松本まりか、過激な役で飛躍 ブレイクまでの退屈と絶望の日々

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松本まりか『ブラックスキャンダル』インタビューフォト
松本まりか、『ブラックスキャンダル』インタビューフォト  クランクイン!

 回を重ねるごとダークな復讐劇が反響を呼んできた山口紗弥加主演のドラマ『ブラックスキャンダル』(読売テレビ・日本テレビ系/毎週木曜23時59分)が、いよいよ佳境を迎える。主人公・矢神亜梨沙(山口)の整形前の藤崎紗羅を演じる松本まりかの鬼気迫る演技は、物語の骨格である復讐のリアリティーを支えてきた。その演技は今年1月期に放送されブレイクのきっかけとなった『ホリデイラブ』(テレビ朝日)での“あざとかわいい”壊れっぷりに勝るとも劣らないほど。黙っていれば34歳の美人女優なのだが、過激な役に次々とチャレンジし続ける松本に、大きな飛躍の年となった2018年を振り返ってもらい、ブレイクできず壁にぶつかっていた頃の話から、来年への展望までを聞いた。

 「面白い役がきたと思いました」。

 本当に楽しそうに笑う。松本が演じる紗羅は売れっ子女優だったが、ある記者会見で、同席していた俳優の棚城健二郎(波岡一喜)が突然、紗羅と不倫関係にあったとして土下座。身に覚えのない紗羅は「不倫なんかしてません!」と激しく取り乱すが、結局は女優生命を絶たれ、廃人のような日々を送る。そして5年が経ち、整形手術で別人に生まれ変わって陰謀の当事者たちに復讐を開始する。

 「作品の発端となる復讐の動機に関わる部分に説得力を持たせられないと、そのあとの復讐に重みが出ないし、山口(紗弥加)さんにお渡しできないと思いました。とにかく真摯に誠実に、生ぬるくなくやりきることが必要だな、って」。

 整形後の亜梨沙役の山口とは、深く語り合ってきたようだ。

 「最初は紗羅ってこうかな、亜梨沙ってこうかなって、LINEで役の話からどんどんお互いのパーソナルな深い話になってきて、山口さんのこと深く知ることができてどんどん好きになったし、私も救われた部分があって、助け合えている関係がそのまま紗羅と亜梨沙にリンクしていきました。山口さん、『まりかちゃんの芝居が好き』とか『まりかちゃんの出てるドラマ、全部見てるよ』って先に心を開いてくださって、初めからすごくいい関係を築かせてくれたんです」。


 もし自分が紗羅と同じような目に遭ったら、立ち直れそうもないという。

 「ショックですよ。私は、事務所の人たちや現場でお会いする人たちも家族だと思って絶対の安心感で信頼していたいんです。芝居に集中するためにも、そこは私にとっては超重要なんです。それなのにあんなふうに裏切られると絶望しますよね。ただ、復讐まではしないですよ。復讐は紗羅ではなく、亜梨沙になってからの話ですから(笑)」。

 質問に真摯に答えるが、明るい笑顔とユーモアも忘れない。実は、紗羅とは共通点を感じるという。

 「5年間も引きこもった経験はありませんが、数ヵ月とか短いスパンでコンスタントに引きこもっていました(笑)。『ホリデイラブ』直前までは自分自身と人生にしょっちゅう絶望していました。でもそれが今の役にちょっと生きて、よかったかなと思いますけど」。

 2000年にドラマ『六番目の小夜子』でデビューし18年のキャリアがあるが、女優としてブレイクするには『ホリデイラブ』まで待たなければならなかった。

 「漠然とした、退屈。退屈って、ものすごい脅威だなって思います。自分の好きなことをできてない、なんか違う、つまらない。たとえばお仕事がないとき。役を生きていないときは自分に何もない。日々の生活で、ひとりで過ごす時間や会う人たちから刺激をもらったりはするんだけど、それを表現する場所がなくて、とても苦しかった」。


 それが絶望につながっていたと、振り返る。
 
 「やっと『ホリデイラブ』で、みんなから少し興味を持ってもらえ始めて。井筒里奈の役がきたとき、恋人と出会った瞬間のように『あ、きた!』とハッとしたんです。私、この役は生きれるって。嫌われる役だとは思ったけれど、単にゆるふわ系で人のものをとっちゃう、みたいな子にはしたくなかったんです。ものすごく純情な子だと思ったし、たとえとんでもない行動をしているように見えても、人を愛するっていう本質的な面を貫いたら、みんな“その普遍的な純粋さ”だけは分かってくれるんじゃないかな、って。ネットを見たら、『一周回って好きになった』なんて言ってくださる方もいて」。

 それからは、ネットをはじめ自分の名前が世間に拡散されていった。

 「石原さとみちゃんは7年前に共演してから、ずっと側で支えてくれた存在で。さとみは、『まりかこれすごくいい記事だよ』って、全部チェックして教えてくれるんです。そして私以上に喜んでくれる。それがうれしくて。『ホリデイラブ』は彼女が『アンナチュラル』をやっていた時期と同じで、放送日も同じ金曜日だったんです。だからネットニュースも一緒のタイミングになったりしたんですよね」。

 その後『遺留捜査』や『健康で文化的な最低限度の生活』にも出演し、『ブラックスキャンダル』へ。後から人生を振り返ったとき、まるでどんでん返しのように、これほど転機となった年はそうはないはずだが、ドラマのほうでも先週放送の第7話あたりからまさかのどんでん返し。第8話以降は、果たしてどうなってしまうのか。

 「え、そういうことだったの、っていう。楽しみにしていただけたらうれしいです。以前の私は、個性とかコンプレックスとかいろんなものを隠して生きてきたのかもしれませんが、それがもうばれちゃって、でも逆に全部ひっくるめてみんながわくわくして面白がってくれたりしてる。あ、これでいいんだと。だからいまが人生でいちばん楽しいし、自分らしく生きられ始めて幸せなんです」。(取材・文・写真:志和浩司)

 『ブラックスキャンダル』は、読売テレビ・日本テレビ系にて毎週木曜23時59分放送。

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