三浦春馬、子役特有のネガティブを克服 俳優は一生続けるか「分かんない」

映画
三浦春馬『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』インタビュー
三浦春馬『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』インタビュー  クランクイン!

 1997年、7歳でNHK連続テレビ小説『あぐり』で子役デビューし、以後も俳優として着実にキャリアを重ねる三浦春馬。21年のキャリアでさまざまな役に挑んできたが、映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』では、悩み多き医大生ボランティアに扮する。人と関わる上で生まれる悩みとその解消、そして俳優としての夢について聞いた。

 本作は、重度の筋ジストロフィーを患いながら自らボランティアを集めてわがまま放題の自立生活を送った実在の人物・鹿野靖明さんの人生を、大泉洋の主演で描いた物語。三浦は、自信のなさに悩み葛藤しながらボランティアとして鹿野を支える医学生の田中を演じている。

 「笑っていたと思えば、気づいたら涙ぐんでる自分がいた」と試写の感想を明かす三浦。「台本を読んだときには想像できなかった感情が自分の中に流れていたんです。もちろん大泉さんや高畑充希さんたちの素晴らしい芝居を間近で拝見していたので、『きっといい映画になる』とは思っていました。でもその期待を優に超えて、純粋に面白かったです」。

 ボランティアがひとつテーマとなっているこの作品。自分に自信が無くて本心が言えず、善意の行動も空回り。不器用さを痛感し、どんどんネガティブな感情を抱いていく田中に、三浦はシンパシーを感じるという。

 「僕自身も良かれと思ってやったことが裏目に出たり、思い描いていたようにいかない自分に落胆したりすることがあるので、『自分のやっていることって、結局“自分本位”なのか』と思ってしまう田中の気持ちはよく分かります。今まで演じてきた中で自分に一番近い役かもしれないです」。

 田中と同じく「すごく気にしやすい性格」で、終わったシーンについても「どんな風に見られたかなと考えてしまうことが多かった」という三浦。現在も「役者として『一皮むけたね』と言われることもありますが、そう言われても自分では正直分からないし、いつから自分がそういうふうに見られたんだろう、昔の自分はそうじゃなかったのかなとかぐるぐる考えてしまいます」とネガティブな部分を持っていると真っ直ぐに打ち明ける。

 また、弱い部分をさらけ出し、思いを伝えることも得意ではなかった。「『子役出身は早い段階から大人に囲まれて迷惑を掛けないようにしているため、気を使う子が多い』と言われたことがあるんですが、僕も確かにそうだなと。自分が納得していないときでも、意見を言ったり人に意見を聞いたりできなかったんです」。

 それが経験を重ねるうち、いつのころからか「言わないのは自分に嘘をつくことだ」と思うようになった。「劣等感だらけで自信もない。だけど、それで『人に迷惑を掛ける』と思って何もしないんじゃなくて、素直に頼ったり、意見を聞いたり。そういうストレートなコミュニケーションが、自分の未来をオープンにしてくれると思うんですよね」。

 本作の主人公である鹿野さんは、夢や欲望に素直に生き抜いた人。現在28歳の三浦が全身全霊を懸ける「俳優」という仕事は、三浦にとって“夢”でもあるのだろうか。

 「僕にとって芝居や表現することは、自分を出していくこと。夢というより自己実現の場なので、仕事がなくなると具合が悪くなると思います(笑)。今は素晴らしいフィールドを用意していただいているので、そこで自分が納得する表現をして、誰かに喜んでもらうことを目指して日々を過ごしています。でも、いつかは想像を超えたい。みんなの想像だけじゃなく、自分の想像も」。

 といっても、一生やり続けるのかと問うと、「分かんないんだよね」という素直な答えが。「『60、70歳までやってると思います』と言っていた瞬間もあったかもしれないけど、こればっかりはね。もしかしたら演技指導をしてるかもしれないし、もう一切表には出ないで裏の人になってるかもしれない」と、どこか達観した表情で語る。

 「でも、ひとまず30代も楽しみな仕事は待っているし、そこに向けてやっていきたい」と語る表情は力強い。自分の弱い部分を受け入れて、葛藤しながらも “今”に全力で挑む、そんな彼だから多くの人を魅了するのかもしれない。(取材・文・写真:高山美穂)

 映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は12月28日より全国公開。

最新記事一覧

特集

クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介
スゴ得コンテンツ会員登録ボタン
クランクイン紹介