主演作『ヴェノム』公開! 実力派俳優トム・ハーディの軌跡を振り返る

映画
トム・ハーディ、Tom Hardy
トム・ハーディ (C)AFLO

 昨日2日に公開となった映画『ヴェノム』は、実力派として業界内で高い評価を得てきたトム・ハーディにとって、新たなマイルストーンとなった作品だ。ボックスオフィスによると、全米初公開週末の売り上げは8000万ドル(約89億6000万円)と、トムの主演作ではこれまでで最高。現在もトップ5内に君臨しており、まだまだ数字は伸びそうな勢いである。

 本作は、スパイダーマンの悪役ヴェノムを主人公にしたマーベル映画。作品に対する批評家の評は、アメリカではそれほど良くないのだが、トムの演技力は、誰もが口をそろえて絶賛している。最初から最後まで出ずっぱりで、ユーモアや細やかな感情、アクションの見せどころもたっぷりな本作は、シリーズ化が期待されていることもあって、間違いなく彼の代表作になるだろう。

 反骨精神のある、ちょっと野生っぽい雰囲気が、トムの魅力。現在41歳の彼が映画デビューを果たしたのは、リドリー・スコット監督作の映画『ブラックホーク・ダウン』(2001)だ。日本ではクリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』(2010)、あるいは『ダークナイト・ライジング』(2012)でのバットマンの敵役ベインで彼を知った人が多いかもしれないが、彼が最初にハリウッドで注目されたのは、『ブロンソン』(2012・未)である。後に『ドライヴ』(2011)でブレイクを果たすことになるニコラス・ウィンディング・レフンが監督した伝記物で、トムは“チャールズ・ブロンソン”を名乗る実在の服役囚を熱演した。

 助演だった映画『インセプション』のすぐ後に公開された主演作『ウォーリアー』(2015・未)でも、アクションスターとしての実力を発揮。それに続くリース・ウィザースプーン、クリス・パイン共演のコメディ映画『Black & White/ブラック & ホワイト 』(2012)は珍しく駄作だった。

 しかし、続く『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』(2013)で、トムは見事に挽回を果たす。最初から最後まで、主人公がひとり車を運転するシーンだけでつづられる同作において、共演者は声の出演だけで、顔を見せない。それでもまったく退屈させないのは、罪悪感と後悔に悩まされる主人公の内面が、細やかに描かれるからだ。この映画でトムはロサンゼルスとトロントの映画批評家協会賞から主演男優賞を受賞している。

 2015年の主演作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では、ロンドン映画批評家協会賞を受賞。さらに同年の『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)では、初のオスカー候補入りを果たした。この作品ではレオナルド・ディカプリオが主演男優賞に輝いたが、ディカプリオほどの出番はないにしろ、トムの演技が、作品の評価に大きく貢献したことに、疑いの余地はない。

 昨年は映画『ダンケルク』で、これまたセリフに頼らず、緊迫した状況に置かれた男を名演。それだけに、セリフがたっぷりで、さまざまな表情を見せる今回の『ヴェノム』は、ファンにとって素敵なご褒美と言えるだろう。シリアスな彼も良いが、地球外生命体に体を乗っ取られたまま、サンフランシスコの街並みをバイクで駆け回る彼もまたチャーミングだ。次の作品『Fonzo』(原題)では、アル・カポーネを演じるそうで、今後にも期待が高まる。(文・猿渡由紀)

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