前田敦子、子育てという新たな“世界のはじまり”に胸弾ませる

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前田敦子、『旅のおわり世界のはじまり』インタビュー
前田敦子、『旅のおわり世界のはじまり』インタビュー  クランクイン!

 女優の前田敦子が、映画『Seventh Code セブンス・コード』(2013)、『散歩する侵略者』(2017)に続き、黒沢清監督と3度目のタッグを組んだ最新主演作『旅のおわり世界のはじまり』が6月14日より公開される。主人公・葉子に自身を重ね合わせながら、新たな挑戦に全身全霊を捧げた前田が、AKB48時代の葛藤から母になった現在の心境までを赤裸々に語った。

 本作は、日本・ウズベキスタン国交樹立25周年と日本人が建設に関わったナボイ劇場完成70周年が重なった2017年、その記念プロジェクトとして実現した両国の合作映画。テレビ番組の取材でウズベキスタンを訪れたレポーターの葉子(前田)が、異国の地でさまざまな出来事を通して成長していく姿を描く。そのほか、加瀬亮、染谷将太、柄本時生が葉子に帯同する撮影隊役として参加し、ウズベキスタンの人気俳優アディズ・ラジャボフが通訳兼コーディネーター役で出演している。

 演じる役柄について、「愛想笑いをしないでほしい」と撮影前に黒沢監督から指示を受けたという前田。ところが、大勢の人々が行き交う賑やかなバザールのシーンでは、ゲリラ的な撮影が多く、エキストラも一般の方も混在する中で撮影するため、カメラの中央にいる前田へ注目が集まってくる。この状況について前田は、「道ゆく人に見つめられたり、声をかけられたりすると、つい反応したくなります。葉子を演じているときは、声をかけてくるかたを拒まなければならないので、申し訳ない気持ちになりました」と振り返る。

 前田が演じる葉子は、過酷なリポートをこなしながら、その一方で、「歌手になりたい」という胸に秘めた熱い思いがある。劇中、前田は、ナボイ劇場と標高2443mの山頂で、エディット・ピアフの名曲『愛の讃歌』を歌うことになるが、しばらく歌手活動から遠ざかっていたため、不安で仕方なかったと告白する。「黒沢監督から『歌を歌ってほしい』と言われ、しかもそれが、『愛の讃歌』と聞いたときは、『難しい曲だな』と、正直思いました。さらに歌詞の内容をより深く理解したときは、胸にずっしりくるものがあって、この曲のすごさに、負けそうになりました…というか、完全に負けました(笑)」。とはいえ、山頂では5、6時間で8テイク、撮影が終わるころには、すっかり日焼けしていたという前田は、「今の自分を100%出し切るところまでやりきった」と晴れやかな表情。その仕上がりは大いに期待できる。

 歌手を夢見ながらリポートに全力投球する葉子の姿に、女優を志しながらアイドル活動をしていた自分が重なって見えたという前田。「当時、同世代の俳優さんたちと共演すると、皆さん、演技だけに没頭しているので、どんどん進んでいくんですよね。もちろん私は、アイドルとしていろんな経験をさせていただいて感謝はしているのですが、やりたいことが『これだ!』と明確に決まってくると難しくなってくる。私は1つのことにしか集中できないタイプなので、葉子が抱えているモヤモヤした気持ちは、すごくよくわかるんです」と心を寄せる。「当時、10代だったというのもありますが、AKB48時代はすごく生き急いでいたというか。もうちょっと落ち着いていればよかったと、今はそう思いますね。ただ、私自身が先へ先へと考えるクセがあるので、『落ち着いて』と言い聞かせながら、今は自分の一番いいペースを探しています」。

 本作を通して、「新しい挑戦は、成長につながる」ことを改めて実感したという前田。ちなみに今挑戦していることを尋ねると、「子どもが生まれたことによって、日常の全てが初挑戦。この経験も含めて、将来、自分が女優としてどうなっていくのか、すごく楽しみ」と声を弾ませる。さらに今回、前田が演じる葉子は、日本にいる恋人が心の拠り所で何度も連絡を取り合うシーンも描かれているが、母親となった今、「家族を見送る側になるとすごく心配。だから、これから子どものことを考えると怖いですね。私が見送らないといけないことがいっぱい出てくるんだなぁと思って」。そう語る前田の顔は、完全に子を思う優しい母親の顔だ。

 しばらくは育児に女優に多忙な日々が続くと思うが、「新しい挑戦」を糧にして、また一皮むけた女優・前田敦子の姿を見せてほしいものだ。(取材・文:坂田正樹 写真:高野広美)

 映画『旅のおわり世界のはじまり』は6月14日より全国公開。

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