異色の近現代大河『いだてん』は宮藤官九郎ドラマの醍醐味が凝縮!  

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【NHK】『いだてん~オリムピック噺~』
『いだてん~オリムピック噺~』 (C)NHK

 1912年のストックホルムオリンピックから1964年の東京オリンピックまでの近現代を描く異色のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(以下『いだてん』)が、6日から始まった。脚本は宮藤官九郎。2013年の連続テレビ小説『あまちゃん』をはじめ印象的な作品を執筆しているが、この大河も、そんな宮藤作品のエッセンスが詰め込まれたぜいたくな作品であることが言えそうだ。

■ 遊び心あふれる「ナレーション」

 本作の特徴的の1つが、ビートたけし演じる五代目古今亭志ん生が語り手となり、明治・昭和の東京を行き来する点。第1回では、そんな志ん生の若かりし日の青年・美濃部孝蔵(森山未來)が画面に出てくると、志ん生は、「この死んだ目をした青年こそがのちの、あたくしでございます」と自虐的に“自己紹介”。一方で孝蔵も、50年後の自分に向かって「ちんたら、ちんたらしゃべりやがって」とやり返す。

 こうした「ナレーション」「語り」で遊ぶ手法は、宮藤作品のファンならおなじみのアプローチだ。

 例えば、日曜劇場『ごめんね青春!』(TBS系)第3話。平助(関ジャニ∞・錦戸亮)の亡き母みゆき(森下愛子)は、彼の部屋にある観音菩薩像に宿っているという設定なのだが、その菩薩が「なんかさー、ウィキペディアに観音菩薩は男だって書いてあるらしいの。ひどくない?」といきなりわれわれ視聴者に呼びかけたこともある。

■ 時間軸を自在に操る

 半世紀を股にかける『いだてん』だが、時代を行き来するのも宮藤の得意技だ。

 TOKIO長瀬智也とV6岡田准一のダブル主演ドラマ『タイガー&ドラゴン』(TBS系)。落語家・どん兵衛(西田敏行)が披露する噺の途中、劇中劇のような形で落語の続きが再現される。そこは江戸時代。江戸っ子となった長瀬や岡田らがちょんまげと着物姿で噺の登場人物を演じている。同作は現代劇だが、実は徐々に、どん兵衛の話していた古典落語と巧みにリンクしていくのも絶妙である。

 そのほか、『木更津キャッツアイ』(TBS系)も、物語の裏に隠されていたもう1つのストーリーを、一度映像を“巻き戻し”て見せる手法も斬新だった。ほかにも『あまちゃん』では、ヒロイン天野アキ(のん)が、母・春子(小泉今日子)の青春時代(若き日の春子は有村架純)を回想する際、80年代の母と現在の自分をシンクロさせていた。

 『いだてん』は、時間軸を自在に操る達人・宮藤にとって、その本領がいかんなく発揮できる作品といえよう。

■ 「仲間」の存在

 『いだてん』にはさらに過去作と共通点がある。それは「仲間」の存在だ。『木更津キャッツアイ』や『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)、映画『GO』にも、主人公にはいつも仲間がいた。今回の『いだてん』も、これまでと同じく仲間が一丸となる物語であり、その規模がこれまでで最大の“国家レベル”になったのではないか。

■ 日本と日本人の分岐点を描く

 今回、宮藤は大河ドラマの執筆をオファーされた際、戦国時代にも幕末にもあまり思い入れがなく、結果、「東京」「オリンピック」に行きついたと述べている(NHKドラマ「ドラマトピックス」より)。

 『あまちゃん』の舞台は、宮藤の故郷・宮城がある東北。物語の中では東日本大震災前も描かれた。ただ自身の思いとしては「震災があったから東北でやろうと思ったわけでない。表現するのによかったのが東北だった」と話しているが、いずれにしても、新幹線の開通など日本の発展を加速させた1964年の東京五輪、そして3.11という、まさに近現代の日本の分岐点となった物語を書くことになったわけである。

 このように、さまざまな意味で宮藤の記念碑的作品とも言える『いだてん』。われわれも、楽しみながら並走していきたい。(文・塚田均)

 本日放送の第2回「坊ちゃん」では、日本初のオリンピック選手となった金栗四三(中村勘九郎)の知られざる少年時代が描かれる。軍人に憧れ海軍兵学校を受けるも不合格になり、落ち込む四三。幼なじみのスヤ(綾瀬はるか)に励まされ、嘉納治五郎(役所広司)が校長を務める東京高等師範学校への進学を決意。運命の出会いが近づいていた…。

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