『なつぞら』井浦新、ヒロイン広瀬すずの「栄養になる存在に」

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20190622『なつぞら』に出演する井浦新
NHK連続テレビ小説『なつぞら』に出演する井浦新  クランクイン!

 現在放送中の連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合/毎週月〜土曜8時ほか)で、広瀬すず扮するヒロイン・奥原なつの絵の才能を見い出し、進む先に光を当てる東洋動画のアニメーターのリーダー・仲努(なかつとむ)を演じる井浦新。21年にも及ぶ俳優人生のなか、初の連続テレビ小説への出演となった井浦が、彼なりの視点で朝ドラの魅力を語った。

 「いま、朝ドラに出会えたことが非常に良かったと思っているんです」と語った井浦。是枝裕和監督がメガホンを取った映画『ワンダフルライフ』(1999年公開)で、俳優デビューを果たしてから20年以上が経過しているが「デビューした頃だったら、やれていないだろうし、やらせてももらえなかった。10年前でもまだちょっと違っていたと思う」と“いま”のタイミングでの出会いが自身にとって大きいことだと強調する。

 その理由について「連続テレビ小説の現場を経験して『朝ドラだからこうしなければいけない』というものがないことを知りました。伝わりやすい表現と、伝わりづらいであろう人間の目に見えない表現を、短い時間のなかでどうやって作品に落とし込んでいくか、キャスト、スタッフを含めてみんなチャレンジしているんです」と100作という歴史を重ねつつも、常に新しい表現を追い求める現場に刺激を受けているという。

 だからこそ「映画やテレビドラマなど、いろいろな場所で面白さや大変なことを自分から見つけにいけるようになった」という“いま”連続テレビ小説に出会ったことが、井浦にとっては「良かった」と思えるのだという。

 「話には聞いていましたが、家族や親せきが喜んでくれるんですよね」と笑顔で語ると「仕事で地方に行った際、ご年配の方が僕を指さして『昨日見ましたよ』と声をかけてくださり熱心に感想を話してくれるんです」と反響の大きさにも驚いたという。「やっぱり朝ドラの底力ってすごいなと感じました。自分の芝居の表現が、広く多くの方の目に届くというのは、表現者としてはすごくありがたいことです」。

 井浦が演じる仲は、アニメーションへの熱い思いを抱き、その熱量で多くの人の人生に多大なる影響を与える。「仲努を演じる上で、大事にしているのは“好き”というものに対しての情熱が尋常じゃないこと。日本のアニメーションの草創期に、道を切り開いていった人。その熱量が彼の特徴なんです。劇中ではいつもにこにこしていますが、アニメーションに対する愛が強いので、シビアで厳しい部分も持ち合わせている人なんだろうなという思いで演じています。意外と切れやすいタイプだと思いますよ」と役作りについて語っていた。

 仕事に対する熱い思い―。ストイックに役柄に向き合う井浦と共通点が多いと感じられるが「僕は大先輩方が歩きやすくしてもらった道を進んでいるだけですから」と謙遜する。しかし「自分の仕事や趣味に対して、好きという気持ちでひたすら真っすぐ進むことや、情熱の度合いという部分では、仲さんの気持ちはイメージしやすかった」と自らとリンクする部分もあったという。

 月曜から土曜まで毎日放送される連続テレビ小説。その撮影方法やスケジュールも、映画やほかの連続ドラマとは全く異なる。井浦も「ネガティブな意味ではまったくないのですが、自分の不器用さを思い知らされる現場です」と感想を述べる。朝ドラならではの時間の流れ、一日に撮影する量の多さ…。

 「正直焦った瞬間も多々ありましたし、限られた時間のなか、アイデアは浮かんでいるのに、体がついていかないこともあります。あともう一回テストがあれば、生まれたかも…ということもありました。これまでの現場も一発目から全開でやってきたはずなのですが、さらに瞬発力が求められる。そこに一連で撮影しているため、ほかの共演者との連係プレーも重要になってくる。いまできる最高のことを一瞬にして表現しなくてはいけないというのは、ものすごくやりがいがあります」。

 連係プレーという意味では、ヒロインを務める広瀬との対峙も、作品の大きな見どころの一つだ。「座長としてしっかり現場の中心に立っています。すごくたくましいですし、なつの気持ちを表現していく瞬発力や芝居のうまさ、さらに視聴者が望んでいることを瞬時に理解する勘の良さも持っています。時間がないなか、妥協することもなく、何かあれば監督としっかりディスカッションする。戦う姿勢を見せられると、僕らは少しでも彼女の栄養になる存在でなければと思わせてくれます」と絶賛する。

 「連続テレビ小説ってものすごく前衛的な作品だと思うんです」と語った井浦。続けて「僕の記憶に残っているのは『おしん』からなのですが、朝ドラってそんなに生易しいものを見させられているわけではないと思うんです。もちろん朝に放送され、表現としてはあたりは柔らかくて優しい感じはありますが、芯はものすごく力強い。人が目を覆いたくなるような出来事を、さまざまな表現を駆使して15分の間に収める。子どもから大人、年配の方までが、同じものを見て胸を熱くさせる…それってとんでもなく前衛的な表現だと思うんです」。

 これまで、作家性の強い作品に出演してきた印象が強い井浦だが、その意味で連続テレビ小説は、特別方向性が違うものではないという。「ものすごくチャレンジができるのが朝ドラ。そこに対して自分がうまく表現できないことが悔しいのですが、これからも、もっと挑戦し続けていきたい」と今後の意気込みを語っていた。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)

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