定の映画で、“狂気の男”役のオファーを受けた高良は「彼の行動に共感はできないけれど、理解してしまう部分もある」と告白。「三井は純粋でまっすぐな男。子どもの頃から、家族にも肯定してもらえなかった男なんです。誰もがみんな、誰かに認めてほしかったり、認めてもらえないと辛い気持ちになったりするもの。その孤独がどこかでわかるから、彼を理解できてしまうんだと思う」と三井に心を寄せる。

 演じる上ではある種の覚悟が必要な役どころにも感じるが、「ぜひ演じてみたい」と思った理由を聞いてみると「僕が10代後半から20代の半ばにいただいていたのは、ヒリヒリとした痛みを伴う役が多くて。久しぶりにそういう役が来たなと思った」とニッコリ。「以前の僕は、役の問題を自分の問題にしすぎていた。“役になりきらなければいけない”と思っていたんです。でも俳優という仕事を長い目で見ると、そのやり方でやっていたら身が持たないなと気づいた」と身を削るようにして役柄にのめり込んでいたために、「キツイ」と感じることもあったという。「本作は30代になって初めて撮影した映画で。このタイミングでヒリヒリとした役をいただけて、今ならば自分の距離感で役と向き合えると思った。だからこそ、やってみたいと思った」と語る。

 『蛇にピアス』(08)、『横道世之介』(12)など話題作でメキメキと頭角を現し、多忙な20代を駆け抜けて31歳となった。20代について「若さと勢い、言わば自分からダダ漏れるもので成立する年代。知らないことが武器だと思っていい時期」と振り返る高良。「20代はキツかったけれど、たくさんの作品に出演させていただいて、本当は幸せの塊だったはずなんです。そう思えていなかったなんて、贅沢ですよね」と穏やかに微笑む。30代を迎えるには「特別な思いがあった」そうで、「“男は30からだ”ってよく言いますよね。それをすごく信じていた」とのこと。

 実際に30代へと突入し、「すごく楽しいし、なんだか楽になった気もして」と吐露。「人生の半分を俳優として過ごしたんだと思うと、少し自分のことを認められるようになって。“俳優とはこうあるべきだ”と考えてしまうときもあったんですが、そういった枠にはめ込むこともなく、“自分は自分でいい”、“自分は自分しかいない”と思えるようになったんだと思います。そう思ったら、人のことも認められるようになったり、思い悩んでいたことが悩みではなくなったり。改めて、俳優という仕事を簡単に手放したくないなとも感じています」と継続が力となっている。

 「10代の頃は、田舎から出てきたばかりのガキに、大人たちが真剣にたくさんの言葉をくれた。その言葉がいまだに背中を押してくれている」と、彼を支えているのは現場で出会った先輩たちの存在。暴力やハードなシーンも含む本作の撮影では、「大変なシーンも多かったけれど、そういったシーンがあることをみんな覚悟しているし、そこには熱量があって、遠慮がなかった。ものすごく楽しかったし、幸せだなと思った」と充実感もたっぷり。「これからもっと楽しくなると思う」と未来を見つめるなど、より力強く、しなやかに役者道を突き進む高良健吾からますます目が離せない。(取材・文:成田おり枝 写真:松林満美)

 映画『アンダー・ユア・ベッド』は7月19日より全国順次公開。

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