岸井ゆきの、朝ドラ“ロス”真っ最中 改めて感じた映画への愛

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『愛がなんだ』で主演を務める岸井ゆきの
『愛がなんだ』で主演を務める岸井ゆきの  クランクイン!

 NHK連続テレビ小説『まんぷく』で 主人公・福子(安藤サクラ)の姪・タカを14歳から30代後半まで演じきった女優の岸井ゆきの。最新主演映画『愛がなんだ』では、がらりと世界観を変え、片思いに全力疾走する等身大のOL・テルコを自然体で好演している。半年間、朝ドラの撮影でめまぐるしい生活を送ってきた岸井が、長丁場の現場で学んだ思いを胸に、主演を務めた本作への思いを語った。

 本作は、映画『八日目の蝉』『紙の月』などの原作で知られる直木賞作家・角田光代の恋愛小説を映画化、『パンとバスと2度目のハツコイ』などの今泉力哉監督がメガホンを取ったラブストーリー。自分をなかなか好きになってくれない、どこかツンデレな男・マモル(成田凌)を一途に思い続ける主人公・テルコ(岸井)の恋模様を描く。

 片思いに全力疾走するテルコに対して、「私は何もかも捨てて、好きな人に向かっていくタイプではないので、テルコをうらやましく思いました」と語る岸井。それでも、「好きな人に対する熱量は私にもあって、それをテルコのように行動に出すか、出さないか、あるいは別の方法を取るか、だけの違いだと思ったので、そのすり合わせを心の中でとことんやりました」と役づくりの裏側を明かす。

 ところが現場では、「今泉監督は何も言わないんです。現場のサプライズ感やライブ感を楽しんでいる感じで」と苦笑い。「あるシーンで、さすがに演出の指示がないとできないと思って、今泉監督に“このシーンはどうすれば?”と聞きに行くと、“僕もまだ、分かりきっていないから、とにかくやってみよう”と」。そこで初めて、岸井は開き直ることができたという。「まず、私が思うテルコを演じて、今泉監督が凸凹の部分を直す。そういうやり方で新しく見えてきたこともありました」。

 また、『まんぷく』ファンにはたまらない、タカの妹・吉乃役の深川麻衣が、今回は親友の葉子役で登場。ときにはユーモラスに、ときにはアグレッシブに、2人で激しい口論が繰り広げられる。「実は映画の方が、『まんぷく』よりも先の撮影だったので、麻衣ちゃんとこんなにすぐまた、共演なんてびっくりしました。映画では撮影期間も短くてあまりお話もできなくて。朝ドラでは、姉妹役だったこともあってガッツリ半年一緒でした(笑)」。そんな朝ドラも3月で終了し、猛烈なまんぷくロスと戦っているのだとか。「毎日、家族役の皆さんとお会いして、月曜日にリハーサルそして撮影という日々。マンションを借りて大阪に住んでいたので、その暮らしが終わったと思うと、改めてさびしくてたまらないです」と述懐する。

 大きな“家族愛”を感じながら、1つの役をこれだけ長くやれたのは「財産」だと語る岸井。1つの役と向き合った時間は、「いずれ何年後かに役立つと思う。それくらい根深く、自分が気づかない間に伸びている部分も、きっとあるはず」と笑顔を見せる。

 さらに岸井は、「朝ドラは朝ドラの技術や撮影方法があって素晴らしいんですけど、映画の撮影は別の面白さがあって。今泉組は、撮影日程が決して長いわけではないのにワンシーンのためだけに、しかもそれがわずか3秒のシーンだとしても、照明を組み直し、1からやり直しして下さって。なんだか、今すぐ現場に戻って、スタッフの皆さんに“ありがとう!”って伝えたい気分。本当に贅沢な現場でした」と感謝の言葉が尽きない。

 無類の芝居好き。醍醐味(だいごみ)は完成作品よりもその過程。所属事務所(ユマニテ)の先輩・安藤サクラは、「誰も真似できない規格外の人」だと目を丸くする。「役者って正解がないもの。だから、自分に合った、自分なりのやり方を模索していきたいです」。朝ドラで育んだ家族愛と、離れて見えた映画愛を胸に、小さな体で大きな存在感を残す、女優・岸井ゆきののこれからに期待したい。(取材・文:坂田正樹 写真:松林満美)

 映画『愛がなんだ』は4月19日より全国公開。

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