前田敦子、卒業から7年 女優として「逃げ出したい」から「楽しくてしょうがない」に

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前田敦子、『旅のおわり世界のはじまり』インタビュー
AKB48卒業から7年、私生活ではママになった前田敦子  クランクイン!

 現在『町田くんの世界』と『旅のおわり世界のはじまり』の2本の出演映画が公開中の前田敦子。「演技がしたい」と2012年8月にAKB48を卒業してから、約7年の歳月が流れた。その前田の軌跡をたどる。

 前田の女優デビュー作は、市川準監督がメガホンをとった『あしたの私のつくり方』(2007年公開)。右も左も分からないなか飛び込んだ映画の世界に「とにかく逃げ出したかった」と話していたが、同時に「楽しいと思えるようになりたい」という内に秘める思いもあったと、後日述懐している。

 芝居への興味が心のなかで徐々に大きくなっていくなか、2012年8月にAKB48を卒業。女優として新たな道を進むことになる。こうした行動の後押しとなったのが、『苦役列車』(2012年公開)で出会った山下敦弘監督だ。本作で前田は、原作には登場しないオリジナルキャラクター・桜井康子を演じたが、強さと脆さが共存する不安定さを見事に表現し、高い評価を受けた。前田自身も「女優さんとしてやっていきたいと思った大きなきっかけとなった作品」と語っていた。

 山下監督は翌年公開の『もらとりあむタマ子』で前田を主演に抜てきすると、ここでも前に進めず怠惰な生活を送る女の子という役を与え、前田の新たな可能性を提示する。その後は、いわゆる作家性の強い映画監督の作品への出演が続く。『Seventh Code』(2014年公開)の黒沢清監督、『さよなら歌舞伎町』(2015年公開)の廣木隆一監督、『モヒカン故郷に帰る』(2016年公開)の沖田修一監督、『武曲 MUKOKU』(2017年公開)の熊切和嘉監督、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018年公開)の冨永昌敬監督など、映画好きにはたまらない監督作品が並んだ。

 決して公開規模の大きな作品ばかりではないが、前田は「とても充実しています」と目を輝かせ、魅力的な“映画人”との出会いがなによりも楽しいのだと力説していた。前田の持つ独特の佇まいや、存在感は多くの映画人を惹きつけたのだ。

 現在公開中の映画『旅のおわり世界のはじまり』でメガホンをとった黒沢清監督は、前田に対して「誰とも交わらない稀有な佇まいを持った女優」と賞賛すると、『のみとり侍』(2018年公開)の大御所・鶴橋康夫監督も、浮気性の旦那に手を焼く鬼嫁を演じた前田に「ものすごく良かった」と最大級の評価を下していた。

 初映画の現場で「逃げ出したかった」と話していた前田は、いまは「楽しくてしょうがない」と大きな変化を遂げた。最新作『旅のおわり世界のはじまり』では、3度目となる黒沢監督とのタッグで、劇中、ほぼ出ずっぱりという大役を担ったが、孤独や焦り、不安を自然体で演じ切っている。

 この作品の撮影後には、結婚、出産を経験した前田。「どう変化していくか自分でも楽しみ」と語っていたが、今後も質の高い魅力的な作品での活躍を期待したい。(文:磯部正和)

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