第91回アカデミー賞は“初”づくし! 前哨戦はバラバラの結果に

映画
米アカデミー賞、オスカー像
オスカー像は誰の手に? (C)AFLO

 米アカデミー賞が目前に迫った。これほど作品部門が予測しづらい年も珍しいが、それ以外にも今年の授賞式を新鮮にしている要素がある。今年は何かと“初”が多いのだ。

 たとえば、10部門の最多ノミネーションを受けた『ROMA/ローマ』はNetflix作品。近年、オリジナル映画作りに意欲的に取り組んできたNetflixだが、作品部門にノミネートされるのは、初めてのことだ。また、やはり9部門10ノミネートされた『女王陛下のお気に入り』は、事実上3人の女性が主役で、LGBTのニュアンスも絡む。このような映画が作品部門で有力視されることも、初めてである。さらに『ブラックパンサー』は、スーパーヒーロー映画として初めてこの部門にノミネートされた。一方、『ブラック・クランズマン』は、意外にも、大ベテランのスパイク・リーにとって、初めての作品部門候補入りである。彼は過去に名誉賞を受賞しているが、監督部門に入るのも、今回が初だ。

 『アリー/ スター誕生』はブラッドリー・クーパーの監督デビュー作で、彼にとって初の作品部門候補入り。この映画で主演女優部門に入ったレディー・ガガも、同様だ。初のオスカー体験をする人たちには、ほかに『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック、『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマン、『アリー/スター誕生』のサム・エリオット、『ある女流作家の罪と罰』(日本劇場未公開)のリチャード・E・グラント、『ROMA/ローマ』のヤリッツァ・アパリシオとマリーナ・デ・タビラ、『ブラック・クランズマン』のアダム・ドライバー、『ビール・ストリートの恋人たち』のレジーナ・キングなどがいる。日本から外国語映画部門と長編アニメ賞にそれぞれノミネートされた是枝裕和(『万引き家族』)、と細田守(『未来のミライ』)も、同様。最初から最後まで、これらの人たちの純粋な興奮がひしひしと伝わってくる授賞式になりそうだ。

 そして実際、今年の場合、その人たちみんなに、希望の余地がたっぷりあるのである。たいていの年は、ここまでに発表された賞でほとんどオスカーの結果も見えているのだが、今年はここまでの結果が相当にバラバラなのだ。

 たとえば今週発表された脚本家組合賞(WGA)では、オスカー候補入りした3作品(『ROMA/ローマ』『グリーンブック』『バイス』)を制して、インディーズ作品『Eighth Grade(原題)』が脚本賞を、そして『ブラック・クランズマン』『アリー/スター誕生』『ビール・ストリートの恋人たち』らを制して『ある女流作家の罪と罰』が脚色賞を取るという、誰も予測しなかったことが起こった。映画俳優組合賞(SAG)のスタントアンサンブル賞は『ブラックパンサー』、プロデューサー組合賞(PGA)は『グリーンブック』、英国アカデミー賞は『ROMA/ローマ』である。

 つまりは、予測しなかった人の名前が呼ばれ、そういう時ならではの感動のスピーチやユーモラスな瞬間が生まれる可能性が、たっぷりにあるというわけだ。それこそ、そもそもはそれが授賞式のあるべき姿である。オスカーに限らず、授賞式番組の視聴率が年々下がり続ける昨今だが、今年はまたその部分でも嬉しい形で予測を裏切ってくれるのではないだろうか。(文:猿渡由紀)

 第91回アカデミー賞授賞式は、日本時間2月25日に米ロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催。

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