竹内まりや、デビュー40周年 その魅力が未だ色あせないワケ

映画
『souvenir the movie 〜 Mariya Takeuchi Theater Live〜』
『souvenir the movie 〜 Mariya Takeuchi Theater Live〜』場面写真

 本日、デビュー40周年を迎えた竹内まりや。そのライブのベストシーンを集めた映画『souvenir the movie~Mariya Takeuchi Theater Live~』が、2週間限定で公開中だ。40年という年月を念頭に置いてこの映画を観ると、デビュー当時からほぼ変わらないと彼女の美しい佇まいと声に、あらためて驚きを覚える人も多いのではないか。

 竹内まりやはとても“特殊”なアーティストだ。現在63歳。これだけ長いキャリアと数多のヒット曲を持ち、今も第一線で活躍するアーティストには、中島みゆき(66歳)や松任谷由実(64歳)らも思い浮かぶが、ここまでライブ活動が少ないまま現役感を失わないアーティストは類を見ない。

 本作は、ライブ盤も発売されている『TOKYO FM/fm osaka 開局30周年記念コンサート』(2000年)、『souvenir again』(2010年)、『souvenir2014』(2014年)の3本のライブからベストシーンを集め、撮り下ろしのインタビュー映像を混じえて再構成している。実は竹内が2000年以降、公式に行った単独ライブ&ツアーはこれらのみ。そもそも2000年のライブの時点で“18年ぶりのライブ”だったという。

 1978年11月25日に「戻っておいで・私の時間」でデビューした竹内は、当時23歳、まだ現役の慶応大学生だった。翌年、「SEPTEMBER」で日本レコード大賞新人賞を受賞し、順調な滑り出しを見せる。しかし1982年、アレンジャーとして関わっていた山下達郎と結婚。これを機に、テレビ出演やライブツアーなど、一般的な“アーティスト活動”のサイクルからは身を引いてしまう(ちなみに今回の映画では、彼女のデビュー当時の映像もちらりと拝見することができる)。

 以降、作家として「けんかをやめて」(河合奈保子)「元気をだして」(薬師丸ひろ子)、「色・ホワイトブレンド」(中山美穂)を手掛け、後にセルフカバー。また自身でも「シングル・アゲイン」、「告白」、「純愛ラプソディ」などヒット曲を出してきたが、“シンガーソングライター主婦”を自称するように、その活動はあくまで家庭が優先。その合間を縫って作品作りをしているため、「なかなかそこまで手が回らない」とライブ活動が少ない理由を語っている。

 浮き沈みの激しいこの音楽業界の中、40年も第一線で活動してきた彼女の特殊さをもう1つ挙げるとしたら、色褪せることのない楽曲だろう。2、30年前のナンバーでも、中で歌われている心情がありありと目の前に浮かんでくるほどリアルだ。それは、彼女の描く歌詞世界が“世相や流行を描いたものが少ない”からではないか。

 そこには、今流行りのスポットやガジェット、レジャーはほとんど登場しない。固有名詞を多用することで時代性を反映し、多くの人の共感と支持を得た松任谷とは対照的に、聴いていて“今の時代”を感じることは少ない。だが、人間のコアな心情をシンプルに描いた彼女の歌からは、どの時代も共有できる“私=主人公”が浮かび上がってくる。

 許されない恋をしている私、駅で昔の恋人を見かけてふと心を揺らす私、長い結婚生活で恋心も忘れてしまったけれどパートナーを大切に思う私…彼女の曲に描かれた感情はどれもリアルで、普遍的。だからこそ何十年たっても聞く人の心を揺さぶるのではないだろうか。

 音楽の楽しみ方は人それぞれだが、ライブでしか得られないものがあるということを、この映画を観るとしみじみ実感する。ライブで歌う竹内の姿はとても楽しそうで、とてもチャーミングだ。貴重な山下とのデュエットシーンも収録されており、前出の“プロデューサーであり夫婦”という2人の関係性も垣間見える。ライブ活動の少ない竹内だからこそ、音源とはまた違った彼女の魅力を知ることができる貴重な機会と言えるだろう。(文:川口有紀)

 映画『souvenir the movie~Mariya Takeuchi Theater Live~』は12月7日まで、2週間限定公開中。

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